「きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣片敷き ひとりかも寝む」の解説

①枕詞・序詞・掛詞

・「さむし」は「寒し」と「さ筵」の掛詞

②助動詞と助詞の文法的説明

・「や」は詠嘆の間投助詞(訳さない)

・「か」は疑問の係助詞

・「も」は係助詞

・「む」は推量の助動詞の連体形(係り結び)

③句切れ

・句切れなし

④現代語訳

こおろぎがしきりに鳴いている霜の降るこの寒い夜に、むしろの上に自分の衣の袖を片方だけ敷いて、わたしはたったひとり寂しく寝るのだろうか。

⑤その他解説

・「きりぎりす」:こおろぎのこと

・「さ筵」:「筵」はワラなどを編んで作った簡素な敷物。「さ」は語調を整える接頭語

・「衣かたしき」:自分の着物の袖を片方だけ敷いて寝ること。共寝のときはお互いの着物を合わせて敷くことから、「かたしく」はひとり寝を意味する。