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(1)中和と電離
①塩酸と水酸化ナトリウム
HCl + NaOH → NaCl + H2O
②酢酸の電離
CH3COOH ⇄ CH3COO- + H+
③アンモニアの電離
NH3 + H2O ⇆ NH4+ + OH-
④アンモニアと塩酸の反応
NH3 + HCl → NH4Cl
⑤二酸化炭素と水酸化バリウム
CO2 + Ba(OH)2 → BaCO3↓ + H2O
※二酸化炭素は水に溶けると炭酸(H2CO3)となるので、2価の酸と考える。
⑥シュウ酸に水酸化ナトリウム水溶液を加える。
(COOH)2 + 2NaOH → Na2C2O4 + 2H2O
※シュウ酸は2価の弱酸。H2C2O4と書かれることもある。
⑦石灰水(水酸化カルシウム水溶液)に二酸化炭素を通じる。
Ca(OH)2 + CO2 → CaCO3+ H2O
※非金属元素の酸化物は酸性酸化物(塩基と反応する酸化物)である。
※二酸化炭素の検出方法で、白濁する。
※白濁の正体は炭酸カルシウムの沈殿である。アルカリ金属以外の炭酸塩(アルカリ土類金属含む)は水に難溶で、沈殿しやすい。
⑧水酸化カリウムに二酸化硫黄を通じる。
2KOH + SO2 → K2SO3+ H2O
※硫酸カリウム(K2SO4)ではなく、亜硫酸カリウム(K2SO3)となることに注意。
※二酸化硫黄(SO2)を水に溶かしたら、硫酸(H2SO4)ではなく、亜硫酸(H2SO3)になる。
⑨二酸化ケイ素を水酸化ナトリウムで融解させる。
SiO2+2NaOH → Na2SiO3+H2O
⑩硝酸カリウムの電離
KNO3 → K+ + NO3-
※水溶液は中性になる(塩の加水分解をしない)。
⑪硫酸水素カリウムの電離
KHSO4 → K+ + HSO4-
HSO4- → H+ + SO42-
※水溶液は酸性になる(塩の加水分解ではないことに注意)。
(2)塩の加水分解
①酢酸ナトリウムの加水分解
CH3COONa → CH3COO- + Na+
CH3COO- + H2O ⇆ CH3COOH + OH-
※水溶液は塩基性になる。
②炭酸ナトリウムの加水分解
Na2CO3 → 2Na+ + CO32-
CO32- + H2O ⇆ H2CO3 + 2OH-
※水溶液は塩基性になる。
③炭酸水素ナトリウムの加水分解
NaHCO3 → Na + HCO3-
HCO3- + H2O ⇆ H2CO3 + OH-
※水溶液は塩基性になる。
④硫酸アンモニウムの加水分解
(NH4)2SO4 → 2NH4+ + SO42-
NH4+ + H2O ⇆ NH3 + H3O+
※水溶液は酸性になる。
⑤硫酸銅の加水分解
CuSO4 → Cu2+ + SO42-
Cu2+ + 2H2O ⇆ Cu(OH)2 + 2H+
※水溶液は酸性になる。
☆解説授業:塩の加水分解と弱酸遊離の原理(弱酸の性質によって起きる現象)
(3)弱酸遊離反応・弱塩基遊離反応
①酢酸ナトリウムに塩酸を加える。
CH3COONa + HCl → CH3COOH + NaCl
※弱酸遊離
②硫酸アンモニウムと水酸化ナトリウム
(NH4)2SO4 + 2NaOH → 2NH3 + 2Na2SO4 + 2H2O
※弱塩基遊離
③硫化鉄(Ⅱ)に希塩酸を注ぐ。
FeS + 2HCl → FeCl2 + H2S
※弱酸遊離
※硫化水素の製法
④塩化アンモニウムに水酸化カルシウムを加えて熱する。
2NH4Cl + Ca(OH)2 → CaCl2 + 2H2O + 2NH3
※弱塩基遊離
