(1)解説授業動画
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(2)解説授業の原稿
今回は係り結びの法則を例文を使って解説します。
係り結びの法則とは何か
係り結びの法則とは、文中に係助詞の「ぞ」「なむ」「や」「か」があれば、その文末が連体形に変化し、文中に係助詞の「こそ」があれば、その文末が已然形に変化する文法のことです。
係り結びの法則は文の意味を強めたり、疑問の意味を表すときに使います。
係り結びの法則を例文で確認しよう
それでは、係り結びの法則の例文を確認します。
まずは、①~③の文末を適切な形に変えてみます。
①雪なむ〔あはれなり〕。→あはれなる(連体形)
①は文中に係助詞の「なむ」があるので、文末の形容動詞「あはれなり」は連体形の「あはれなる」に変化します。
②今や〔別る〕。→別るる(連体形)
次に、この文は文中に係助詞の「や」があるので、文末の下二段動詞「別る」は連体形の「別るる」に変化します。
③月見れば千々にものこそ〔悲し〕。→悲しけれ(已然形)
次にこの文であれば、文中に係助詞の「こそ」があるので、文末の形容詞「悲し」は、已然形の「悲しけれ」に変化します。
①③の現代語訳
まずは、①「雪なむあはれなる。」を現代語訳してみると、「雪がしみじみと趣深い。」といったような意味です。
③「月見れば千々にものこそ悲しけれ。」を現代語訳してみると、「月を見ると、あれこれ物事が悲しく思われる。」といったような意味になります。
①③の現代語訳のように、「ぞ」「なむ」「こそ」は不自然であれば現代語訳する必要はありません。
②の現代語訳
それに対して、「や」「か」は疑問(~か)と反語(~か、いや、~ない)の意味があるので、必ず現代語訳するようにしましょう。
例えば、②「今や別るる。」を疑問で訳してみると、「今は別れるだろうか。」という意味になり、反語で訳してみると、「今は別れるだろうか、いや、別れない。」といったような現代語訳になります。
疑問で訳すのか、反語で訳すのかは文脈で判断します。
④悲しきことも多くなむ。(悲しいことも多くある。)
続いてこの文を現代語訳してみます。
「悲しきことも多くなむ。」の現代語訳は、「悲しいことも多くある。」といったような訳になります。
ポイントは、文末が係助詞の「なむ」になっていることです。
このように文末が係助詞になっている場合は、その下に「あり」や「あらむ」が省略されていると判断します。そのため現代語訳に「ある」や「あるだろう」を補います。
このように、係り結びの結び(文末)の部分が省略されていることを「結びの省略」と言います。
省略されているものは文脈によって判断しますが、「あり」や「あらむ」が省略されていることが多いです。
⑤ひが耳にや。(聞き間違いであろうか。)(聞き間違いであろうか、いや、聞き間違いではない。)
続いて、こちらの例文も文末が係助詞「や」になっているので、結びの省略が起きていると判断し、「あり」や「あらむ」を補って現代語訳します。
また、「にや」のように「に+係助詞」が文末に来て結びの省略が起きていることが多いのですが、この場合の「に」は断定の助動詞「なり」の連用形になります。
断定の助動詞「なり」の連用形の「に」は、下にラ変動詞「あり」を伴うという特徴があります。
そのため、「に+係助詞」で文末になっているときは、後ろに「あり」が省略されているので、この「に」は断定の助動詞「なり」の連用形と判断することができます。
よって、文末の「に+係助詞」を現代語訳するときは、「に」が断定の助動詞「なり」であると分かるように、「~である」を現代語訳に入れるようにしましょう。
例えば、⑤を現代語訳してみると、「聞き間違いであろうか。(疑問)」あるいは「聞き間違いであろうか、いや、聞き間違いではない。(反語)」といったような訳になります。ちなみに、「ひが耳」は「聞き間違い」という意味の古文単語です。
- 断定の助動詞「なり」「たり」の意味と接続(「なり」の存在の意味、断定の「なり」の連用形「に」の使い方についても解説しています)
- 「に」の識別(完了・存続の助動詞「ぬ」の連用形、断定の助動詞「なり」の連用形、格助詞「に」、接続助詞「に」、単語の一部)
⑥花ぞ散りければよめる歌(花が散ったので詠んだ歌)
最後にこの例文を確認してみます。
⑥を現代語訳してみると、「花が散ったので詠んだ歌」となりますが、この文のポイントは、文中に係助詞の「ぞ」があるの、それに対応する助動詞の「けり」が連体形の「ける」になっていないということです。
なぜ「けり」が連体形の「ける」になっていないのかというと、下に接続助詞の「ば」があるからです。今回の「ば」は已然形接続の接続助詞で、その上の「けり」は「ば」に合わせて、已然形の「けれ」になっているのです。
このように、係り結びの結びのすぐ後ろに接続助詞が来て文が続いていく場合は、係り結びの法則による活用形の変化をするのではなく、接続助詞の接続による活用形の変化をするというルールのことを、結びの消去(結びの消滅、結びの流れ)と言います。
以上のように、係り結びの法則は文末の活用形の変化だけでなく、結びの省略や結びの消去といったようなルールもあるので注意しましょう。
(3)解説授業の内容を復習しよう
(4)関連解説授業
①係助詞「ぞ・なむ・や・か・こそ・は・も」の用法と係助詞を使った表現(係り結びの法則、結びの省略、結びの消去(消滅、流れ)についても解説しています)
②「なむ」は識別にも注意→「なむ」の識別(他者への願望の終助詞、強意の助動詞「ぬ」の未然形+推量の助動詞「む」、係助詞、ナ変動詞の未然形活用語尾+推量の助動詞「む」)
(5)参考
☆係助詞「ぞ・なむ・や・か・こそ・は・も」の意味・接続・用法
☆係助詞「ぞ・なむ・や・か・こそ・は・も」の解説・テスト一覧
☆古文文法の解説動画・授業動画一覧(基礎知識、用言、係り結びの法則、助動詞、助詞、識別、敬語、和歌、主体の判別)
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