間投助詞「や」「を」(そもそも間投助詞とは何か、「を」の識別についても解説しています)【古文文法のすべて】

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そもそも間投助詞とは何か

今回は古文の間投助詞について解説します。

間投助詞とは、文節の間や文末に付いて意味を添える助詞のことです。

これだけではどのような助詞なのか分かりにくいと思うので、まずは現代語の間投助詞を確認します。

例えば、「僕がね、昨日ね、学校でさ、勉強してさ」と現代語で言ったとき、「ね」や「さ」が間投助詞です。

このように文節の句切れ目や文末にくっ付いて、ちょっとした気持ちを伝えるのが間投助詞の役割です。

古文でもいくつか間投助詞がありますが、今回は特に重要な「や」と「を」を解説します。

間投助詞「や」「を」の意味

それでは間投助詞「や」「を」の意味を確認していきます。

間投助詞の「や」には、「〜なぁ、〜ねぇ」といった詠嘆の意味と、「〜よ」と訳す呼びかけの意味と、列挙の3つの意味があります。

そして、間投助詞の「を」には「〜なぁ、〜ねぇ」といった詠嘆の意味があります。

例文で確認しよう

それぞれ例文を確認してみます。

①例えば、「あなめでたや」とあれば、この「や」が間投助詞の「や」です。意味としては「あぁ素晴らしいなぁ」といったような意味になります。

②また、「あが君や」とあれば、この「や」が間投助詞の「や」です。意味としては、「あが君」が「あなた様」といったような意味なので、「あなた様よ」と呼びかけています。

③次に「人々の花や蝶やとめづ」とあれば、この「や」が間投助詞の「や」となります。意味としては、「人々が花や蝶のようにめでる」となり、花と蝶を列挙しています。

④続いて、「ひがごとを見つけてを止まむ」とあれば、「見つけてを」の「を」が間投助詞の「を」となります。

この「を」が間投助詞であると分かるように訳すときは、「間違いを見つけてね、止めよう」といったように、現代語の間投助詞を使って訳すようにすると上手く訳せます。

ただ、文中の間投助詞は訳すのが難しい場合、間投助詞を飛ばして訳しても構いません。例えばこの例文であれば、「間違いを見つけて止めよう」と訳しても問題ありません。

「を」の識別

そして、この例文でも見られるように「を」は間投助詞だけではなく、別の助詞の可能性もあるので、正確に現代語訳をするためには「を」がどの助詞なのかを識別しないといけません。

助詞の「を」は、①間投助詞、②格助詞、③接続助詞の3つの可能性があります。

ではどのようにしてこの3つを識別すればよいのでしょうか。

間投助詞「を」の識別

まずは間投助詞ですが、これは先ほど解説したとおり、間投助詞の「を」はなくても文が成立します。

そのため「を」を飛ばして読んでみても意味が通る場合は、その「を」は間投助詞であると判断することができます。

格助詞「を」と接続助詞「を」の識別

そして、格助詞と接続助詞の識別ですが、接続を確認してみると、格助詞は体言に接続するか、連体形接続となります。それに対して接続助詞は連体形接続となります。

そのため体言に接続していれば、もうそれは格助詞であると判断することができます。例えば「ひが事を見つけてを止まむ」の例文であれば、「ひが事」は体言なので、この「ひが事を」の「を」は格助詞の「を」であると判断することができます。

連体形接続の「を」の識別(準体法)

あとは連体形接続のとき、つまり「を」の上が連体形のときの識別の仕方ですが、格助詞の上の連体形は準体法となっていなければいけません。

準体法とは何かというと、連体形の下に体言が省略されている文法のことです。

例えば、「世のはかなきを思ふ」のような例文があったとします。この「はかなき」は形容詞「はかなし」の連体形となっています。そして意味を考えてみると「世の中がはかないことを思う」となるように、「はかなき」の下に「こと」が省略されています。

このように準体法になっていれば、連体形の下に「こと」や「もの」や「とき」といった体言が省略されています。

よって、準体法の下の「を」は格助詞となります。

連体形接続の「を」の識別(意味)

また、格助詞と接続助詞は意味で識別することもできます。

格助詞の「を」は、現代語と同じように「〜を」と訳します。例えば、「ひが事を見つけてを止まむ」の例文も「世のはかなきを思ふ」の例文もどちらも「〜を」と訳しています。

それに対して接続助詞の「を」は、「〜なので」といった順接、「〜なのに」といった逆接、「〜すると」あるいは「〜したところ」と訳す単純接続の3つの意味があります。

つまり接続助詞の「を」は、「を」の前後の文を様々な関係で繋いでいるということになります。

このように意味が異なるので、それで識別することもできます。ただし、格助詞と接続助詞をはっきり識別できないようなときもあり、どちらでも解釈できるということもあるので注意してください。

間投助詞「や」の識別

また、「や」に関しても間投助詞だけでなく、係助詞の「や」というものがあるので、この識別が必要になるときもあります。

しかし、係助詞の「や」は係り結びをする(連体形結び)ので、識別は簡単にできます。

(3)解説授業の内容を復習しよう

間投助詞(古文文法)確認テスト

(4)助詞(古文文法)の解説授業一覧

係助詞「ぞ・なむ・や・か・こそ・は・も」の用法と係助詞を使った表現(係り結びの法則、結びの省略、結びの消去(消滅、流れ)についても解説しています)

格助詞「が・の・より・にて・して・とて・を」の意味と注意点(同格の「の」、比喩の「の」、格助詞「より」の重要な意味、「をば」の訳し方を例文を使って解説しています)

接続助詞「ば・を・に・が・ど・ども・と・とも・て・して・で・ものの・ものを・ものから・ものゆゑ」の接続と意味(「ば」の訳し分けについても例文を使って解説しています)

副助詞「だに・すら・さへ・し・しも」の意味と注意点(添加と類推の違い、「だに」の最小限の限定の意味の使い方も解説しています)

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間投助詞「や・を」(そもそも間投助詞とは何か、「を」の識別についても解説しています)

古文でよく出てくる準体法とは何かについて解説します。

(5)参考

間投助詞「や」「を」の意味・接続・用法

間投助詞「や」「を」の解説・テスト一覧

助詞(係助詞・格助詞・接続助詞・副助詞・終助詞・間投助詞)一覧(意味・接続・用法)

助詞(係助詞・格助詞・接続助詞・副助詞・終助詞・間投助詞)解説・テスト一覧

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