「このたびは ぬさもとりあへず 手向山 紅葉のにしき 神のまにまに」の解説

①枕詞・序詞・掛詞

・「たび」は「度」と「旅」の掛詞

②助動詞と助詞の文法的説明

・「は」は係助詞

・「も」は係助詞

・「ず」は打消しの助動詞の終止形

③句切れ

・二句切れ

→「ず」は終止形

④現代語訳

今度の旅は急いで発ちましたので、捧げる幣(ぬさ)を用意することも出来ませんでした。しかし、この手向山の美しい錦のような紅葉を幣として捧げますので、どうか神の御心のままにお受け取りください。

⑤その他解説

・「幣(ぬさ)」は旅の無事を祈って神に捧げる木綿や麻で作った捧げもの。

・「あへず」:「あふ」に「ず」がつくことで「完全には~できない」という意味になる。

・「手向山」:神に手向けをする山という意味で、固有名詞ではない。