(1)解説授業動画
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(2)解説授業の原稿
それでは基本のパターンを8つ解説します。
特性方程式を利用する漸化式
まずは基本パターン①:an+1=pan+qを解説します。このパターンの漸化式は、この後に解説する漸化式の基本となっているパターンなので必ず解けるようにしてきましょう。
まず注意しておきたいのは、この漸化式は等差数列でも等比数列でもありません。anの係数が1であれば等差数列で、定数項がなければ等比数列なのですが、この漸化式には両方あるので、等差数列の解き方も等比数列の解き方も使えません。
では、どのようにこのパターンの漸化式を解けばよいのかというと、特性方程式というものを使って解きます。
例題で解法を確認
特性方程式とは何かについては、実際に使っていくところを見てもらったほうが早いと思うので、早速この
a1=1、an+1=2an+1
の漸化式を答案を確認していきます。
まずは、an+1とanをαとした方程式を解きます。するとα=2α+1となりα=−1となるので、an+1=2an+1は、
an+1+1=2(an+1)
に式変形することができると分かります。
このパターンの漸化式はan+1とanをαとおき、そのαを使って
an+1−α=p(an−α)
と一般的に式変形することができます。今回で言えば、α=−1なので、左辺はan+1−(−1)でan+1+1となり、右辺は2(an+1)となります。
実際にこのan+1+1=2(an+1)を展開して整理してみると、元の式an+1=2an+1に戻ります。つまり、漸化式an+1=2an+1と漸化式an+1+1=2(an+1)は同じものなので、漸化式an+1=2an+1を解くためには漸化式an+1+1=2(an+1)を解けばよいということになります。
そして、このan+1とanをαとおいた方程式のことを特性方程式と言うのです。つまり特性方程式とは、an+1=pan+qからan+1−α=p(an−α)への式変形をするためのαを見つけることができる方程式ということになります。
では、なぜこのような式変形をする必要があるのでしょうか。それは、この先の答案を見れば分かります。
特性方程式を使って、an+1+1=2(an+1)に式変形をしたら、カッコの中のan+1をbnとおきます。すると、an+1+1=2(an+1)の右辺は2bnとなり、左辺はbn+1となります。なぜbn+1となるかというと、このbn=an+1の式のnの部分をn+1にしてみると、bn+1=an+1+1となるからです。
そして、置きかえた後の式bn+1=2bnを見てみると、この漸化式は等比数列を表す漸化式となっています。つまり、この漸化式bn+1=2bnが表す数列{bn}は、初項a1+1で、公比が2の等比数列となります。数列{bn}の初項つまりb1がa1+1となるのは、bn=an+1の式のnに1を代入してみると、b1=a1+1となるからです。
よって、bnは等比数列の一般項の式を使うと、bn=(a1+1)・2n−1=2×2n−1となるので、bn=2nとなります。そして今回求めるものはanなので、bn=an+1を代入して、an+1=2nとなるので、an=2n−1となります。これで、この漸化式の一般項を求めることができました。
最初にもお伝えしたとおり、このパターンの漸化式は他のパターンの漸化式を解く上での基本となるので、この答案の流れは必ず自分でできるようになっておきましょう。
ちなみに、なぜ特性方程式α=2α+1を使えば、この式変形ができるかについては今回は割愛しますが、いつか機会があればまた解説しようと思います。
漸化式を解くための基本にして奥義
それではこれからこのパターンの漸化式の解法を踏まえた上で様々なパターンの漸化式を解いていきますが、その前に、漸化式を解くために必要な考え方を確認します。
漸化式を解くためには、まず左辺をn+1、右辺をnの形にします。そして、この形にすれば置き換えをすることができ、置き換えをすることでより簡単な漸化式となり、解くことができるようになります。
この流れこそが漸化式を解くための基本であり、奥義なのです。
例えば、今回の答案でいえば、an+1+1=2(an+1)の部分が左辺をn+1、右辺をnの形に式変形する段階です。左辺のn+1に対応する部分が、右辺ではnになっています。そして、それ以外の部分は同じ形となっています。この形にすることができれば、置き換えをすることでより簡単な漸化式となり、元の漸化式の一般項を求めることができます。
このように、左辺をn+1、右辺をnに置き換えて簡単な漸化式に直すという流れを意識すると、漸化式は解くことができます。
(3)解説授業の内容を復習しよう
(4)漸化式基本パターン解説一覧
①漸化式をマスターしよう(2)基本パターン①(特性方程式を利用して解く漸化式、漸化式の解法の基本にして奥義)
②漸化式をマスターしよう(2)基本パターン②(n乗の項を含む漸化式)
③漸化式をマスターしよう(2)基本パターン③(分母と分子にanを含む漸化式)
④漸化式をマスターしよう(2)基本パターン④(anan+1を含む漸化式)
⑤漸化式をマスターしよう(2)基本パターン⑤(anにルートや指数がついている漸化式)
⑥漸化式をマスターしよう(2)基本パターン⑥(和Snが与えられているパターン、なぜn≧2としなければいけないのか)
⑦漸化式をマスターしよう(2)基本パターン⑦(階差数列の公式を使うパターン)
⑧漸化式をマスターしよう(2)基本パターン⑧(最も重要なパターン、これが理解できたら漸化式の基本はマスターしたと言えます)
(5)漸化式をマスターしよう(数学B)の解説一覧
②漸化式をマスターしよう(1)基本中の基本(等差数列の漸化式、等比数列の漸化式、そもそも漸化式とは何か)
④漸化式をマスターしよう(3)応用パターン解説(隣接3項間漸化式、発想が難しい漸化式、一般項を予想して数学的帰納法で証明するパターン)
(6)参考
☆漸化式(数学B)をマスターしよう(漸化式全パターンの解説・授業・演習問題一覧)
☆数学の解説・授業・公式・演習問題一覧(Ⅰ・A・Ⅱ・B・Ⅲ)
「漸化式をマスターしよう」シリーズは、『細野真宏の数列と行列が面白いほどわかる本 Version2.0』(細野真宏著、(株)中経出版発行、現在は絶版)を参考にしています。
細野真宏先生が現在発行している出版物はこちら(小学館HP)→https://www.shogakukan.co.jp/author/5885
中経出版の参考書・問題集はこちら(学参ドットコム)→https://www.gakusan.com/