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識別全パターン一覧【古文文法のすべて】

☆識別全19パターン解説授業→識別全19パターンをマスターしよう!

☆例文はこちら→識別全パターン例文一覧

☆重要な識別の詳しい解説はこちら→重要な識別「ぬ・ね・る・れ・らむ・なむ・に・なり」解説・テスト一覧


(1)「し」の識別

①過去の助動詞「き」の連体形
※過去の助動詞は連用形接続。

②副助詞「し」
※省いても文意が通じる。

③サ変動詞「心す」の連用形活用語尾
※「心す」で一語で、連用形が「心し」。

(2)「しか」の識別

①過去の助動詞「き」の已然形
※過去の助動詞は連用形接続。

②過去の助動詞「き」の連体形+疑問・反語の係助詞「か」
※過去の助動詞は連用形接続。係助詞「か」は連体形結び。

③副助詞「し」+疑問・反語の係助詞「か」
※副助詞「し」は省いても文意が通じる。係助詞「か」は連体形結び。

④副詞「しか(然)」
※「しか(然)」で一語。「そのように」の意味。

(3)「せ」の識別

①使役・尊敬の助動詞「す」の連用形
※使役・尊敬の助動詞は未然形接続。

②サ変動詞「す」の未然形

③過去の助動詞「き」の未然形
※「き」の未然形は、「……せば~まし」の反実仮想(もし……ならば~なのに)の構文でのみ使う。接続助詞「ば」は、今回は未然形接続(順接仮定条件)。

④下二段動詞「失す」などの連用形活用語尾
※「失す」で一語、連用形が「失せ」。

(4)「たり」の識別

①タリ活用の形容動詞の終止形活用語尾

②完了・存続の助動詞「たり」の終止形
※完了・存続の助動詞「たり」は連用形接続。

③断定の助動詞「たり」の終止形
※断定の助動詞「たり」は体言に接続。

(5)「て」の識別

①接続助詞「て」
※接続助詞「て」は連用形接続。接続助詞は2つの文をつなぐ働きがある。

②完了・強意の助動詞「つ」の連用形
※完了・強意の助動詞「つ」は連用形接続。完了の助動詞「つ」「ぬ」は、下に過去の助動詞を伴うことがよくある。「てけり」「にけり」「てき」「にき」は「~してしまった」と訳す。過去の助動詞は連用形接続。

③四段動詞「待つ」などの已然形活用語尾
※「待つ」で一語、已然形が「待て」。

(6)「と」の識別

①格助詞「と」
※格助詞は連体形(準体法)または体言に接続。現代語の「と」と同じように訳す。

②タリ活用の形容動詞の連用形活用語尾

③断定の助動詞「たり」の連用形
※断定の助動詞「たり」は体言に接続。断定の助動詞「たり」の連用形「と」を使うときは、下に「あり」「侍り」「候ふ」「おはす」を伴う。

④副詞「はらはらと」などの一部
※「はらはらと」で一語。

(7)「とも」の識別

①格助詞「と」+係助詞「も」
※格助詞は連体形(準体法)または体言に接続。

②逆接仮定条件の接続助詞「とも」
※逆接仮定条件の接続助詞「とも」は終止形接続。接続助詞は2つの文をつなぐ働きをする。

(8)「な」の識別

①完了・強意の助動詞「ぬ」の未然形
※完了・強意の助動詞「ぬ」は連用形接続。

②禁止の終助詞「な」
※終助詞は文末に使う。「~するな」という禁止の意味を表す。

③詠嘆の終助詞「な」
※終助詞は文末に使う。「~なあ」という詠嘆の意味を表す。

④禁止の副詞「な」
※「な~そ」の形を要求する。「な~そ」は「~してくれるな」という禁止の意味になる。「そ」は禁止の終助詞。

(9)「なむ」の識別

①他者への願望の終助詞「なむ」
※願望の終助詞は未然形接続。

②強意の助動詞「ぬ」の未然形+スイカカエテの助動詞「む」の終止形・連体形
※完了・強意の助動詞「ぬ」は連用形接続
※完了・強意の助動詞「つ」「ぬ」は、推量の助動詞を伴うと強意の意味になる。

