比較形を文法的に考える(漢文文法)

①寧:「むしロ~トモ」と訓読する。

→「寧」はbetterの意味の形容詞が本来の品詞。しかし、解釈の上では接続詞として考えてもよい。

【例】

寧為鶏口無為牛後(寧ろ鶏口と為るとも牛後と為る無かれ)

→「It is better to be 鶏口 than to be 牛後.」これが本来の構文。「It is」は省略され、better(形容詞)と than(接続詞)の2つの意味を「寧」に負わせて「むしロ~トモ」と訓読することになった。

②若=如:「ごとシ」と訓読する。

→「若」は「選択する」、「如」は「従う」が原義で、そこから「匹敵する」「同等だ」「~のようである」「~に似ている」といった意味になった。

※「如(若)何」「何如(若)」についてはこちら→疑問・反語形

※仮定形で使う「若(もシ)」についてはこちら→仮定形

③不若=不如:「SハOニしかズ」と訓読する。

→「SはOには及ばない」「SはOほどではない」という意味。

④無若・無如:「しクハなシ」と訓読する。

→「(副詞)+無+若(如)+O+(者)」の構文となり「(副詞)についてOにまさるものはない」といった意味となる(「無」が動詞、「若(如)+O+(者)」が主語)

※参考:「有」「無」の語法