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漸化式をマスターしよう(3)応用パターン①(隣接3項間漸化式、特性方程式の解が2つ出るパターン、特性方程式の解が1つのパターン)

(1)解説授業動画

https://youtu.be/g-Buk5MDx5o

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(2)解説授業の原稿

隣接3項間漸化式とは何か

これからは応用パターンの漸化式の解説をします。まずは隣接3項間漸化式の解説をします。

隣接3項間漸化式とは、an+2−5an+1+6an=0のようにan+2とan+1とanで表される漸化式のことです。

このパターンの漸化式は特性方程式を使って解きます。後ほど解説しますが、隣接3項間漸化式の特性方程式は二次方程式になります。そのため隣接3項間漸化式の解法は2つのパターンがあります。なぜなら二次方程式が実数解を持つときは、実数解が2つのときと、1つのときがあるからです。

特性方程式が異なる2つの実数解をもつパターン

まず実数解が2つになるパターンを確認します。実際に

a1=1、a2=4、an+2−5an+1+6an=0

を解きながら解法の流れを確認していきましょう。

まずan+2=x2、an+1=x、an=1とした特性方程式

x2−5x+6=0

を作ります。そして、この特性方程式を解くと実数解はx=2, 3となります。ここで2をα、3をβとして、

an+2−α・an+1=β(αn+1−αan)
のαとβに2と3を入れてみると

an+2−2an+1=3(an+1−2an)

のようになります。

次に、先ほど代入した式のαとβを入れ替えた式

an+2−β・an+1=α(αn+1−αan)

にα=2とβ=3を代入してみると、

an+2−3an+1=2(an+1−2an)

のようになります。

特性方程式を利用して作ったこれらの2つの式

an+2−2an+1=3(an+1−2an)
an+2−3an+1=2(an+1−2an)

は元の漸化式an+2−5an+1+6an=0と同じものになっています。実際にこれらを展開して整理してみると、元の漸化式an+2−5an+1+6an=0に戻ります。つまり、このx2−5x+6=0の特性方程式は、隣接3項間漸化式をan+2−α・an+1=β(αn+1−αan)やan+2−β・an+1=α(αn+1−αan)のような形にするための方程式なのです。

そして、これらの式の左辺と右辺を比べみると、対応する項数の部分が1つずつずれた形になっています。an+2−2an+1=3(an+1−2an)の式で言えば、n+2はn+1の次の項であり、n+1はnの次の項になっています。an+2−3an+1=2(an+1−2an)の式も同様になっています。つまり、これらの形というのは、左辺がn+1、右辺がnの形になっていると言うことができます。

よって、このan+1−2anをbnとすれば、この漸化式an+2−2an+1=3(an+1−2an)はbn+1=3bnとなり、これはbnが公比が3の等比数列であるということを表しています。したがって

bn=an+1−2an=(a2−2a1)・3n−1

となり、b1とはa2−2a1なので、これを計算すると、

an+1−2an =2・3n−1

となります。

an+2−3an+1=2(an+1−2an)の式も同様に、an+1−3anは公比が2の等比数列なので、初項×2n−1を計算すれば、

an+1−3an=(a2−3a1)・2n−1=2n−1

となります。

あとはan+1−2an=(a2−2a1)・3n−1=2・3n−1からan+1−3an=(a2−3a1)・2n−1=2n−1を引き算すれば、an=2・3n−1−2n−1となり、これが答えとなります。

いかがでしょうか。隣接3項間漸化式はこのような流れで解きます。

特性方程式が実数解を1つしかもたないパターン

それでは次は隣接3項間漸化式の特性方程式の実数解が1つになるパターンを確認します。実際に問題を解きながら確認していきましょう。

a1=1、a2=5、an+2−6an+1+9an=0

先ほどと同様にan+2=x2、an+1=x、an=1として特性方程式を作ります。そして、x2−6x+9=0の二次方程式を解くと、実数解は3だけの重解になります。先ほどは実数解が2つあったのでα、βと置きましたが、今回は実数解は1つしかないので、とりあえずαとして、

an+2−α・an+1=α(an+1−αan)

の式にα=3を代入していきます。この式は先ほどβだった部分がαになっています。そしてこの特性方程式を使って作った式

an+2−3・an+1=3(an+1−3an)

は元の漸化式an+2−6an+1+9an=0と同じものになっています。実際にこの式を展開して整理してみると、元の漸化式に戻ります。

ただ今回は1つしか式ができていないので、

an+2−3・an+1=3(an+1−3an)