③係助詞「なむ」
※文中に係助詞「なむ」があるときは文末が已然形に変化する(係り結びの法則)。

④ナ変動詞(往ぬ・去ね・死ぬ)の未然形活用語尾+スイカカエテの助動詞「む」の終止形・連体形
※「往なむ」「去なむ」「死なむ」の形になっている。

▶「なむ」の識別の手順

  1. 係り結びをしていれば(文末を見て連体形であれば)、係助詞「なむ」
  2. 上を見て「往」か「去」か「死」になっていれば、ナ変動詞(往ぬ・去ね・死ぬ)の未然形活用語尾+スイカカエテの助動詞「む」の終止形・連体形
  3. 「なむ」の位置に注意
    • 文中にあれば(文末でなければ)、終助詞ではない(終助詞は文末表現)。
    • 結びの省略に注意。もし結びの省略が起きていれば、係助詞「なむ」も文末に来ることができる。
  4. 接続で判断
  5. 最後は文脈判断

☆「なむ」の識別の解説授業はこちら→「なむ」の識別(他者への願望の終助詞、強意の助動詞「ぬ」の未然形+推量の助動詞「む」、係助詞、ナ変動詞の未然形活用語尾+推量の助動詞「む」)

(10)「なり」の識別

①四段動詞「なる」の連用形
※活用語の下に用言(動詞、形容詞、形容動詞)が接続する場合は、その活用語は連用形になる。

②伝聞・推定の助動詞「なり」の連用形・終止形
※伝聞・推定の助動詞「なり」は終止形(ラ変は連体形)接続。

③断定の助動詞「なり」の連用形・終止形
※断定の助動詞「なり」は体言または連体形に接続する。

④形容動詞の一部

▶「なり」の識別の手順

  1. 形容動詞の一部の場合は上を見て判断する。
  2. まずは、動詞か助動詞かを見極める。上の単語が連用形または基本活用であれば動詞(基本活用の下に助動詞は来ない)。詳しくはこちら→補助活用が文法的に重要な理由を解説します!
  3. 助動詞であると判断できたら、次は伝聞・推定か断定かを識別
    1. 接続で判断(ラ変はともに連体形接続なので注意)
      ※撥音便・撥音便無表記に接続→伝聞・推定の助動詞で確定する。
    2. 接続で分からないときはパターン
      ※「なりけり」の「なり」は断定の助動詞
      ※一人称主語なら断定が多い。(自分の行動を推定したり、伝聞したりしない。)
      ※ただし、あくまで助動詞であればの話。動詞の「なる」も「なりけり」の形になるし、一人称主語をとれるので要注意。

☆「なり」の解説授業はこちら→「なり」の識別(四段活用動詞「なる」の連用形、伝聞・推定の助動詞「なり」、断定の助動詞「なり」)

(11)「に」の識別

①完了の助動詞「ぬ」の連用形
※完了・強意の助動詞「ぬ」は連用形接続。

②断定の助動詞「なり」の連用形
※断定の助動詞「なり」は体言または連体形に接続する。

③格助詞「に」
※格助詞は体言に接続、または連体形接続(準体法)。

④接続助詞「に」
※接続助詞「に」は連体形接続。

⑤単語の一部(ナ変動詞(往ぬ・去ぬ・死ぬ)の連用形活用語尾、形容動詞ナリ活用連用形活用語尾、副詞の一部)

▶「に」のパターン

  1. 単語の一部の場合は上を見て判断する。
  2. 完了の助動詞になるときのパターン
    • 「にけり」「にき」「にし」「にしか」など下に過去の助動詞を伴ったとき(「~してしまった」と訳す)
    • 「にたり」など下に完了の助動詞を伴っていたとき(「~してしまっている」と訳す)←完了を強調した表現
  3. 断定の助動詞になるときのパターン
    • レベル1:下に「あり」「侍り」「候ふ」「おはす」を伴うとき
      【例】にある・や侍る・に候ふれ・におはす
    • レベル2:「に」と「あり」「侍り」「候ふ」「おはす」の間に助詞が挟まっているとき
      【例】にぞある・にや侍る・にこそ候ふれ・にておはす
    • レベル3:結びの省略が起きているとき
      【例】にぞ・になむ・にや・にか・にこそ
      ※「ある」「あらむ」などが省略されている。
  4. 格助詞か接続助詞か
    • 上が体言なら、格助詞(接続助詞は体言に接続しない)
    • 上が連体形ならば意味で見分ける。体言の省略(準体法)がおきている場合は格助詞
    • 格助詞「に」は「~に」と訳す(現代語と同じ)。
    • 接続助詞「に」は、「~ので(順接)」「~のに(逆接)」「~すると(単純接続)」と訳す。
  5. 上記のパターンで見分けることができなれば、文脈判断。

