(1)解説授業動画
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(2)解説授業の原稿
今回はωの意味とωの使い方を解説します。
1の3乗根
まずは、1の3乗根が1, ω, ω2になることを確認します。
そもそも1の3乗根とは、3乗して1になる数のことです。13=1なので、1の3乗根として1がまず思い浮かぶと思います。しかし、あと2つ、3乗して1になる数があるのです。それを求めてみます。
求める3乗根をxとおけば、3乗して1になるので、
x3=1
が成り立ちます。そしてこの式を変形して
x3-1=0
として左辺を因数分解します。
(x-1)(x2+x+1)=0
この方程式を解くと、x-1=0または x2+x+1=0なので、x-1=0よりx=1、そしてx2+x+1=0を解の公式を使って解くと
x=(-1±√3i)/2
と虚数解がでます。
ωとは何か
つまり、このx=(-1±√3i)/2のうちどちらかをωと呼んでいるのです。
さらに、
{(-1+√3i)/2}2=(-1-√3i)/2
となります。今回計算は省略しましたが、実際に計算してみるとこのようになります。
また、
{(-1-√3i)/2}2=(-1+√3i)/2
となります。
ということは、(-1±√3i)/2のうちどちらかを2乗してみるともう片方になるということなので、この(-1±√3i)/2のうち1つをωとおいた場合、もう1つはω2となるということになります。ゆえに、1の3乗根は1とωとω2の3つとなります。
つまりωとは、1の3乗根のうち虚数となるものの1つであるということになります。
ωについて成り立つ2つの式
このようにωとは何かを知っておけば、ωについて成り立つ2つのことがわかると思います。
まず1つは、ωは1の3乗根であるので、
ω3=1
であるということ、そしてωはこの方程式のx=1ではない方の解、つまりx2+x+1=0の解であるので、
ω2+ω+1=0
を満たします。
ωを使うときは、この2つの式を利用します。
また、2番目の式は
ω2=-ω-1
ω=-ω2-1
このように式変形して使うことが多いことも知っておきましょう。
例題でωの使い方を確認する
それでは実際に例題を使ってωの使い方を確認してみます。
式の値を求める問題なのですが、さすがに100乗をするわけにはいきません。そこで、
ω3=1
ω2+ω+1=0
を使ってうまくこの式の次数を下げて簡単に計算しましょう。
まずは、(-1+√3i)/2は1の3乗根のうちの1つであるということに気づきましょう。1の3乗根のうち虚数のものであると気付いたら、ωとおきます。
そしてf(x)にωを代入したf(ω)を簡単にしていきます。
ω100ですが、ω100=ω99・ω=(ω33)3・ωとすることができます。ω3=1を使いたいので、このような大きな次数はω3を使って表してみます。
ω2+1は、ω2+ω+1=0を使えば-ωとなります。足し算を無くしたいと思うときは、ω2+ω+1=0を使うようにしましょう。
(ω100+1)100+(ω2+1)100+1
={(ω3)33・ω+1)100+(-ω)100+1
そしてω3=1なので、(ω3)33=133=1となります。(-ω)100=ω100となります。
={(ω3)33・ω+1)100+(-ω)100+1
=(ω+1)100+ω100+1
次に、やはり+を無くしたいので、ω2+ω+1=0を使って、ω+1=-ω2とします。そして、大きな次数は3乗を使って表します。
=(ω+1)100+ω100+1
=(-ω²)100+(ω3)33・ω+1
=ω200+ω+1
200乗も100乗と同じように、ω3を使って表します。ω200=ω198・ω2=(ω3)66・ω2であり、ω3=1なので、
ω200+ω+1
=(ω3)66・ω2+ω+1
=ω2+ω+1
結局この式はω2+ω+1となり、ω2+ω+1=0となるので、この問題の答えは0となります。
(ω100+1)100+(ω2+1)100+1
={(ω3)33・ω+1)100+(-ω)100+1
=(ω+1)100+ω100+1
=(-ω²)100+(ω3)33・ω+1
=ω200+ω+1
=(ω3)66・ω2+ω+1
=ω2+ω+1
=0
(3)解説授業の内容を復習しよう
(4)複素数と方程式(数学Ⅱ)の解説一覧
②解と係数の関係の証明(三次方程式の解と係数の関係も解説しています)
③高次式の因数分解・高次方程式の解法の解説(因数定理を正確に理解しよう!)
④根号や虚数単位iを含む式を代入して式の値を求める問題の解法(次数下げ)
⑤1の3乗根ω(オメガ)とは何か(ωの意味と使い方についての解説)