「筑波嶺の みねより落つる みなの川 恋ぞつもりて 淵となりぬる」の解説

①枕詞・序詞・掛詞

・「筑波嶺の みねより落つる みなの川」が「恋ぞつもりて」を導く序詞

②助動詞と助詞の文法的説明

・「より」は格助詞

・「ぞ」は係助詞

・「て」は接続助詞

・「なり」はラ変動詞の連用形

・「ぬる」は完了の助動詞の連体形(係り結び)

③句切れ

・三句切れ?

→三句切れとする解説が多いがその根拠が不明。上の句を序詞と見ると句切れなしとするのが妥当と思われる。

④現代語訳

筑波山の峯から流れ落ちるみなの川が、一滴の水の雫が積もってやがては深い淵をつくるように、私の恋いこがれる思いもしだいに積もり、今では淵のように深いものとなってしまった。

⑤その他解説

・「筑波嶺」は茨城県の筑波山。男体山と女体山からなる。

・「筑波嶺」と「みね」で「ね」の音を重ねることにより語調を整えている。

・「みなの川」は「水無乃川」のこと。「男女川」とも表す。

・「川」と「淵」は縁語