☆「に」の識別の解説授業はこちら→「に」の識別(完了・存続の助動詞「ぬ」の連用形、断定の助動詞「なり」の連用形、格助詞「に」、接続助詞「に」、単語の一部)

(12)「にて」の識別

①格助詞「にて」
※格助詞は体言または連体形(準体法)に接続。「にて」で一語。時・場所・手段などを示し、「~で」と訳す。

②断定の助動詞「なり」の連用形+接続助詞「て」
※断定の助動詞「なり」は体言または連体形に接続。断定の助動詞「なり」の連用形「に」を使うときは、下に「あり」「侍り」「候ふ」「おはす」を伴う。「に」と「あり」の間に係助詞や接続助詞が入っていても、このルールは適用される。接続助詞「て」は連用形接続。

③ナ変動詞「死ぬ」「往ぬ」の連用形活用語尾+完了の助動詞「つ」の連用形
※「死ぬ」「往ぬ」で一語、連用形が「死に」「往に」。完了の助動詞「つ」「ぬ」は、下に過去の助動詞を伴うことがよくある。「てけり」「にけり」「てき」「にき」は「~してしまった」と訳す。過去の助動詞は連用形接続。

(13)「ぬ」の識別

①打消の助動詞「ず」の連体形
※打消の助動詞「ず」は未然形接続。

②完了・強意の助動詞「ぬ」の終止形
※完了・強意の助動詞「ぬ」は連用形接続。

☆「ぬ」の識別の解説授業はこちら→「ぬ」「ね」の識別(打消の助動詞「ず」、完了・強意の助動詞「ぬ」)

(14)「ね」の識別

①打消の助動詞「ず」の已然形
※打消の助動詞「ず」は未然形接続。

②強意の助動詞「ぬ」の命令形
※完了・強意の助動詞「ぬ」は連用形接続。
※完了・強意の助動詞「つ」「ぬ」は命令形になると、強意(~してしまえ)になる。

☆「ね」の識別の解説授業はこちら→「ぬ」「ね」の識別(打消の助動詞「ず」、完了・強意の助動詞「ぬ」)

(15)「ばや」の識別

①順接確定条件の接続助詞「ば」+疑問・反語の係助詞「や」
※接続助詞「ば」は未然形接続か已然形接続、今回は已然形接続(順接確定条件)。順接確定条件の接続助詞「ば」は、原因(~ので)、偶然条件(~すると)、恒常条件(~するといつも)の3つの意味がある。係助詞「や」は連体形結び。

②順接仮定条件の接続助詞「ば」+疑問・反語の係助詞「や」
※接続助詞「ば」は未然形接続か已然形接続、今回は未然形接続(順接仮定条件)。順接仮定条件の接続助詞「ば」は、「もし~ならば」と訳す。係助詞「や」は連体形結び。

③自己の願望の終助詞
※願望の終助詞は未然形接続。終助詞は文末に使う。自己の願望は「~したい」と訳す。

(16)「めり」の識別

①推定の助動詞「めり」の終止形
※推定の助動詞「めり」は終止形接続(ラ変には連体形接続)。

②四段動詞「読む」などの已然形活用語尾+完了・存続の助動詞「り」の終止形
※「読む」で一語、「読め」は已然形。完了・存続の助動詞「り」はサ変には未然形、四段には已然形に接続(「サミシイ」という語呂合わせで覚える)。サ変には未然形、四段には已然形に接続するということは、「e」の音に接続するということ(「読め」の「め」は「e」の音になっている)。

(17)「らむ」の識別

①現在推量・現在の婉曲の助動詞「らむ」の終止形・連体形
※現在推量の助動詞「らむ」は終止形接続(ラ変には連体形接続)。
※「ーu」の音に接続する。

②完了・存続の助動詞「り」の未然形+スイカカエテの助動詞「む」の終止形・連体形
※完了・存続の助動詞「り」はサ変には未然形、四段には已然形に接続する。
※「ーe」の音に接続する。

