(1)例題
なめらに回転する軽い滑車に、軽くて伸びないひもを使って、同じ質量をもつ3個の物体を取り付けた。重力加速度の大きさをgとする。
①図1のように、3個の物体A,B, Cを静止させた。物体の質量はいずれもmである。このとき、物体Aを鉛直下向きに引くひもの張力Tの大きさを求めよ。
図1
②次に、図2のように、物体Aの下部のひもを静かに放して物体を運動させた。物体Aの加速度の大きさを求めよ。
図2
(2018年センター試験本試物理基礎第3問B)
(2)答案
①物体AとBを結ぶひもの張力の大きさをS、物体BとCを結ぶひもの張力の大きさをRとすると、物体A, B, Cそれぞれでの力のつりあいの式は
A:S=mg+T
B:S=mg+R
C:R=mg
したがって
T=mg
②物体Aの加速度の大きさをa、物体AとBを結ぶひもの張力の大きさをS’、物体BとCを結ぶひもの張力の大きさをR’とすると、物体A, B, Cそれぞれでの運動方程式は、
A:ma=S’−mg
B:ma=mg+R’−S’
C:ma=mg−R’
したがって
a=⅓g
(3)解法のポイント
複数の物体があるときは、それぞれでつり合いの式や運動方程式を考えるのが鉄則です。
また、ひもで結ばれた2つの物体はそれぞれ同じ大きさの張力がかかります。また、2つの物体がひもで結ばれている場合、加速度も同じ大きさになります。
運動方程式を立てるときは、加速度の向きに注意しましょう。
(4)必要な知識
①2種類(3種類)の力
ⅰ)遠隔力(場の力):その場にいるだけで受ける力
→例:重力、電磁気力
ⅱ)接触力:他の物体と接触しているところで受ける力
→例:垂直抗力、摩擦力、弾性力など
※接触力には必ず作用反作用の法則が成り立つ
②運動方程式
※F=0のとき、a=0となるので、力がつり合えば、その物体は静止または等速直線運動をする(慣性の法則)
(5)理解すべきこと
①定滑車の考え方を理解しましょう→定滑車と動滑車の考え方(束縛条件、動滑車を使って物体を持ち上げる場合についても解説しています)
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②力の矢印のかき方を理解しましょう→力の矢印の書き方(場の力と接触力、作用・反作用の法則、積み重ねられた物体に働く力、浮力の反作用)
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③運動方程式は「力を加えるとその方向に加速度が生じる」という意味であることを理解しましょう→運動方程式の意味(力を加えるとその方向に加速度が生じる、放物運動・円運動・単振動を運動方程式で考える)
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(6)参考
☆力の法則の勉強法はこちら→力の法則
☆力学の勉強法はこちら→力学の勉強法