(1)解説授業動画
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(2)解説授業の原稿
階差数列を使った公式
今回は階差数列について解説します。
これが階差数列を使った公式なのですが、この公式には2つのポイントがあります。
1つ目は「なぜnが2以上でないと、この公式が使えないのか」ということと、2つ目は「そもそもなぜこの式で一般項を求めることができるのか」ということです。
階差数列を使って解く問題の解法
今回はこれらについて解説したいのですが、その前にまず階差数列を使った答案の書き方を確認します。
この数列のように等差数列でも等比数列でもない数列の場合は、階差数列を考えてみます。
階差数列とは何か
階差数列とは、
このようにある項からその前の項を引いてできる数列のことです。例えば、15から6を引けば9となり、28から15を引けば13となり、45から28を引けば17となります。このように数列の差の数列のことを階差数列といいます。
そして、階差数列を見てみると4ずつ増えているので、これは等差数列であるということが分かります。このように元の数列が等差数列や等比数列でなくても、階差数列が等差数列や等比数列であれば、元の数列の一般項を求めることができます。
階差数列の公式を使った答案の書き方
実際にやってみましょう。
数列{an}の階差数列を{bn}とします。すると、bnは初項が9で、公差が4の等差数列になるので、等差数列の一般項の公式である「初項+(n-1)×公差」を使うと、bnつまり階差数列の一般項は、bn=4n+5となります。実際にnに1を入れてみると9になり、nに2を入れてみると13となり、nに3を入れてみると17となります。
よって、ここで階差数列の公式を使って、
となります。
注意点として、この式を使うときは必ず「n≧2のとき」としないといけません。また、Σbkのbkをnではなくkとするのも忘れないようにしましょう。
あとは、この式を計算していきます。a1つまり元の数列の初項は6で、bkとはbnのnをkにしたものということなので、4n+5のnをkにした4k+5とします。
そして、Σの公式を使って計算します。今回使った公式は、
この2つの公式です。今回はΣの上の部分がn-1になっているので、これらの公式のnをn-1にするのを忘れないようにしましょう。あとは、この式を計算するとanを求めることができます。
ただし、ここで答案をやめてしまっては、丸はもらえません。なぜなら、ここまではnが2以上の話をしているので、nが1のときも、このan=2n2+3n+1が成り立つことは言えていないからです。
よって、ここから先はn=1のときも、このan=2n2+3n+1が成り立つことを確かめます。
確かめ方としては、an=2n2+3n+1の右辺にn=1を代入してみます。つまり、2・12+3・1+1を計算してみると、6になり、これは問題で与えられたa1(初項)と一致するので、このan=2n2+3n+1はn=1のときも成り立つことが分かります。
したがって、n≧2のときとn=1のとき、つまり、全ての自然数nにおいて{an}の一般項は2n2+3n+1となります。これが階差数列を使って一般項を求めるときの答案の流れです。
このように階差数列の公式を使いさえすれば、問題を解くことはできるのですが、なぜこれで求めることができるのかを理解しておくことが重要です。
①なぜ「n≧2のとき」としなければいけないのか
それでは最初にお伝えした
この階差数列を使った公式の2つのポイントを解説します。
まず1つ目のポイントは、「なぜ『n≧2のとき』としないといけないのか」ということです。
これは、階差数列だけでなく数列の問題で「項数がn-1のときは、n≧2でないといけない」というルールがあるからです。
なぜこのようなルールがあるのかというと、数列において項数は自然数でないといけないからです。つまり、項数がn-1のとき、nを1にしてしまうとn-1=0となってしまい、0項目となってしまうので、n≧2であるとしないといけないのです。
そのため、数列でn-1を扱う問題を解く場合は、このようにn≧2のときを計算して、その後でn=1のときも確認するという流れで解かないといけないというに注意しましょう。
②そもそもなぜこの式で元の数列の一般項を求めることができるのか
それでは2つ目のポイントである「そもそもなぜこの式で、元の数列の一般項を求めることができるのか」についてです。
階差数列を一般的に書いて考えてみましょう。元の数列をan、階差す列をbnとすると、
このようになります。つまり、a2からa1を引くとb1となり、a3からa2を引くとb2となり、a4からa3を引くとb3となり、そして、anからan-1を引くとbn-1となります。ここで階差数列の項数はn-1になっていることに注意してください。ちなみに、bnはan+1とanの差になります。
このような関係になっているので、a2はa1にb1を足したものになります。また、a3はa2にb2を足したものになるので、a3=a1+b1+b2となります。同様に、a4=a1+b1+b2+b3となり、an=a1+b1+b2+b3+……+bn-1となります。
anを求めるときは、a1にb1からbn-1までの階差数列をすべて足しているので、a1にb1からbn-1までの階差数列の和を足します。やはり、n-1になることに注意してください。
よって、b1+b2+b3+……+bn-1をΣを使って一般的に書くと、
この階差数列を使った公式になります。
ちなみに、このΣの記号の意味は、「(kに1を入れたもの)+(kに2を入れたもの)+(kに3を入れたもの)+……+(kにn-1を入れたもの)まで繰り返す」という意味です。くどいようですが、Σの上をn-1にするのを忘れないようにしましょう。
これがこの公式の原理です。
今回の問題で言えば、2項目の15は6に9を足したものであり、3項目の28は6に9と13を足したものであり、4項目の45は6に9と13と17を足したものになっており、この数列の一般項は、初項である6に階差数列の1項目からn-1項目までをすべて足すことで求めることができるので、この式になります。
いかがだったでしょうか。階差数列を使った公式は、ただ覚えるだけでなく、このように原理から知ることで理解が深まり応用させることができるようになります。
また、漸化式での階差数列を使った解法についても、別の動画で解説しているので、ぜひそちらもチェックしてください。
(3)解説授業の内容を復習しよう
(4)数列(数学B)の解説一覧
②複利計算の解説(そもそも複利とは何か、積み立て預金の計算について解説しています)
③階差数列の公式の原理(答案の書き方、なぜn≧2にするのか、そもそもなぜこの公式が成り立つのかについて解説しています)
④数列を理解できているか試すことができる良問の解説(2015年センター試験本試数学ⅡB第3問を記述問題に改題しています)
⑥数学的帰納法の分かりやすい答案の書き方(不等式バージョン)
(5)漸化式をマスターしよう(数学B)の解説一覧
②漸化式をマスターしよう(1)基本中の基本(等差数列の漸化式、等比数列の漸化式、そもそも漸化式とは何か)
④漸化式をマスターしよう(3)応用パターン解説(隣接3項間漸化式、発想が難しい漸化式、一般項を予想して数学的帰納法で証明するパターン)
(6)参考
☆漸化式(数学B)をマスターしよう(漸化式全パターンの解説・授業・演習問題一覧)