「憂かりける 人を初瀬の 山おろしよ はげしかれとは 祈らぬものを」の解説

①枕詞・序詞・掛詞

・「はつ」は「初瀬」と「果つ」の掛詞

②助動詞と助詞の文法的説明

・「ける」は過去の助動詞の連体形

・「よ」は呼びかけの間投助詞

・「は」は係助詞

・「ぬ」は打消しの助動詞の連体形

・「ものを」は逆接の接続助詞

③句切れ

・三句切れ

→「よ」は呼びかけ

④現代語訳

私に冷たかったあの人の心が変わるようにと、初瀬の観音さまにお祈りしたのだけれど、初瀬の山おろしよ。あの人の冷たさがいっそう激しくなれとは祈らなかったのに。

⑤その他解説

・「初瀬」:現在の奈良県桜井市の地名。十一面観音で有名な長谷寺(はせでら)がある。

・「山おろし」は山から吹き下ろす冷たい風。