「難波江の 葦のかりねの ひとよゆゑ みをつくしてや 恋ひわたるべき」の解説

①枕詞・序詞・掛詞

・「かりね」が「刈り根」と「仮寝」の掛詞

・「ひとよ」が「一節」と「一夜」の掛詞

・「みをつくし」が「澪標」と「身を尽くし」の掛詞

・「難波江の葦のかりねの」が「ひとよ」を導く序詞

②助動詞と助詞の文法的説明

・「かりねの」の「の」は比喩の格助詞

・「て」は接続助詞

・「や」は疑問の係助詞(連体形結び)

・「べき」は推量または義務の助動詞の連体形(係り結び)

③句切れ

・句切れなし

④現代語訳

難波江に生えている葦を刈りとった根のひと節のように短い一晩限りの逢瀬のために、舟が澪標を目印に渡るではないが、わたしはこれからこの身をつくして、あなたに恋し続けなければならないのでしょうか。

⑤その他解説

・「難波江」:摂津国難波(現在の大阪市)の入り江。葦の群生地。

・「刈り根」「一節」は「葦」の縁語、「澪標」「渡る」は「難波江」の縁語

・動詞「渡る」は補助動詞で使った場合「~し続ける」や「一面に~する」と訳す。