流体内(大気中・水中)の圧力を考えるときのポイント(圧力はあらゆる方向からかかる、圧力のつり合いは壁で考える、力のつり合いと圧力のつり合いの違い)

(1)解説授業動画

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(2)解説授業の原稿

流体内の圧力を考えるときの2つのポイント

流体内(大気中・水中)の圧力を考えるときは、

①圧力はあらゆる方向からかかる。
②圧力は壁で考える。また、壁で圧力を考えるときは力のつり合いと区別する。

この2つがポイントとなります。

①圧力はあらゆる方向からかかる

まず①のポイントから解説します。

大気圧はあらゆる方向からかかる

例えば、大気中で手をかざしたとき、上の面に上から下の大気圧がかかっているというのは考えやすいと思います。しかし、実は下の面にも下から上の大気圧がかかっているのです。

詳しくは気体の分子運動論の単元で学ぶことなのですが、上から下にぶつかってくる気体分子もあれば、下から上にぶつかってくる気体分子もあるので、大気圧は上から下でも、下から上でもかかるのです。

水圧もあらゆる方向からかかる

水中でも同様のことがいえます。水の中に物体を沈めたとき、この物体の上の面には水圧と大気圧がかかります。そして、上の面だけではなく、底面にも水圧と大気圧がかかります。さらに、上と下だけではなく、横の面にも水圧と大気圧がかかっています。

また、水圧は水深が深ければ深いほど大きくなるので、上面よりも底面の方が水圧は大きくなります。

この上面にかかる水圧+大気圧と、底面にかかる水圧+大気圧の差から生じる力のことを浮力と呼びます。ただし、水圧や大気圧の単位は[Pa]または[N/㎡]であるのに対し、浮力は力なので単位は[N]であることに注意してください。

②圧力は壁で考える

次に②を解説します。

浮力を含めた力のつり合い

例えば、水の中で物体をFの力で押して、静止させたとします。

このとき物体は重力と手が押す力そして浮力が働きます。今回浮力をρVgとおけば、この状況で立てることのできる式は

F+mg=ρVg

この力のつり合いの式となります。これらは全て力なので単位は[N]です。

また、浮力の中に水圧と大気圧という情報が入っているので、この力のつり合いの式に水圧や大気圧といったものを書いてはいけません。

圧力のつり合いを考える

それでは次に、密度ρ[kg/㎥]の水の中に圧力P[Pa]の気体が入ったコップを沈めてみます。そして水と気体の境目が深さd[m]の所にできたとします。

この水と気体の境目には水圧と大気圧がかかります。つまり深さd[m]なのでρdgの水圧とP₀の大気圧がかかることになります。先ほど確認した通り、下から上の方向でも大気圧がかかることに注意してください。

そしてこの水と気体の境目の壁における圧力のつり合いを考えると

P=ρdg+P₀

このようになります。この壁を気体はPの圧力で押し、水もこの壁をρdg+ P₀の圧力で押します。

そして、これら3つは単位が[Pa]あるいは[N/㎡]なのでこの式の中に重力や浮力といったもの(単位が[N]のもの)を書いてはいけません。

このように、力のつり合いの式に圧力は書いてはいけませんし、圧力のつり合いの式に力を書いてはいけません。また圧力を考えるときは、押されている壁で考えるようにしましょう。

(3)解説授業の内容を復習しよう

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(6)参考

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