「由良の戸を 渡る舟人 かぢを絶え ゆくへも知らぬ 恋の道かな」の解説

①枕詞・序詞・掛詞

・「由良の戸を渡る舟人かぢを絶え」が「ゆくへも知らぬ」を導く序詞

②助動詞と助詞の文法的説明

・「かぢを」の「を」は間投助詞(訳さない)

・「も」は係助詞

・「ぬ」は打消しの助動詞の連体形

・「かな」は詠嘆の終助詞

③句切れ

・句切れなし

④現代語訳

由良の海峡を渡る船乗りが、櫂(かい)がなくなって、行く先も知らないままに漂うように、どこへ向かっていくのか分からない私の恋の行く末だなあ。

⑤その他解説

・「由良の戸」:「由良」は紀伊(和歌山)であるという説と、丹後(京都)であるという説がある。「戸」は海峡のこと。

・「かぢ」は櫨(ろ)や櫂(かい)など舟をこぐ道具の総称。

・「戸」「わたる」「舟人」「かぢ」「ゆくへ」「道」は縁語