「みかの原 わきて流るる いづみ川 いつ見きとてか 恋しかるらむ」の解説

①枕詞・序詞・掛詞

・「わきて」は「分きて」と「湧きて」の掛詞とする説もある。

・「みかの原わきて流るる泉川」は「いつ見き」を導く序詞

②助動詞と助詞の文法的説明

・「て」は単純接続の接続助詞

・「き」は過去の助動詞の終止形

・「とて」は「~と言って」と訳す格助詞

・「か」は疑問の係助詞(連体形結び)

・「らむ」は現在推量の連体形(係り結び)

③句切れ

・句切れなし

④現代語訳

みかの原を湧き出て流れる泉川ではないが、あなたをいつ見たというので、こんなに恋しく思っているのだろうか。

⑤その他解説

・「みかの原」は京都府相楽郡を流れる木津川の北側一帯。

・「泉川」は現在の木津川。「湧く」は「泉」の縁語

・作者は相手とまだ会ったことがないのか、それとも一度会ってその後会えずにいるのか、解釈が分かれている。「わきて」に「分きて」を掛けているとすると、何らかの事情で会うことができないと考えることができる。