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(1)以下の「ぬ」を文法的に説明せよ。
①花散りぬ。
→完了の助動詞「ぬ」の終止形
※完了・強意の助動詞「ぬ」は連用形接続
②花なむ散らぬ。
→打消の助動詞「ず」の連体形
※打消の助動詞「ず」は未然形接続
③散らぬ花なり。
→打消の助動詞「ず」の連体形
※活用語の下に体言が接続するとき、その活用語は連体形になる。
☆解説授業→「ぬ」「ね」の識別(打消の助動詞「ず」、完了・強意の助動詞「ぬ」)
(2)以下の「ね」を文法的に説明せよ。
①花こそ散らね。
→打消の助動詞「ず」の已然形
※打消の助動詞「ず」は未然形接続。係助詞「こそ」は已然形結び(係り結び)。
②花よ、散りね。
→強意の助動詞「ぬ」の命令形
※完了・強意の助動詞「ぬ」は連用形接続
③風吹かねど、花散る。
→打消の助動詞「ず」の已然形
※打消の助動詞「ず」は未然形接続。接続助詞「ど」は已然形接続。接続助詞「ど」は「~だけれども」と訳す逆接確定条件の意味。
☆解説授業→「ぬ」「ね」の識別(打消の助動詞「ず」、完了・強意の助動詞「ぬ」)
(3)以下の「る」を文法的に説明せよ。
①歌よまる。
→尊敬(または自発)の助動詞「る」の終止形
※受身・尊敬・可能・自発の助動詞「る」は未然形接続。受身・尊敬・可能・自発の助動詞「る」は「a」の音に接続すると考えてもよい(「よま(ma)」)
②歌なむよめる。
→完了の助動詞「り」の連体形
※完了・存続の助動詞「り」はサ変には未然形、四段には已然形接続。完了・存続の助動詞「り」は「e」の音に接続すると考えてもよい(「よめ(me)」)
☆解説授業→「る」「れ」「らむ」の識別(受身・尊敬・可能・自発の助動詞「る」、完了・存続の助動詞「り」、現在推量の助動詞「らむ」)
(4)以下の「れ」を文法的に説明せよ。
①歌よまれけり。
→尊敬(または自発)の助動詞「る」の連用形
※受身・尊敬・可能・自発の助動詞「る」は未然形接続。受身・尊敬・可能・自発の助動詞「る」は「a」の音に接続すると考えてもよい(「よま(ma)」)
②歌こそよめれ。
→完了の助動詞「り」の已然形
※完了・存続の助動詞「り」はサ変には未然形、四段には已然形接続。完了・存続の助動詞「り」は「e」の音に接続すると考えてもよい(「よめ(me)」)
☆解説授業→「る」「れ」「らむ」の識別(受身・尊敬・可能・自発の助動詞「る」、完了・存続の助動詞「り」、現在推量の助動詞「らむ」)
(5)以下の「らむ」を文法的に説明せよ。
①歌よむらむ。
→現在推量の助動詞「らむ」の終止形
※現在推量の助動詞「らむ」は終止形(ラ変には連体形)接続。現在推量の助動詞「らむ」は「u」の音に接続すると考えてもよい(「よむ(mu)」)
②歌よめらむ。
→完了の助動詞「り」の未然形+推量の助動詞「む」の終止形
※完了・存続の助動詞「り」はサ変には未然形、四段には已然形接続。完了・存続の助動詞「り」は「e」の音に接続すると考えてもよい(「よめ(me)」)
☆解説授業→「る」「れ」「らむ」の識別(受身・尊敬・可能・自発の助動詞「る」、完了・存続の助動詞「り」、現在推量の助動詞「らむ」)
(6)以下の「なむ」を文法的に説明せよ。
①花散らなむ。
→他者への願望の終助詞「なむ」
※願望の終助詞「なむ」は未然形接続
②花散りなむ。
→強意の助動詞「ぬ」の未然形+推量の助動詞「む」の終止形
※完了・強意の助動詞「ぬ」は連用形接続。助動詞「ぬ」は、後ろに推量の助動詞を伴うとき、強意の意味になる。
③花散るなむ待たるる。
→係助詞「なむ」
※係助詞「なむ」は連体形結び(係り結び)
④花死なむ。
→ナ変動詞「死ぬ」の未然形活用語尾+推量の助動詞「む」の終止形
※ナ変動詞「死ぬ」の未然形「死な」で一語
⑤花枯れなむ時に、来よ。
→強意の助動詞「ぬ」の未然形+婉曲の助動詞「む」の連体形
※完了・強意の助動詞「ぬ」は連用形接続。終助詞は文末にしか使えないので、願望の終助詞「なむ」になることはない。助動詞「ぬ」は、後ろに推量の助動詞を伴うとき、強意の意味になる。助動詞「む」は体言に接続するときは婉曲の意味になる。
⑥花散らば、悲しかりなむ。
→強意の助動詞「ぬ」の未然形+推量の助動詞「む」の連体形
※完了・強意の助動詞「ぬ」は連用形接続。「悲しかり」は補助活用の連用形(助動詞に接続するときは補助活用になる)。
⑦花、うつくしくなむ咲きける。
→係助詞「なむ」
※「うつくしく」は基本活用なので、後ろに助動詞はこない。
⑧花、散るまじくなむ。
→係助詞「なむ」
※「まじく」は基本活用なので、後ろに助動詞はこない。結びの省略が起きている(「ある」が省略されている)。
