(1)解説授業動画
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(2)解説授業の原稿
見かけの重力・見かけの鉛直方向とは
「見かけの重力」あるいは「見かけの鉛直方向」という言葉は、観測者が加速している物体に乗っているときにのみ使う言葉です。
そもそも地球上にある物体は全て、重力という場の力を受けます。場の力とは、その場にいれば何もしなくても受ける力のことです。つまり我々は地球上にいる限り、何もしなくても重力という力を受けます。
また、加速している物体に乗れば、加速方向とは逆向きの慣性力を感じます。ただし、慣性力はあると感じているだけの実際にはない力なので、見かけの力となります。
そして、地球上であればだれもが受ける力である重力と、加速している物体に乗っているときにだけあると感じる見かけの力の慣性力、この2つの力を合成したものが「見かけの重力」と呼ばれています。
つまり、実際の重力は鉛直下向きにかかっているのですが、慣性力を感じているせいで重力が斜め方向にかかっているように感じてしまっているのです。
例えば、床が前方向に加速したとすると、あたかも世界が傾いたように感じ、斜め後ろ方向に落ちていくように感じるのです。これが見かけの重力というものです。そして落ちていくように感じる方向を「見かけの鉛直方向」と呼びます。
加速している電車の中のつり革
それでは具体的に例で確認してみましょう。
例えば、加速している電車の中でつり革はどうなっているでしょうか。
加速している電車の中でつり革は見かけの鉛直方向に傾いています。
なぜなら加速している電車の中にある物体は全て、見かけの鉛直方向に見かけの重力を受けているように感じているからです。
加速している電車の中の風船
次に、加速している電車の中で風船を離すとどうなるでしょうか。
加速している電車の中で風船は見かけの鉛直方向を上に登っていきます。
なぜなら風船は上に登って行く性質があるからです。しかし、加速している電車の中にある物質にとっての上方向というのは見かけの鉛直方向の上向きなのです。
加速している電車の中の水の入ったコップ
それでは、加速している電車の中に水の入ったコップを置くとどうなるでしょうか。
その水面は見かけの鉛直方向と垂直な方向に傾きます。この見かけの鉛直方向と垂直な方向は、いわば「見かけの水平方向」と言えるでしょう。
加速している電車の中の振り子
最後に、静止した電車内で実際の鉛直方向に垂らしておいた振り子が、電車が加速するとどのように動くか考えてみましょう。
電車が加速すると、振り子が最初にあった位置を振動の端、見かけの鉛直方向を振動の中心の軸として振動します。
(3)解説授業の内容を復習しよう
(4)力の法則(力学)の解説一覧
②力の矢印の書き方(場の力と接触力、作用・反作用の法則、積み重ねられた物体に働く力、浮力の反作用)
③運動方程式の意味(力を加えるとその方向に加速度が生じる、放物運動・円運動・単振動を運動方程式で考える)
④定滑車と動滑車の考え方(束縛条件、動滑車を使って物体を持ち上げる場合についても解説しています)
⑤ばねの合成と切断(直列つなぎ、並列つなぎ、1/nに切断、M:mに切断したとき、ばね定数がどうなるか)
⑥浮力とは何か(水圧と浮力の違い、アルキメデスの原理についても解説しています)
⑦流体内(大気中・水中)の圧力を考えるときのポイント(圧力はあらゆる方向からかかる、圧力のつり合いは壁で考える、力のつり合いと圧力のつり合いの違い)
⑧摩擦力は3種類あると考えましょう(静止摩擦力、最大摩擦力、動摩擦力)
⑨見かけの重力とは何か?(見かけの鉛直方向とは何か? 加速している電車の中でつり革・風船・コップに入った水・振り子はどうなる?)
(5)参考
☆物理の解説動画・授業動画一覧(力学・熱力学・波動・電磁気・原子)
☆物理に関する現象や技術(力学、熱力学、波動、電磁気、原子)