☆「らむ」の識別の解説授業はこちら→「る」「れ」「らむ」の識別(受身・尊敬・可能・自発の助動詞「る」、完了・存続の助動詞「り」、現在推量の助動詞「らむ」)

(18)「る」の識別

①受身・尊敬・自発・可能の助動詞「る」の終止形
※受身・尊敬・可能・自発の助動詞「る」は未然形接続。
※「ーa」の音に接続する。

②完了・存続の助動詞「り」の連体形
※完了・存続の助動詞「り」はサ変には未然形、四段には已然形に接続する。
※「ーe」の音に接続する。

☆「らむ」の識別の解説授業はこちら→「る」「れ」「らむ」の識別(受身・尊敬・可能・自発の助動詞「る」、完了・存続の助動詞「り」、現在推量の助動詞「らむ」)

(19)「れ」の識別

①未然形+れ→受身・尊敬・可能・自発の助動詞「る」の未然形・連用形
※受身・尊敬・可能・自発の助動詞「る」は未然形接続。
※「ーa」の音に接続する。

②完了・存続の助動詞「り」の已然形・命令形

※「ーe」の音に接続する。※完了・存続の助動詞「り」はサ変には未然形、四段には已然形に接続する。

☆「らむ」の識別の解説授業はこちら→「る」「れ」「らむ」の識別(受身・尊敬・可能・自発の助動詞「る」、完了・存続の助動詞「り」、現在推量の助動詞「らむ」)

(20)「を」の識別

①格助詞「を」
※格助詞は連体形(準体法)または体言に接続。「~を」と現代語と同じように訳す。

②順接の接続助詞「を」
※接続助詞「を」は連体形接続。接続助詞は2つの文をつなぐ働きがある。接続助詞「を」には順接(~ので)、逆接(~のに)、単純接続(~すると)の3つの意味がある。

③間投助詞「を」
※間投助詞「を」は詠嘆(「~なあ」「~ねえ」の意味。間投助詞「を」は省いても文意が変わらない。


☆例文はこちら→識別全パターン例文一覧

☆解説授業はこちら→識別全19パターンをマスターしよう!(し・しか・せ・たり・て・と・とも・な・なむ・なり・に・にて・ぬ・ね・ばや・めり・らむ・る・を)

☆重要な識別の詳しい解説はこちら→重要な識別「ぬ・ね・る・れ・らむ・なむ・に・なり」解説・テスト一覧


【識別の解説授業一覧】

「ぬ」「ね」の識別(打消の助動詞「ず」、完了・強意の助動詞「ぬ」)

「る」「れ」「らむ」の識別(受身・尊敬・可能・自発の助動詞「る」、完了・存続の助動詞「り」、現在推量の助動詞「らむ」)

「なむ」の識別(他者への願望の終助詞、強意の助動詞「ぬ」の未然形+推量の助動詞「む」、係助詞、ナ変動詞の未然形活用語尾+推量の助動詞「む」)

「に」の識別(完了・存続の助動詞「ぬ」の連用形、断定の助動詞「なり」の連用形、格助詞「に」、接続助詞「に」、単語の一部)

「なり」の識別(四段活用動詞「なる」の連用形、伝聞・推定の助動詞「なり」、断定の助動詞「なり」)

識別全19パターンをマスターしよう!(し・しか・せ・たり・て・と・とも・な・なむ・なり・に・にて・ぬ・ね・ばや・めり・らむ・る・を)

補助活用が文法的に重要な理由を解説します!

古文でよく出てくる準体法とは何かについて解説します。


参考~

重要な識別「ぬ・ね・る・れ・らむ・なむ・に・なり」解説・テスト一覧

重要な識別「ぬ・ね・る・れ・らむ・なむ・に・なり」一覧

識別(古文)解説・テスト一覧

古文文法の解説動画・授業動画一覧(基礎知識、用言、係り結びの法則、助動詞、助詞、識別、敬語、和歌、主体の判別)

古文文法のすべて(基礎知識、用言、係り結びの法則、助動詞、助詞、識別、敬語、和歌、主体の判別)

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