運動方程式の意味(力を加えるとその方向に加速度が生じる、放物運動・円運動・単振動を運動方程式で考える)

(1)解説授業動画

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(2)解説授業の原稿

運動方程式の重要な考え方

運動方程式は力学において最も重要な公式です。

今回はこの運動方程式の、力学の問題を解く上で知っておきたい捉え方をご紹介します。

運動方程式をFベクトル=maベクトルと書いてみると、この式は「力を加えるとその方向に物体に加速度が生じる」という意味の式となります。

力学の問題を考える上でこの考え方はとても重要なので必ず知っておきましょう。

斜面上の運動を運動方程式で考える

例えば以下のように摩擦のない斜面に物体を置いたとき、物体が斜面に沿って下方向に動いていくのは重力の斜面に沿って下向きの力が働いているからです。

つまり斜面に沿って下向きの力が加わっているので、物体には斜面に沿って下向きの加速度を生じているということになります。

また物体が床に沈んだりあるいは浮いたりしないのはなぜかというと、斜面に垂直な方向の重力の分力と、垂直抗力がつり合っており、斜面に垂直な方向では合力が0となるので、物体に生じる加速度は0となり、斜面に垂直な方向に物体が動くことがないのです。

このように力と加速度の関係を考えるようにすることが大切です。

放物運動を運動方程式で考える

この考え方ができるようになると、放物運動において、なぜ水平方向だけを考えると等速直線運動になっているのかを理解することができます。

放物運動をしている物体に働く力は重力だけであり、それ以外の力は働いていません。そのため水平方向に働く力がなく、水平方向に加速度は生じないため水平方向の運動は等速直線運動となるのです。

円運動を運動方程式で考える

円運動を理解するときにもこの考え方は使います。

例えば水平な板の上に釘を打ち、その釘と物体を糸でつなぎます。その状態で、物体に、糸と垂直な方向に速度を与えると、この物体は円運動をします。

なぜ円運動をするかというと、この物体には常に中心方向の張力が働くので、運動方程式から考えて、その方向に加速度が生じるからです。

つまり物体が円の接線方向に進もうとしたとき、中心向きの加速度が生じているため少し内側に移動します。そして、次も接線方向に進もうとするけど、中心向きの加速度が生じているのでまた少し内側に移動して……といったように繰り返して円運動をします。

このように回転の中心方向に常に働き、物体が円運動する原因となっている力のことを向心力といい、向心力によって生じた向心力と同じ向きの加速度のことを向心加速度といいます。

このように運動方程式を理解しておけば、向心力によって円運動が成り立っているということが理解できると思います。

単振動を運動方程式で考える

また単振動もこの考え方で理解することができます。

例えば、物体を点乗にばねで吊るす、いわゆる鉛直ばね振り子で考えてみましょう。

つり合いの位置の場合、物体が受ける重力の大きさと物体がばねから受ける弾性力の大きさは等しいため、この物体の加速度は0となります。この状態から物体を少し引っ張り、手を離すと、物体は上下に単振動をします。

それはなぜかというと、物体がつり合いの位置よりも下にあるときは、重力よりも弾性力の方が大きくなるので鉛直方向の合力は上向きに正となります。そのため、上向きの力が働いているので、上向きに加速度が生じ、物体は鉛直上向きに加速することになります。

また、物体が釣り合いの位置よりも上にあるときは、重力の大きさよりも弾性力の方が小さくなる、あるいは、ばねが自然長よりも押し込まれた場合は弾性力の向きが下向きとなります。そのため、どちらの場合も鉛直方向の合力は下向きとなり、下向きの加速度が生じます。

このように釣り合いの位置よりも下にあっても上にあっても、物体は釣り合いの位置に向かう加速度が常に生じるので単振動をするのです。

いかがだったでしょうか。運動方程式が表す意味を理解できたでしょうか。今日ご紹介したように、この考え方は様々な運動に適用できるのでぜひ試してみてください。

(3)解説授業の内容を復習しよう

斜面上の物体の運動

(4)力の法則(力学)の解説一覧

力の法則(力学)公式

力の矢印の書き方(場の力と接触力、作用・反作用の法則、積み重ねられた物体に働く力、浮力の反作用)

運動方程式の意味(力を加えるとその方向に加速度が生じる、放物運動・円運動・単振動を運動方程式で考える)

定滑車と動滑車の考え方(束縛条件、動滑車を使って物体を持ち上げる場合についても解説しています)

ばねの合成と切断(直列つなぎ、並列つなぎ、1/nに切断、M:mに切断したとき、ばね定数がどうなるか)

浮力とは何か(水圧と浮力の違い、アルキメデスの原理についても解説しています)

流体内(大気中・水中)の圧力を考えるときのポイント(圧力はあらゆる方向からかかる、圧力のつり合いは壁で考える、力のつり合いと圧力のつり合いの違い)

摩擦力は3種類あると考えましょう(静止摩擦力、最大摩擦力、動摩擦力)

見かけの重力とは何か?(見かけの鉛直方向とは何か? 加速している電車の中でつり革・風船・コップに入った水・振り子はどうなる?)

(5)参考

力の法則(力学)の解説・授業・公式・演習問題一覧

力学(物理基礎、物理)の解説動画・授業動画一覧

力学(物理基礎、物理)公式一覧

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物理の解説動画・授業動画一覧(力学・熱力学・波動・電磁気・原子)

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