※アンモニアソーダ法の一反応である。
※実験室でのアンモニアの製法
⑤亜硫酸ナトリウムに希硫酸を注ぐ。
Na2SO3 + H2SO4 → Na2SO4 + H2O + SO2
※弱酸遊離
※二酸化硫黄の製法
⑥石灰石(炭酸カルシウム)に塩酸を注ぐ。
CaCO3 + 2HCl → CaCl2 + H2O + CO2
※弱酸遊離
※二酸化炭素の製法
⑦水ガラス(ケイ酸ナトリウム)に塩酸を加える。
Na2SiO3 + 2HCl → H2SiO3 + 2NaCl
※弱酸遊離
※この反応で生成したケイ酸(H2SiO3)は加熱するとシリカゲルが生成する。
⑫石灰水(水酸化カルシウム水溶液)に二酸化炭素を通じて白濁した後も、石灰水に二酸化炭素を通じ続ける。
CaCO3 + CO2 + H2O → Ca(HCO3)2
※弱酸遊離
※石灰水に二酸化炭素を通じると白濁するが、その後もさらに通じ続けると白濁が消える。これは、炭酸カルシウム(CaCO3)が、炭酸水素カルシウム(Ca(HCO3)2)へと変化したためである。
※アルカリ金属以外の炭酸塩(アルカリ土類金属含む)は水に難溶で沈殿しやすいのに対し、炭酸水素塩は基本的に水に溶けやすい。
※この反応によって、鍾乳洞が形成されている。
☆解説授業:塩の加水分解と弱酸遊離の原理(弱酸の性質によって起きる現象)
(4)揮発性酸遊離反応
①塩化ナトリウムに濃硫酸を加えて熱する。
NaCl + H2SO4 → NaHSO4 + HCl
②ホタル石に濃硫酸を加えて熱する。
CaF2 + H2SO4 → 2HF + CaSO4
☆解説授業:揮発性酸遊離反応を解説します!(そもそも揮発性酸遊離反応とは何か、塩化水素の発生、フッ化水素の発生、揮発性酸遊離反応は弱酸遊離の一種?についても解説します)
(5)酸化物の反応
①酸化カルシウムを水に加える。
CaO + H2O → Ca(OH)2
※両性金属以外の金属元素の酸化物は塩基性酸化物(水に溶かすと塩基となる酸化物)である。
※CaOは生石灰、Ca(OH)2は消石灰とも呼ばれる。
※この反応はアンモニアソーダ法の過程の1つ。
※この反応は多量の熱を発生させる。
②酸化銅に希硫酸を加える。
CuO + H2SO4 → CuSO4 + H2O
※両性金属以外の金属元素の酸化物は塩基性酸化物(酸と反応する酸化物)である。
③酸化カルシウムと二酸化炭素との反応
CaO + CO2 → CaCO3
※両性金属以外の金属元素の酸化物は塩基性酸化物(酸と反応する酸化物)である。
④酸化アルミニウムと塩酸の反応
Al2O3 + HCl → 2AlCl3 + 3H2O
※アルミニウムは両性金属なので、その酸化物は酸とも塩基とも反応する。
※両性金属は、Al, Zn, Sn, Pbの4つ(「ああすんなり」という語呂合わせが有名)
⑤酸化アルミニウムと水酸化ナトリウムの反応
Al2O3 + 2NaOH +3H2O → 2Na[Al(OH)4]
※アルミニウムは両性金属なので、その酸化物は酸とも塩基とも反応する。
※両性金属は、Al, Zn, Sn, Pbの4つ(「ああすんなり」という語呂合わせが有名)
※両性酸化物が塩基と反応するのは、OH-と錯イオンを形成するからである。
⑥二酸化炭素を水に溶かす。
CO2 + H2O → H2CO3
※非金属元素の酸化物は酸性酸化物(水に溶かすと酸となる酸化物)である。
⑦二酸化硫黄を水に溶かす。
SO2 + H2O → H2SO3
※硫酸(H2SO4)ではなく、亜硫酸(H2SO3)になることに注意。
⑧三酸化硫黄を水に溶かす。
SO3 + H2O → H2SO4
