(1)解説授業動画
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(2)解説授業の原稿
次は和が与えられているパターンの解説をします。
和Snが与えられているときに使う2つの式
Snつまりanの和が与えられているときは、
a1=S1
an=Sn−Sn−1 (n≧2)
の2つの式を使います。
Snとはa1からanまでの和のことなので、S1とはa1までの和ということになり、それはつまりa1のことです。
また、Sn−1とはa1からan−1までの和ということなので、SnからSn−1を引くことでanだけが残るので、これらの式が成り立ちます。
ただし、2番目の式(an=Sn−Sn−1)を使うときは、nは2以上でないといけません。なぜなら数列において項数は自然数でないといけないからです。もしnが1になってしまえば、n−1は0となってしまい、0番目が存在するということになってしまいます。このように、数列の単元においてn−1を扱うときは、nは2以上にしないといけないということは覚えておきましょう。
例題で解法を確認
それではこの問題を解いていきます。
Sn=−7+2n−anのときanを求めよ。
まずは、1番目の式を使ってa1を求めていきます。このSn=−7+2n−anの式のnを1にしてみます。すると、
Sn=−7+2・1−a1
のようになり、S1はa1のことなので、左辺をa1にして、
a1=−7+2・1−a1
となります。そして整理すると、a1=−5/2となります。
続いて、「n≧2のとき」と書いてから、2番目の式an=Sn−Sn−1を使います。
an=Sn−Sn−1なので、Snは問題文で与えられている式を代入し、Sn−1はSnの式のnをn−1にしたものを代入します。そうすると、
an=−7+2n−an−{−7+2(n−1)−an−1}
となります。そしてこの式の両辺を整理すると、
an=1/2an−1+1
となります。
これは特性方程式を使って解くことができるパターンの漸化式です。
左辺がnで右辺がn−1になっているのがやりにくい場合は、nの部分をn+1にして考えてみるとよいでしょう。今回は左辺をn右辺をn−1のままで解きました。
特性方程式をα=1/2α+1とするとα=2となり、
an−2=1/2(an−1−2)
となり、置き換えを使うと、
bn=1/2bn−1
となります。するとbnは公比が1/2の等比数列なので、
an−2=(a1−2)・(1/2)n−1
となります。よってanで解くと、
an=−9(1/2)n+2・・・(ア)
となります。
ただしこの問題はここでは終わりません。これではまだ答案の途中です。なぜなら、これまではn≧2のときの話をしているので、ここで終わってしまうとnが1のときもこの式(an=−9(1/2)n+2)が成り立つとは言えないからです。
よって、ここからはn=1のときもこの式(an=−9(1/2)n+2)が成り立つことを確かめます。an=−9(1/2)n+2の右辺にn=1を代入し計算すると、
−9・(1/2)+2=−5/2
となり、計算結果と最初に求めたa1の値が一致するので、この式(an=−9(1/2)n+2)はn=1のときも成り立つことが確認できました。よって、全ての自然数nにおいてSn=−7+2n−anになるときのanはan=−9(1/2)n+2となります。
n≧2のときとn=1のときで答えが変わってくることもあるので、an=Sn−Sn−1のときのように、数列の問題でn−1を扱うときは必ずn≧2のときを求めた後、n=1でも成り立つかどうかを確認しましょう。
(3)解説授業の内容を復習しよう
(4)漸化式基本パターン解説一覧
①漸化式をマスターしよう(2)基本パターン①(特性方程式を利用して解く漸化式、漸化式の解法の基本にして奥義)
②漸化式をマスターしよう(2)基本パターン②(n乗の項を含む漸化式)
③漸化式をマスターしよう(2)基本パターン③(分母と分子にanを含む漸化式)
④漸化式をマスターしよう(2)基本パターン④(anan+1を含む漸化式)
⑤漸化式をマスターしよう(2)基本パターン⑤(anにルートや指数がついている漸化式)
⑥漸化式をマスターしよう(2)基本パターン⑥(和Snが与えられているパターン、なぜn≧2としなければいけないのか)
⑦漸化式をマスターしよう(2)基本パターン⑦(階差数列の公式を使うパターン)
⑧漸化式をマスターしよう(2)基本パターン⑧(最も重要なパターン、これが理解できたら漸化式の基本はマスターしたと言えます)
(5)漸化式をマスターしよう(数学B)の解説一覧
②漸化式をマスターしよう(1)基本中の基本(等差数列の漸化式、等比数列の漸化式、そもそも漸化式とは何か)
④漸化式をマスターしよう(3)応用パターン解説(隣接3項間漸化式、発想が難しい漸化式、一般項を予想して数学的帰納法で証明するパターン)
(6)参考
☆漸化式(数学B)をマスターしよう(漸化式全パターンの解説・授業・演習問題一覧)
☆数学の解説・授業・公式・演習問題一覧(Ⅰ・A・Ⅱ・B・Ⅲ)
「漸化式をマスターしよう」シリーズは、『細野真宏の数列と行列が面白いほどわかる本 Version2.0』(細野真宏著、(株)中経出版発行、現在は絶版)を参考にしています。
細野真宏先生が現在発行している出版物はこちら(小学館HP)→https://www.shogakukan.co.jp/author/5885
中経出版の参考書・問題集はこちら(学参ドットコム)→https://www.gakusan.com/