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ばねの合成と切断(直列つなぎ、並列つなぎ、1/nに切断、M:mに切断したとき、ばね定数がどうなるか)

(1)解説授業動画

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(2)解説授業の原稿

ばねを直列でつないだとき、合成ばね定数がどのようになるか、あるいは並列でつないだとき、合成ばね定数がどのようになるか、そしてばねを切断したとき、ばね定数がどのようになるか、この3点について解説します。

直列つなぎの合成ばね定数

まずは、直列つなぎの合成ばね定数を考えてみます。

例えば下図のように、ばね定数k1のばねと、ばね定数k2のばねを直列でつなぎます。

そしてFの力で引っ張ったとき、ばね1の伸びをx1 、ばね2の伸びをx2 とします。この2つのばねの伸びの合計をxとすると、

x=x1+x2 ・・・(ア)

となります。

そして次に、それぞれのばねの弾性力を考えてみます。

ばね2はFの力で引っ張られているので、作用・反作用の法則から、ばね2は手をFの力で引っ張ります。つまり、ばね2の弾性力はFなので、ばね1をFの力で引っ張ります。すると、作用・反作用の法則から、ばね1は、ばね2をFの力で引っ張ります。よって、ばね1の弾性力もFとなります。ちなみに、ばね1は壁をFの力で引っ張り、作用・反作用の法則から壁はばね1をFの力で引っ張ります。

このように、ばねを直列つなぎにした場合に力を考えるときは、作用・反作用の法則で考えるようにしましょう。

したがって、この2つのばねを1つのばねとみなし、その合成ばねのばね定数をkとすると、合成ばねの弾性力も、ばね1の弾性力も、ばね2の弾性力もFとなるので、フックの法則より、

F=kx=k1x1=k2x2

となります。そしてこの式を式変形して 

x=F/k
x1­=F/k1
x2=F/k2

これらを(ア)の式に代入して、両辺をFで割ると

1/k=1/k1+1/k2

という式が導かれます。

並列つなぎの合成ばね定数

それでは次に、並列つなぎの合成ばね定数を求めてみましょう。

例えば下図のように、ばね定数k1のばねと、ばね定数k2のばねを並列でつなぎます。そしてFの力で引っ張ったとします。

今回は、並列ですので、それぞれのばねの伸びが等しいものとして考え、その伸びをxとします。

この2つのばねを1つのばねとして考えたときの、合成ばね定数をkとすると、フックの法則より

F=kx

が成り立ちます。

また、ばね1が手を引っ張る力はフックの法則よりk1xとなり、ばね2が手を引っ張る力はフックの法則よりk2xとなります。ゆえに、

F=k1x+k2x

が成り立ち、F=kx を代入して、両辺をxで割ると、

k=k1+k2

を導くことができます。

ばねの切断

それでは最後に、ばねを切断した時のばね定数を求めてみます。

二等分に切断する

例えば、ばね定数kのばねを二等分に切断します。

そして、切断した後にできる、それぞれのばねのばね定数をk’とします。するとこれは、「ばね定数k’のばねを2つ直列でつないで、その合成ばね定数がkとなっている」と考えることができます。

そのため直列つなぎの式を使って、

1/k=1/k’+1/k’

となり、計算すると1/k=2/k’となるので、

k’=2k

となります。このように二等分であれば、切った後のばね定数は元のばね定数の2倍となります。

n等分に切断する

同様に三等分の場合は、

1/k=1/k’+1/k’+1/k’

となって、

k’=3k

となります。

このように繰り返していけば、1/nに切断した場合は、ばね定数はn倍となることが分かると思います。

M:nの比で切断

また、ばね定数kのばねをM:mの比で切ったとき、それぞれのばねのばね定数がどのようになるかを考えてみましょう。Mの比で切ったばねのばね定数をk1、mの比で切ったばねのばね定数をk2とします。

もとのばねの長さをℓとし、Mの方のばねの長さをℓ1、mの方のばねの長さをℓ2とすると、1はℓにM/(M+m)をかけたものになり、ℓ2はℓにm/(M+m)をかけたものになります。

そして、ばねは1/nに切断されるとばね定数はn倍になります。つまり逆数の関係になっているので、元のばねの長さのM/(M+m)倍になっている場合は、ばね定数は元のばね定数の(M+m)/M倍となります。そして、2はℓのm/(M+m)倍となっているので、ばね定数は元のばね定数のm/(M+m)倍となります。

このようにばねを切断して、それぞれのばね定数を求めということは単振動の応用問題で使う考え方なので、ぜひできるようにしておきましょう。

(3)解説授業の内容を復習しよう

ばねを両端から引っ張る

(4)力の法則の解説一覧

力の法則(力学)公式

力の矢印の書き方(場の力と接触力、作用・反作用の法則、積み重ねられた物体に働く力、浮力の反作用)

運動方程式の意味(力を加えるとその方向に加速度が生じる、放物運動・円運動・単振動を運動方程式で考える)

定滑車と動滑車の考え方(束縛条件、動滑車を使って物体を持ち上げる場合についても解説しています)

ばねの合成と切断(直列つなぎ、並列つなぎ、1/nに切断、M:mに切断したとき、ばね定数がどうなるか)

浮力とは何か(水圧と浮力の違い、アルキメデスの原理についても解説しています)

流体内(大気中・水中)の圧力を考えるときのポイント(圧力はあらゆる方向からかかる、圧力のつり合いは壁で考える、力のつり合いと圧力のつり合いの違い)

摩擦力は3種類あると考えましょう(静止摩擦力、最大摩擦力、動摩擦力)

見かけの重力とは何か?(見かけの鉛直方向とは何か? 加速している電車の中でつり革・風船・コップに入った水・振り子はどうなる?)

(5)参考

力の法則(力学)の解説・授業・公式・演習問題一覧

力学(物理基礎、物理)の解説動画・授業動画一覧

力学(物理基礎、物理)公式一覧

力学(物理基礎、物理)の解説・授業・公式・演習問題一覧

物理の解説動画・授業動画一覧(力学・熱力学・波動・電磁気・原子)

物理に関する現象や技術(力学、熱力学、波動、電磁気、原子)

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物理学習に必要な参考書・問題集

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