※接触法(硫酸の工業的製法)の三段階目の反応である。
⑨十酸化四リンを水に溶かす。
P4O10 + 6H2O → 4H3PO4
※リン酸(H3PO4)は3価の酸で、弱酸と強酸の中間ぐらいの強さの酸なので中酸と呼ばれることがある(分類上は弱酸)。
⑩二酸化窒素を温水に溶かす。
3NO2 + H2O → 2HNO3 + NO
※オストワルト法(硝酸の工業的製法)の三段階目の反応である。
⑪二酸化窒素を冷水に溶かす。
3NO2 + H2O → HNO3 + HNO2
※亜硝酸(HNO2)は不安定な酸である。
⑫石灰水(水酸化カルシウム水溶液)に二酸化炭素を通じる。
Ca(OH)2 + CO2 → CaCO3+ H2O
※非金属元素の酸化物は酸性酸化物(塩基と反応する酸化物)である。
※二酸化炭素の検出方法で、白濁する。
※白濁の正体は炭酸カルシウムの沈殿である。アルカリ金属以外の炭酸塩(アルカリ土類金属含む)は水に難溶で、沈殿しやすい。
⑬白濁した後も、石灰水に二酸化炭素を通じ続ける。
CaCO3 + CO2 + H2O → Ca(HCO3)2
※石灰水に二酸化炭素を通じると白濁するが、その後もさらに通じ続けると白濁が消える。これは、炭酸カルシウム(CaCO3)が、炭酸水素カルシウム(Ca(HCO3)2)へと変化したためである。
※アルカリ金属以外の炭酸塩(アルカリ土類金属含む)は水に難溶で沈殿しやすいのに対し、炭酸水素塩は基本的に水に溶けやすい。
※この反応によって、鍾乳洞が形成されている。
※この反応は弱酸遊離反応である。
⑭酸化カルシウムと二酸化ケイ素を混ぜて加熱する。
CaO + SiO2 → CaSiO3
※鉄の製造過程で、鉄鉱石中の不純物であるSiO2は、この反応によりスラグとなる。
(6)酸化剤と還元剤の半反応式
【酸化剤】
①酸素
O2 + 4e– → 2O2–
②塩素
Cl2 + 2e– → 2Cl–
③オゾン
O3 + 2e– + 2H+ → H2O + O2
④過マンガン酸イオン(酸性溶液中)
MnO4– + 5e– + 8H+ → Mn2+ + 4H2O
※酸性溶液には基本的に希硫酸を用いる。塩酸は還元剤として働き、過マンガン酸イオンと酸化還元反応を起してしまうので、使用できない。
⑤過マンガン酸イオン(中~塩基性溶液中)
MnO4– + 3e– + 2H2O → MnO2 + 4OH–
※酸性溶液中でなければ、左辺に水素イオンを供給するものが水となる。この場合、左辺に水を書き、右辺に水酸化物イオン(水素イオンを奪われた水は水酸化物イオンになる)を書くようにする。
⑥酸化マンガン(Ⅳ)
MnO2 + 2e– + 4H+ → Mn2+ + 2H2O
⑦ニクロム酸イオン
Cr2O72- + 6e– + 14H+ → 2Cr3+ + 7H2O
⑧濃硝酸
HNO3 + e– + H+ → NO2 + H2O
⑨希硝酸
HNO3 + 3e– + 3H+ → NO + 2H2O
⑩熱濃硫酸
H2SO4 + 2e– + 2H+ → SO2 + H2O
⑪過酸化水素
H2O2 + 2e– + 2H+ → 2H2O
⑫二酸化硫黄
SO2 + 4H+ + 4e– → S + 2H2O
【還元剤】
①水素
H2 → 2H+ + 2e–
②ヨウ化物イオン
2I– → I2 + 2e–
③鉄(Ⅱ)イオン
Fe2+ → Fe3+ + e–
④スズ(Ⅱ)イオン
Sn2+ → Sn4+ + 2e–
⑤硫化水素
H2S → S + 2H+ + 2e–
⑥シュウ酸
H2C2O4 → 2CO2 + 2e– + 2H+
⑦チオ硫酸イオン
2S2O32- → S4O62- + 2e–
⑧一酸化炭素
