3本の接線が引ける条件

(1)例題

を実数とし、座標平面上の点P(1,0)を通る、曲線C: y=-x3+9x2+kx の接線の本数がちょうど3本となるkの条件を求めよ。

(センター試験数学ⅡB2010第2問(1)より)

(2)例題の答案

f(x)=-x3+9x2+kx とする。
(t,-t3+9t2+kt)におけるy=f(x)の接線の方程式は、f'(x)=-3x2+18x+kより
y=(-3t2+18t+k)(x-t)-t3+9t2+kt
⇔ y=(-3t2+18t+k)x+2t3-9t2
であり、この接線が点Pを通るとき
0=(-3t2+18t+k)・1+2t3-9t2
⇔ -2t3+12t2−18t=k
が成り立つ。
P(t)=-2t3+12t2−18tとおくと、
P'(t)=−6t2+24t−18=−6(t−1)(t−3)
であるので、P(t)の増減表は以下となる。

t……1……3……
P'(t)0+0
P(t)−80

ゆえに、P(t)は
t=1 で極小値 -8、t=3 で極大値 0をとる。
点Pを通るCの接線の本数は、tの方程式P(t)=kの異なる実数解の個数に等しい。つまり、y=P(t)のグラフと、y=k のグラフの共有点の個数を考えればよい。
したがって、点Pを通るCの接線の本数がちょうど3本になるのは
−8<k<0

(3)解法のポイント

3次関数に対して、曲線上にない点から3本の接線が引ける条件を求める問題の解法の手順としては、

①接点を(t,f(t))とおく。
②(t,f(t))における接線の方程式を求める→y-t=f'(t)(x-t)
③②に与えられている点の座標(今回はy座標をaとする)を代入し、aでまとめる。
※tの3次方程式の定数項にaが含まれた形になる。
④③の方程式の右辺はaだけにして、残りは左辺にする(定数分離)
※g(t)=(左辺)とすると、g(t)=aの形になる。
⑤y=g(t)のグラフをかき、y=aと交点が3つになるときのaの条件が答え

となります。
ポイントは以下のことが論理的に理解できているかです。

y=g(t)とy=aの交点が3つある
⇔ g(t)=aという3次方程式の解が3つ存在する。
⇔ g(t)=aを満たすtの値が3つ存在する。
⇔ tは接点のx座標なので、g(t)=aという条件を満たす接点が3つ存在する。
⇔ 条件を満たす接線が3本存在する。
(1つの接点に対応する接線は1本だから)

※3次関数のグラフでは,一つの直線が異なる2点で接することはない。

(4)必要な知識

①接線の方程式