(1)解説授業動画
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(2)解説授業の原稿
そもそも間投助詞とは何か
今回は古文の間投助詞について解説します。
間投助詞とは、文節の間や文末に付いて意味を添える助詞のことです。
これだけではどのような助詞なのか分かりにくいと思うので、まずは現代語の間投助詞を確認します。
例えば、「僕がね、昨日ね、学校でさ、勉強してさ」と現代語で言ったとき、「ね」や「さ」が間投助詞です。
このように文節の句切れ目や文末にくっ付いて、ちょっとした気持ちを伝えるのが間投助詞の役割です。
古文でもいくつか間投助詞がありますが、今回は特に重要な「や」と「を」を解説します。
間投助詞「や」「を」の意味
それでは間投助詞「や」「を」の意味を確認していきます。
間投助詞の「や」には、「〜なぁ、〜ねぇ」といった詠嘆の意味と、「〜よ」と訳す呼びかけの意味と、列挙の3つの意味があります。
そして、間投助詞の「を」には「〜なぁ、〜ねぇ」といった詠嘆の意味があります。
例文で確認しよう
それぞれ例文を確認してみます。
①例えば、「あなめでたや」とあれば、この「や」が間投助詞の「や」です。意味としては「あぁ素晴らしいなぁ」といったような意味になります。
②また、「あが君や」とあれば、この「や」が間投助詞の「や」です。意味としては、「あが君」が「あなた様」といったような意味なので、「あなた様よ」と呼びかけています。
③次に「人々の花や蝶やとめづ」とあれば、この「や」が間投助詞の「や」となります。意味としては、「人々が花や蝶のようにめでる」となり、花と蝶を列挙しています。
④続いて、「ひがごとを見つけてを止まむ」とあれば、「見つけてを」の「を」が間投助詞の「を」となります。
この「を」が間投助詞であると分かるように訳すときは、「間違いを見つけてね、止めよう」といったように、現代語の間投助詞を使って訳すようにすると上手く訳せます。
ただ、文中の間投助詞は訳すのが難しい場合、間投助詞を飛ばして訳しても構いません。例えばこの例文であれば、「間違いを見つけて止めよう」と訳しても問題ありません。
「を」の識別
そして、この例文でも見られるように「を」は間投助詞だけではなく、別の助詞の可能性もあるので、正確に現代語訳をするためには「を」がどの助詞なのかを識別しないといけません。
助詞の「を」は、①間投助詞、②格助詞、③接続助詞の3つの可能性があります。
ではどのようにしてこの3つを識別すればよいのでしょうか。
間投助詞「を」の識別
まずは間投助詞ですが、これは先ほど解説したとおり、間投助詞の「を」はなくても文が成立します。
そのため「を」を飛ばして読んでみても意味が通る場合は、その「を」は間投助詞であると判断することができます。
格助詞「を」と接続助詞「を」の識別
そして、格助詞と接続助詞の識別ですが、接続を確認してみると、格助詞は体言に接続するか、連体形接続となります。それに対して接続助詞は連体形接続となります。
そのため体言に接続していれば、もうそれは格助詞であると判断することができます。例えば「ひが事を見つけてを止まむ」の例文であれば、「ひが事」は体言なので、この「ひが事を」の「を」は格助詞の「を」であると判断することができます。
- 格助詞「が・の・より・にて・して・とて・を」の意味と注意点(同格の「の」、比喩の「の」、格助詞「より」の重要な意味、「をば」の訳し方を例文を使って解説しています)
- 接続助詞「ば・を・に・が・ど・ども・と・とも・て・して・で・ものの・ものを・ものから・ものゆゑ」の接続と意味(「ば」の訳し分けについても例文を使って解説しています)
連体形接続の「を」の識別(準体法)
あとは連体形接続のとき、つまり「を」の上が連体形のときの識別の仕方ですが、格助詞の上の連体形は準体法となっていなければいけません。
準体法とは何かというと、連体形の下に体言が省略されている文法のことです。
例えば、「世のはかなきを思ふ」のような例文があったとします。この「はかなき」は形容詞「はかなし」の連体形となっています。そして意味を考えてみると「世の中がはかないことを思う」となるように、「はかなき」の下に「こと」が省略されています。
このように準体法になっていれば、連体形の下に「こと」や「もの」や「とき」といった体言が省略されています。
よって、準体法の下の「を」は格助詞となります。
連体形接続の「を」の識別(意味)
また、格助詞と接続助詞は意味で識別することもできます。
格助詞の「を」は、現代語と同じように「〜を」と訳します。例えば、「ひが事を見つけてを止まむ」の例文も「世のはかなきを思ふ」の例文もどちらも「〜を」と訳しています。
それに対して接続助詞の「を」は、「〜なので」といった順接、「〜なのに」といった逆接、「〜すると」あるいは「〜したところ」と訳す単純接続の3つの意味があります。
つまり接続助詞の「を」は、「を」の前後の文を様々な関係で繋いでいるということになります。
このように意味が異なるので、それで識別することもできます。ただし、格助詞と接続助詞をはっきり識別できないようなときもあり、どちらでも解釈できるということもあるので注意してください。
- 格助詞「が・の・より・にて・して・とて・を」の意味と注意点(同格の「の」、比喩の「の」、格助詞「より」の重要な意味、「をば」の訳し方を例文を使って解説しています)
- 接続助詞「ば・を・に・が・ど・ども・と・とも・て・して・で・ものの・ものを・ものから・ものゆゑ」の接続と意味(「ば」の訳し分けについても例文を使って解説しています)
間投助詞「や」の識別
また、「や」に関しても間投助詞だけでなく、係助詞の「や」というものがあるので、この識別が必要になるときもあります。
しかし、係助詞の「や」は係り結びをする(連体形結び)ので、識別は簡単にできます。
(3)解説授業の内容を復習しよう
(4)助詞(古文文法)の解説授業一覧
①係助詞「ぞ・なむ・や・か・こそ・は・も」の用法と係助詞を使った表現(係り結びの法則、結びの省略、結びの消去(消滅、流れ)についても解説しています)
②格助詞「が・の・より・にて・して・とて・を」の意味と注意点(同格の「の」、比喩の「の」、格助詞「より」の重要な意味、「をば」の訳し方を例文を使って解説しています)
③接続助詞「ば・を・に・が・ど・ども・と・とも・て・して・で・ものの・ものを・ものから・ものゆゑ」の接続と意味(「ば」の訳し分けについても例文を使って解説しています)
④副助詞「だに・すら・さへ・し・しも」の意味と注意点(添加と類推の違い、「だに」の最小限の限定の意味の使い方も解説しています)
⑤終助詞「ばや・なむ・てしが・にしが・てしがな・にしがな・もがな・がな・な・そ・か・かな・は・よ・かし・ぞ」の意味と注意点(願望、禁止、「な~そ」、詠嘆、念押し、「ぞかし」)
⑥間投助詞「や・を」(そもそも間投助詞とは何か、「を」の識別についても解説しています)
(5)参考
☆助詞(係助詞・格助詞・接続助詞・副助詞・終助詞・間投助詞)一覧(意味・接続・用法)
☆助詞(係助詞・格助詞・接続助詞・副助詞・終助詞・間投助詞)解説・テスト一覧
☆古文文法の解説動画・授業動画一覧(基礎知識、用言、係り結びの法則、助動詞、助詞、識別、敬語、和歌、主体の判別)
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