CO + H2O → CO2 + 2H+ + 2e–
⑨二酸化硫黄
SO2 + 2H2O → SO42- + 2e– + 4H+
⑩過酸化水素
H2O2 → O2 + 2e– + 2H+
☆解説授業:酸化還元反応の化学反応式の作り方(硫酸酸性の過マンガン酸カリウムと硫酸鉄(Ⅱ)の反応)
(7)酸化還元反応
①硫酸酸性の硫酸酸性の過マンガン酸カリウムと硫酸鉄(Ⅱ)
2KMnO4 + 10FeSO4 + 8H2SO4 → 2MnSO4 + 5Fe2(SO4)3 + 8H2O + K2SO4
②チオ硫酸イオンとヨウ素のイオン反応式
S2O32-+I2→S4O62-+2I-
③塩素とヨウ化カリウムの反応
Cl2+2KI → I2+2KCl
※塩素はヨウ素よりも酸化力が強いため、この反応が起きる。
※塩素はヨウ化カリウムデンプン紙を青変させる(塩素の検出方法)。塩素はヨウ化カリウムを酸化させ、発生したヨウ素がデンプンと反応し(ヨウ素デンプン反応)、青紫色に呈色する。
④ヨウ化カリウム水溶液にオゾンを通じる。
O3 + 2KI + H2O → I2 + + O2 + 2KOH
※オゾンはヨウ化カリウムデンプン紙を青変させる(オゾンの検出方法)。オゾンはヨウ化カリウムを酸化させ、発生したヨウ素がデンプンと反応し(ヨウ素デンプン反応)、青紫色に呈色する。
⑤水素化ナトリウムを水に加える。
NaH + H2O → NaOH + H2
※NaHの水素の酸化数は-1
⑥アンモニアと酸素の反応
4NH3 + 5O2 → 4NO + 6H2O (触媒:Pt)
※オストワルト法の一段階目の反応
⑦一酸化窒素と酸素の反応
2NO + O2 → 2NO2
※オストワルト法の二段階目の反応。
※一酸化窒素の検出にも用いられる。一酸化窒素(無色)は常温で速やかに二酸化窒素(赤褐色)に変化する。
⑧二酸化窒素を水に溶かす。
NO2 + H2O → 2HNO3 + NO
※オストワルト法の三段階目の反応。自己酸化還元反応。
⑨硫黄と酸素
S + O2 → SO2
※接触法の一段階目の反応。
⑩黄鉄鉱を燃焼させる。
4FeS2 + 11O2 → 2Fe2O3 + 8SO2
※接触法の一段階目の反応として、硫黄の燃焼ではなく、黄鉄鉱を燃焼させて二酸化硫黄を得ることもある。
⑪二酸化硫黄と酸素
2SO2 + O2 → 2SO3 (触媒:V2O5)
※接触法の二段階目の反応。この後、三酸化硫黄を水に溶かして硫酸とする。
⑫窒素と水素を混合して、高温・高圧で反応させる。
N2 + 3H2 ⇄ 2NH3 (触媒:FeやFe3O4など)
※ハーバー・ボッシュ法と呼ばれている。
⑬フッ素と水素の反応
F2 + H2 → 2HF
※フッ素は冷暗所でも爆発的に水素と反応する。塩素は光を当てると爆発的に反応し、臭素やヨウ素は高温にすると反応する。
⑭フッ素を水に通じる。
2F2 + 2H2O → 4HF + O2
※水を酸化できるハロゲンの単体はフッ素だけである。
⑮二酸化硫黄と硫化水素の反応
SO2 + 2H2S → 3S + 2H2O
※二酸化硫黄は通常還元剤として働くが、硫化水素などが相手のときは酸化剤として働く。
※火山ガスの中には、二酸化硫黄と硫化水素が含まれているので、火口付近でこの反応が起きている。
⑯カルシウムを水に加える。
Ca + H2O → Ca(OH)2 + H2
※アルカリ金属やアルカリ土類金属は、イオン化傾向が大きいため、常温の水とも反応する。
⑰マグネシウムを熱水に加える。
Mg + 2H2O → Mg(OH)2 + H2
※マグネシウムは熱水であれば反応することができる。
