「来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くや藻塩の 身もこがれつつ」の解説

①枕詞・序詞・掛詞

・「まつ」は「待つ」と「松帆」の掛詞

・「まつほの浦の夕なぎに焼くや藻塩の」は「こがれ」を導く序詞

②助動詞と助詞の文法的説明

・「ぬ」は打消しの助動詞の連体形

・「や」は詠嘆の間投助詞(訳さない)

・「藻塩の」の「の」は比喩の格助詞

・「も」は係助詞

・「つつ」は継続や反復を表す接続助詞

③句切れ

・句切れなし

④現代語訳

どれほど待っても来ない人を待つのは、松帆の浦の夕凪のころに焼かれる藻塩のように、私の身を恋に焦がして、毎日つらく思っているのです。

⑤その他解説

・「松帆」は淡路島の北端

・「藻塩」とは海藻から採る塩のことで、天日干しにした海藻を焼いて水にとかし、それを煮詰めて塩を取り出す。