☆解説授業→「なむ」の識別(他者への願望の終助詞、強意の助動詞「ぬ」の未然形+推量の助動詞「む」、係助詞、ナ変動詞の未然形活用語尾+推量の助動詞「む」)
(7)以下の「に」を文法的に説明せよ。
①花散りにけり。
→完了の助動詞「ぬ」の連用形
※完了・強意の助動詞「ぬ」は連用形接続。「にけり」は完了+過去の表現で「~してしまった」と訳す表現。
②かの花は桜にぞありける。
→断定の助動詞「なり」の連用形
※断定の助動詞「なり」は連体形または体言に接続。後ろに「あり」がある。
③ひがごとにや。
→断定の助動詞「なり」の連用形
※断定の助動詞「なり」は連体形または体言に接続。係助詞「や」で文末になっており、「や」の後ろに「ある」または「あらむ」が省略されている(結びの省略という)。
※現代語訳:間違いであろうか。(疑問) / 間違いであろうか、いや、間違いではない。(反語)
④都に花咲く。
→格助詞「に」
※格助詞は体言または連体形に接続。現代語の「~に」と同じ。
⑤桂川、月の明きにぞ渡る。
→格助詞「に」
※格助詞は体言または連体形に接続。現代語の「~に」と同じ。
※形容詞「明し」の連体形「明き」の下に「とき」が省略されている(準体法)。
※現代語訳:桂川を月が明るいときに渡る。
⑥かぐや姫あやしがりて見るに、鉢の中に文あり。
→接続助詞(単純な接続)
※接続助詞「に」は連体形接続。接続助詞は文と文をつなぐ働きがある。
※接続助詞「に」には、順接(~ので)、逆接(~のに)、単純な接続(~したところ)の3つの意味がある。今回は、単純な接続。
※現代語訳:かぐや姫が不思議に思って見たところ、鉢の中に手紙が入っている。
⑦花死にけり。
→ナ変動詞「死ぬ」の連用形活用語尾
※ナ変動詞「死ぬ」の連用形「死に」で一語
☆解説授業→「に」の識別(完了・存続の助動詞「ぬ」の連用形、断定の助動詞「なり」の連用形、格助詞「に」、接続助詞「に」、単語の一部)
(8)以下の「なり」「なら」を文法的に説明せよ。
①春来るなり。
→断定の助動詞「なり」の終止形
※断定の助動詞「なり」は連体形または体言に接続
②春来なり。
→推定の助動詞「なり」の終止形
※伝聞・推定の助動詞「なり」は終止形(ラ変には連体形)に接続。よって、この文の「来」は「く」と読む。
③春来べくなりにけり。
→四段動詞「なる」の連用形
※動詞(用言)の前に活用語を書くときは連用形にするのが基本。「べく」は基本活用(助動詞に接続するときは補助活用になる)。
④うれしく思ふならむ。
→断定の助動詞「なり」の未然形
※伝聞・推定の助動詞「なり」は未然形の「なら」は存在しない。
⑤うれしく思ふなりけり。
→断定の助動詞「なり」の連用形
※伝聞・推定の助動詞「なり」は「なりけり」の形の用法は存在しない。
⑥悲しきことあんなり。
→伝聞または推定の助動詞「なり」の終止形
※撥音便または撥音便無表記を起こすのは、伝聞・推定の助動詞「なり」。
⑦我、悲しく思ふなり。
→断定の助動詞「なり」の終止形
※伝聞・推定の助動詞「なり」は一人称主語になりにくい。
☆解説授業→「なり」の識別(四段活用動詞「なる」の連用形、伝聞・推定の助動詞「なり」、断定の助動詞「なり」)
【識別の解説授業一覧】
①「ぬ」「ね」の識別(打消の助動詞「ず」、完了・強意の助動詞「ぬ」)
②「る」「れ」「らむ」の識別(受身・尊敬・可能・自発の助動詞「る」、完了・存続の助動詞「り」、現在推量の助動詞「らむ」)
③「なむ」の識別(他者への願望の終助詞、強意の助動詞「ぬ」の未然形+推量の助動詞「む」、係助詞、ナ変動詞の未然形活用語尾+推量の助動詞「む」)
④「に」の識別(完了・存続の助動詞「ぬ」の連用形、断定の助動詞「なり」の連用形、格助詞「に」、接続助詞「に」、単語の一部)
⑤「なり」の識別(四段活用動詞「なる」の連用形、伝聞・推定の助動詞「なり」、断定の助動詞「なり」)
⑥識別全19パターンをマスターしよう!(し・しか・せ・たり・て・と・とも・な・なむ・なり・に・にて・ぬ・ね・ばや・めり・らむ・る・を)
~参考~
☆重要な識別「ぬ・ね・る・れ・らむ・なむ・に・なり」解説・テスト一覧
☆識別全19パターン解説授業→識別全19パターンをマスターしよう!
☆古文文法の解説動画・授業動画一覧(基礎知識、用言、係り結びの法則、助動詞、助詞、識別、敬語、和歌、主体の判別)
☆古文文法のすべて(基礎知識、用言、係り結びの法則、助動詞、助詞、識別、敬語、和歌、主体の判別)
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