⑱アルミニウムを高温の水蒸気に触れさせる。
2Al + 3H2O → Al2O3 + 3H2
※アルミニウム、亜鉛、鉄は高温の水蒸気と反応する。
※熱分解反応も伴うので、生成するのは水酸化アルミニウム(Al(OH)3)ではなく、酸化アルミニウム(Al2O3)になる(亜鉛と鉄も同様)。
⑲鉄を高温の水蒸気に触れさせる。
2Fe + 4H2O → Fe3O4 + 4H2
※アルミニウム、亜鉛、鉄は高温の水蒸気と反応する。
※熱分解反応も伴うので、生成するのは水酸化鉄ではなく、四酸化三鉄(酸化鉄ではないので注意)になる(亜鉛と鉄も同様)。
⑳亜鉛に希硫酸を注ぐ。
Zn + H2SO4 → ZnSO4 + H2
㉑亜鉛に希塩酸を注ぐ。
Zn + 2HCl → ZnCl2 + H2
㉒酸化マンガン(Ⅳ)に濃塩酸を加えて熱する。
MnO2 + 4HCl → MnCl2 + Cl2 + 2H2O
※塩素の製法
㉓さらし粉に塩酸を注ぐ。
CaCl(ClO)・H2O + 2HCl → CaCl2 + Cl2 + 2H2O
※塩素の製法
㉔銅と熱濃硫酸
Cu + 2H2SO4 → CuSO4 + SO2 + 2H2O
㉕銀と熱濃硫酸
2Ag + 2H2SO4 → Ag2SO4 + SO2 + 2H2O
㉖銅と希硝酸
3Cu + 8HNO3 → Cu(NO3)2 + 2NO + 4H2O
㉗銀と希硝酸
3Ag + 4HNO3 → 3AgNO3 + NO + 2H2O
㉘銅と濃硝酸
Cu + 4HNO3 → Cu(NO3)2 + 2NO2 + 2H2O
㉙銀と濃硝酸
Ag + 2HNO3 → AgNO3 + NO2 + H2O
㉚酸化鉄(Ⅲ)の粉末とアルミニウムの粉末を混合して点火する。
Fe2O3 + 2Al → 2Fe + Al2O3
※テルミット反応とよばれている。発熱量が非常に大きく、生成物の鉄は融解状態で生じるため、溶接に用いられる。
㉛酸化鉄(Ⅲ)を一酸化炭素と加熱する。
Fe2O3 + 3CO → 2Fe + 3CO2
※鉄の製錬の反応である。実際はFe2O3→Fe3O4→FeO→Feと徐々に還元されていく。
㉜硫化銅(Ⅰ)と酸素を混合して加熱する。
Cu2S + O2 → 2Cu + SO2
※黄銅鉱(CuFeS2)から分離した硫化銅(Ⅰ)を用いて、粗銅を製造するときの反応である。
㉝リン酸カルシウムと二酸化ケイ素とコークスを混合して加熱する。
Ca(PO4)2 + 3SiO2 + 5C → 3CaSiO3 + 5CO + 2P
※リンの製法
※生成物が二酸化炭素ではなく、一酸化炭素であることに注意。
㉞二酸化ケイ素とコークスを混合して加熱する。
SiO2 + 2C → Si + 2CO
※ケイ素の製法である。
※生成物が二酸化炭素ではなく、一酸化炭素であることに注意。
㉟リンの燃焼
4P + 5O2 → P4O10
※黄リン(P4)は空気中で自然発火するので、水中で保存する。
☆解説授業:酸化還元反応の化学反応式の作り方(硫酸酸性の過マンガン酸カリウムと硫酸鉄(Ⅱ)の反応)
(8)自己酸化還元反応
①酸化マンガン(Ⅳ)に過酸化水素水を注ぐ。
2H2O2 → 2H2O + O2
※酸素の製法。
※酸化マンガン(Ⅳ)は触媒。過酸化水素の自己酸化還元反応。
②塩素酸カリウムに酸化マンガン(Ⅳ)を加えて熱する。
2KClO3 → 2KCl + O2
※酸素の製法。
※酸化マンガン(Ⅳ)は触媒。塩素酸カリウムの自己酸化還元反応。
③亜硝酸アンモニウム水溶液を熱する。
NH4NO2 → N2 + 2H2O
※窒素の製法。
※亜硝酸アンモニウムの自己酸化還元反応。
