(1)解説授業動画
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(2)解説授業の原稿
平行移動させた後のグラフの式
y=f(x)と表される関数のグラフをx軸方向にp、 y軸方向にqだけ平行移動させると、平行移動させた後のグラフの式は、
y-q=f(x-p)
となります。
つまり、移動前のグラフの式のxを(x-p)に、yを(y-q)に置き換えたものとなります。このとき、プラスではなくマイナスであることに注意してください。
具体例で確認
それでは具体的に例題で確認します。
y=2x2-4x+4をx軸方向に-3、y軸方向に1だけ平行移動させます。
平行移動させた後のグラフの式は、移動前の式のxの部分を(x+3)に変えて、yの部分を(y-1)に置き換えます。
y-1=2(x+3)2-4(x+3)+4
∴ y=2x2+8x+11
そして整理すると、移動後のグラフの式を求めることができます。
置き換えるときに(x-3)ではなく(x+3)、(y+1)ではなく(y-1)で置き換えるように、符号に注意してください。
関数の平行移動に関する疑問
このようにすれば、どのような関数でも平行移動させることができるのですが、おそらく、
「x軸方向に+p、y軸方向に+qだけ平行移動させているのに、なぜプラスではなくマイナスにしたものに置き換えるのか」
という疑問が浮かぶと思います。
2次関数の平行移動の別解(頂点の移動)
この疑問の解決の前に、2次関数の平行移動には別の解き方もあるので、そちらもご紹介します。
2次関数の平行移動のときに使える別解は、頂点を移動させるやり方です。
簡単に流れを説明すると、まずは移動前の式を平方完成して、移動前の頂点を求めます。
y=2(x-1)2+2より
頂点は(1, 2)
そして、この移動前の頂点を動かして移動後の頂点を求めます。今回はx軸方向に-3、y軸方向に1、頂点を動かすので、x座標は1-3=-2、y座標は2+1=3とすると移動後の頂点を求めることができます。
移動後の頂点を求めたら、2次関数の平行移動の場合、x2の係数が変わらないことに注意して、移動後の式を作り、それを整理すると答えが出ます。
y=2(x+2)2+3
∴ y=2x2+8x+11
このように頂点に移動させる場合はわざわざ符号を変える必要はありません。今回のように点(a, b)をx軸方向にp、 y軸方向にq移動させた場合、移動後の点の座標は(a+p, b+q)となります。
こうなってくると関数を移動させるときに x-p、y-qとなぜ符号を変えないといけないのかについての謎がさらに深まっていくと思います。
関数を平行移動させるときになぜマイナスにするのか
それでは、グラフを平行移動させるときになぜxをx-p、yをy-qに置き換えるのかの解説をします。
最初に書いた平行移動の説明の移動前の式のxとyを、XとYにしてみるとわかりやすくなると思います。
Y=f(X)と表される関数のグラフをx軸方向にp、 y軸方向にqだけ平行移動させると、平行移動させた後のグラフの式は、
y-q=f(x-p)
つまりXとYは移動前を表しており、xとyは移動後を表しているということになります。すると移動前のグラフ上のある点(X, Y)をx軸方向にp、 y軸方向にqだけ移動させるとその点の座標は、(X+p, Y+q)となります。
今回は移動後のグラフの式、つまりxとyの関係式を求めることが目的なので、
X+p=x より X=x-p
Y+q=y より Y=y-q
として、この2つを移動前のグラフに代入すると、XとYの関係式からxとyの関係式となり、移動後のグラフの式を求めることができます。
つまり、マイナスになる理由は、移動後のグラフ上の点から見たら、移動前のグラフ上の点はy軸方向に-q、x軸方向に-p移動させたものであるからなのです。
このようにグラフの平行移動を考えるときは、移動前のx, yと移動後のx, yを区別して考えるようにすると理解しやすくなります。
このグラフの平行移動の考え方は、2次関数だけではなく3次関数や数Ⅲで学習するさまざまな関数や2次曲線などでも使えます。ぜひ理解しておくようにしましょう。
- 3次関数についてはこちら→微分(数学Ⅱ)の解説・授業・公式・演習問題一覧
(3)解説授業の内容を復習しよう
②対称移動
(4)二次関数・二次方程式・二次不等式(数学Ⅰ)の解説一覧
②そもそも判別式とは何か(二次関数の問題で判別式を使うときの注意点)
③二次関数の最大と最小を考えるときに引くべき3つの線(場合分けについても解説しています)
⑤二次不等式の解法(解が特殊になる二次不等式の解説もしています)
(5)参考
☆二次関数・二次方程式・二次不等式(数学Ⅰ)の解説・授業・公式・演習問題一覧