だけでanを求めないといけません。この式は項数の対応する部分が1つだけズレている形になっているので、an+1−3anをbnと置くと、

bn+1=3bn

と置き換えることができます。今回はもう置き換えは使っていませんが、an+1−3an をまとめて1つの数列と見る考え方は同じです。初項はa2−3a1で、公比3つまり

an+1−3an=(a2−3a1)・3n−1

となります。これを計算すると、

an+1−3an=2・3n−1

となります。

繰り返しとなりますが、式はこれだけしかないので、先ほどのように連立させてan+1を消すということはできません。そこで、とりあえずこの式の左辺をan+1の形にしてみます。すると

an+1=3an+2・3n−1

の漸化式は基本パターンの漸化式の1つになっています。つまりan=pan+qnのようにn乗を含むパターンの漸化式になっているのです。よって、このパターンの漸化式の解法を使って漸化式を解いていきます。

n乗を含む場合は両辺をn+1乗で割るのでした。つまり今回は両辺を3n+1で割ります。すると

an+1/3n+1=3an/3n+1+2・3n−1/3n+1

のようになります。そしてここからは基本の流れ通り、左辺がn+1、右辺がnの形になるように式変形をして、今回も置き換えは使っていませんが、an/3nをかたまりで見ると、式変形をした漸化式

an+1/3n+1=an/3n+2/9

は、

bn+1=bn+2/9
のように等差数列になっています。よって

an/3n=a1/31+(n-1)・2/9

となります。右辺を整理すると、2/9n+1/9となるので、anについて解くために両辺を3n倍します。1/9は3−2なので、答えはan=(2n+1)・3n−2となります。

このように、隣接3項間漸化式の特性方程式の実数解が1つしか出ないパターンでも、基本パターンの解法が理解できていれば解くことができます。ちなみに隣接3項間漸化式は頻出の漸化式という訳ではありませんが、解法の流れは知っておくと良いでしょう。

(3)解説授業の内容を復習しよう

隣接3項間漸化式(特性方程式の解が2つ出るパターン、特性方程式の解が1つのパターン)

(4)漸化式応用パターン解説一覧

漸化式をマスターしよう(3)応用パターン①(隣接3項間漸化式、特性方程式の解が2つ出るパターン、特性方程式の解が1つのパターン)

漸化式をマスターしよう(3)応用パターン②(式変形の発想が難しい漸化式、この漸化式が自力で解けたら漸化式マスターです)

漸化式をマスターしよう(3)応用パターン③(一般項を予想して数学的帰納法で証明するパターン、数学的帰納法の流れについても解説しています)

(5)漸化式をマスターしよう(数学B)の解説一覧

漸化式(数学B)公式一覧

漸化式をマスターしよう(1)基本中の基本(等差数列の漸化式、等比数列の漸化式、そもそも漸化式とは何か)

漸化式をマスターしよう(2)基本8パターン(①特性方程式を利用する漸化式、②n乗の項を含む漸化式、③分母と分子にanを含む漸化式、④anan+1を含む漸化式、⑤anにルートや指数がついている漸化式、⑥和Snが与えられているパターン、⑦階差数列の公式を使うパターン、⑧an+1=pan+f(n))

漸化式をマスターしよう(3)応用パターン解説(隣接3項間漸化式、発想が難しい漸化式、一般項を予想して数学的帰納法で証明するパターン)

(6)参考

漸化式をマスターしよう(数学B)解説動画・授業動画一覧

漸化式(数学B)公式一覧

漸化式(数学B)をマスターしよう(漸化式全パターンの解説・授業・演習問題一覧)

数列(数学B)公式一覧

数列(数学B)の解説・授業・公式・演習問題一覧

数学的帰納法(数学B)の解説・授業・公式・演習問題一覧

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数学の解説動画・授業動画一覧(Ⅰ・A・Ⅱ・B・Ⅲ)

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数学の解説・授業・公式・演習問題一覧(Ⅰ・A・Ⅱ・B・Ⅲ)

数学典型パターン一覧(Ⅰ・A・Ⅱ・B・Ⅲ)

数学の語呂合わせ

数学学習に必要な参考書・問題集


「漸化式をマスターしよう」シリーズは、『細野真宏の数列と行列が面白いほどわかる本 Version2.0』(細野真宏著、(株)中経出版発行、現在は絶版)を参考にしています。

細野真宏先生が現在発行している出版物はこちら(小学館HP)→https://www.shogakukan.co.jp/author/5885

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