④塩素と水の反応を記せ。
Cl2 + H2O ⇄ HCl + HClO
※HClOは次亜塩素酸という。次亜塩素酸には殺菌、漂白作用がある。
※塩素の検出方法に、青色リトマス紙を赤変後漂白というものがある。これは、塩素が水と反応することにより、塩酸と次亜塩素酸を生じ、塩酸が青色リトマス紙を赤変させ、次亜塩素酸によって漂白されるからである。
⑤二酸化窒素を水に溶かす。
NO2 + H2O → 2HNO3 + NO
※オストワルト法の三段階目の反応。
⑥塩素を水酸化カルシウム水よ液に通じる。
Cl2 + Ca(OH)2 → CaCl(ClO)・H2O
※さらし粉の製法。さらし粉には、殺菌、漂白作用がある。
※現在は、高度さらし粉CaCl(ClO)2・2H2Oがよく使われている。
(9)電池
①ボルタ電池の負極
Zn → Zn2++2e-
②ボルタ電池の正極
2H++2e- → H2
※Cu2++2e- → Cuとしないように注意。
③ダニエル電池の負極
Zn → Zn2++2e-
④ダニエル電池の正極
Cu2++2e- → Cu
⑤鉛蓄電池(放電)の負極
Pb + SO42- → PbSO4 + 2e–
⑥鉛蓄電池(放電)の正極
PbO2 + SO42- +4H+ + 2e– →PbSO4 + 2H2O
⑦鉛蓄電池(放電)の化学反応式
Pb + PbO2 + 2H2SO4 → 2PbSO4 + 2H2O
⑧鉛蓄電池(充電)の化学反応式
2PbSO4 + 2H2O → Pb + PbO2 + 2H2SO4
☆解説授業:電池の負極と正極の反応式(ボルタ電池、ダニエル電池、鉛蓄電池)
(10)電気分解
①電気分解における陰極の反応の順番を記せ。
②電気分解における陽極の反応の順番を記せ。
③陰極:白金、陽極:白金、電解質水溶液:硫酸銅水溶液
陰極:Cu2+ + 2e– → Cu
陽極:2H2O → O2 + 4H+ + 4e–
④陰極:白金、陽極:白金、電解質水溶液:塩化銅水溶液
陰極:Cu2+ + 2e– → Cu
陽極:2Cl– → Cl2 + 2e–
☆解説授業:電気分解における陰極と陽極の反応の順番ルール
(11)気体の燃焼
①メタンの燃焼
CH4 + 2O2 → CO2 + 2H2O
②一酸化炭素の燃焼
2CO + O2 → 2CO2
③メタノールの燃焼
2CH3OH + 3O2 → 2CO2 + 4H2O
④硫化水素の燃焼
2H2S + 3O2 → 2SO2 + 2H2O
※Sを含む物質を燃焼したときは、二酸化硫黄(SO2)が生成する。
☆解説授業:気体の燃焼の化学反応式の作り方(酸素の係数は最後に調整する)
(12)熱分解反応
①炭酸カルシウムを加熱する。
CaCO3 → CaO + CO2
※アンモニアソーダ法の一反応。
②炭酸ナトリウムと二酸化ケイ素を混合して加熱する。
NaCO3 + SiO2 → Na2SiO3 + CO2
※生成するケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)に水を加えて加熱したものを水ガラスという。
※この反応は弱酸遊離ではない(ケイ酸は二酸化炭素(炭酸)より強い酸ではない)。
※加熱によって炭酸ナトリウムが熱分解し、生じた酸化物イオンと二酸化ケイ素がくっつきケイ酸イオンとなっている。
③炭酸水素ナトリウムを加熱する。
2NaHCO3 → Na2CO3 + H2O + CO2
※アンモニアソーダ法の最終段階である。
※炭酸水素ナトリウムは重曹とも言う。
※炭酸水素ナトリウムはベーキングパウダーの主成分でもある。この反応によって、パンや焼き菓子の膨張剤となっている。
④炭酸水素カルシウム水溶液を加熱する。
Ca(HCO3)2 → CaCO3 + H2O + CO2
※この反応により、鍾乳石や石筍ができている。
※石灰岩が二酸化炭素を含む水によって溶かされることにより(CaCO3 + CO2 + H2O → Ca(HCO3)2)、鍾乳洞ができる。そして、この炭酸水素カルシウムを含む水溶液から水が蒸発すると、鍾乳石や石筍となる。
⑤水酸化アルミニウムを加熱する。
2Al(OH)3 → Al2O3 + 3H2O
※アルミニウムを高温の水蒸気に反応させると、アルミニウムは水酸化アルミニウムになった後、直ちにこの反応により酸化アルミニウムになる。
⑥水酸化鉄(Ⅲ)を加熱する。
2Fe(OH)3 → Fe2O3 + 3H2O
⑦水酸化銅(Ⅱ)を加熱する。
Cu(OH)2 → CuO + H2O
※青白色の水酸化銅(Ⅱ)が黒色の酸化銅(Ⅱ)に変化する。さらに過熱すると、赤色の酸化銅(Ⅰ)に変化する。
(13)沈殿生成反応
①飽和食塩水にアンモニアと二酸化炭素を溶かす。
NaCl + H2O +NH3 + CO2 → NaHCO3 + NH4Cl
※この反応はアンモニアソーダ法の過程の1つ。
※炭酸水素ナトリウムは水に溶けるが、塩化ナトリウムなどに比べると溶解度があまり大きくないので、飽和して沈殿が生成する。
(14)錯イオン形成反応
①ガラス(二酸化ケイ素が主成分)をフッ化水素酸が溶かす反応
SiO2 +6HF → H2SiF6 + 2H2O
※この反応のようにフッ化水素酸はガラスを溶かすので、ポリエチレン容器に保存する。
※[SiF6]2-の錯イオンを、ヘキサフルオロケイ酸イオンという。
②アルミニウムに過剰な量の水酸化ナトリウム水溶液を加える。
2Al + 2NaOH + 6H2O → 2Na[Al(OH)4] + 3H2
※両性元素(Al, Zn, Sn, Pb)はOH-を配位子とした錯イオンを形成する。
※アルミニウムイオンの配位数は4である。
※[Zn(OH)4]2-はテトラヒドロキシドアルミン酸イオンと読む。
③水酸化亜鉛に過剰な量のアンモニア水を加える。
Zn(OH)2 + 4NH3 → [Zn(NH3)4]2+ + 2OH-
※Zn, Ag, Cu, NiはNH3を配位子とした錯イオンを形成する。
※亜鉛イオンの配位数は4である。
※[Zn(NH3)4]2+はテトラアンミン亜鉛(Ⅱ)イオンと読む。
④臭化銀にチオ硫酸ナトリウム水溶液を加える。
AgBr + 2Na2S2O3 → Na3[Ag(S2O3)2] + NaBr
※AgはS2O32-を配位子とした錯イオンを形成する。
※銀イオンの配位数は2である。
※[Ag(S2O3)2]3-はビス(チオスルファト)銀(Ⅰ)酸イオンと読む。
(15)平衡反応
①水素とヨウ素を容器に入れる。
H2 + I2 ⇆ 2HI
②ハーバー・ボッシュ法
N2 + 3H2 ⇆ 2NH3 (触媒:Fe2O4)
☆解説授業:化学平衡の基本(化学平衡とは何か、可逆反応・不可逆反応、グラフの読み取り、平衡定数の定義、化学平衡の法則・質量作用の法則)
(16)脱水反応
①熱した濃硫酸にギ酸を滴下する。
HCOOH → H2O + CO
(17)脱炭酸反応
①酢酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合物を加熱する。
CH3COONa + NaOH → CH4↑ + Na2CO3
※メタンの製法である。
~参考~
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