英語を学習する上で必要な5文型の基礎知識(なぜ5文型を勉強する必要があるのか、文の要素S, V, C, Oと品詞、自動詞と他動詞、修飾語、補語の働き、各文型のポイントと訳し方についても解説しています)【英文法のすべて】

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今回は5文型の基礎知識について解説します。

英語には5つの文型があります。Sを主語、Vを動詞、Cを補語、Oを目的語とすると、第1文型はSV、第2文型はSVC、第3文型はSVO、第4文型はSVOO、第5文型をSVOCとなります。

なぜ5文型を学習する必要があるのか

今回は、英語を学習する上で知っておきたい5文型についての基礎知識を解説するのですが、その前にまず、なぜ5文型を勉強しないといけないのかについてお伝えします。

英文は基本的に5文型のどれかになっている

5文型を勉強する理由は、「英語の文は基本的にこの5文型のどれかになっている」ということを知っておくことが重要だからです。

つまり、どんなに複雑な英文であっても、必ずこの5つの文型のどれかに分類することができるということなのです。このことを知っていれば、英文を解釈する上でとても心強いです。また、英作文をするときも、この5つの文型のどれかに当てはめればいいので、とても書きやすくなります。

先を予想することができる

そして、5文型を知っていれば、英文を読んだり聞いたりするときに、先を予想することができるようになります。つまり、英語の文はまず主語から始まり、その後に動詞が来て、動詞の後は、もう文の要素が来ないか、補語が来るか、目的語が来ます。そして、目的語が来たら、もう文の要素が来ないか、目的語が来るか、補語が来ます。

このように、この文の要素が来た後は、この文の要素が来て、その後はこれが来て、あるいは、もう何も来ない、といったことを予想しながら読んだり聞いたりすることができるのです。これは、リーディングやリスニングをするときにとても役に立つ能力です

日本人であれば、日本語の文をこういった文型を学習せずに先を予想しながら、読んだり聞いたりすることができます。それは、日本語の文の文型を自然と身につけているからなのですが、英語の文の文型も同様に自然と身についている人であれば、このような文型の知識は不要かもしれませんが、そうでないのであれば、この英語の5文型の勉強は、英語の学習に有効だと思います。

倒置を理解できる

また、疑問文やthere is構文など、いわゆる倒置が起きている文は、この5文型の語順とは違う語順になっています。しかし、それは、この基本の語順をあえて崩すことによって、相手にインパクトを与えるという効果を狙っているので、そもそも基本の語順を知らなければ、そういった特殊な文を理解することもできません。

以上が5文型を勉強した方がよい理由です。

文の要素(S, V, O, C)

それでは、5文型の基礎知識の解説に移ります。

このS, V, C, Oのことを文の要素というのですが、まずは文の要素について確認します。

文の要素と品詞の対応

それぞれの文の要素にはなることができる品詞が決まっています。

名詞・動詞・形容詞・副詞の中から、主語になれるのは名詞だけです。動詞には当然動詞がなり、補語には名詞と形容詞の2つがなることができます。目的語には名詞だけがなります。そして、副詞はどの文の要素にもなることができません。

このような文の要素と品詞の対応はとても重要なので、必ず知っておきましょう。

自動詞と他動詞

また、動詞について補足しておくと、動詞には自動詞と他動詞の2つの種類があります。この区別はとても重要です。

自動詞とは第1文型と第2文型で使われる動詞のことで、他動詞とは第3文型、第4文型、第5文型で使われる動詞のことです。つまり、後ろに目的語が来ない動詞のことを自動詞といい、後ろに必ず目的語が来る動詞のことを他動詞といいます。

このように、どの動詞を使うかによって文型が決まるので、英文を解釈したり、英作文をする上では、動詞が最も重要な品詞となります。

例文で5文型を確認

では、これらを踏まえた上でそれぞれの文型の例文を確認してみましょう。

第1文型:I go.

第1文型SVは、まず主語に名詞が来て、その後に動詞が来ます。Iやheは厳密には代名詞ですが、文型を考えるときは、代名詞も名詞の一種であると考えてもよいです。

第2文型:This apple is red.

続いて、第2文型のSVCは、主語の名詞が来て、その後に動詞が来て、動詞の後ろに形容詞か名詞がきます。今回のredは形容詞です。また、第2文型の動詞はbe動詞やbe動詞に相当する動詞が多いということは知っておきましょう。

第3文型:I want this book.

続いて、第3文型のSVOですが、主語の名詞が来て、動詞が来て、その後に目的語の名詞が来ます。目的語には名詞しかなれないので、第3文型・第4文型・第5文型の動詞つまり他動詞の後ろは、必ず名詞になっています。このことは絶対に知っておきましょう。

第4文型:He gave me some advice.

そして、第4文型のSVOOは、主語の名詞が来て、動詞が来て、目的語の名詞が来た後に、さらに目的語の名詞が来ます。

第5文型:I’ll make you happy.

そして、最後に第5文型のSVOCですが、主語の名詞が来て、動詞が来て、目的語の名詞が来て、その後ろに補語が来ます。補語の位置には形容詞か名詞が来ますが、今回は形容詞が来ています。

このように文型を知っていれば、品詞の来る位置が分かるようになります。

第1文型SVの注意点

それでは、それぞれの文型での注意点を補足します。

まずは、第1文型のSVですが、以下の4つの例文は全て第1文型です。

I go.(私は行く。)
I go there.(私はそこへ行く。)
I usually go to school by bus.(私は普段バスで学校へ行く。)
I go home.(私は家へ行く。)

例えば、I go there.は、主語と動詞以外の単語が含まれているのですが、それでもこの文が第1文型なのは、このthereが副詞だからです。このように実際の英文は、文の要素だけでなく、副詞などの修飾語が含まれています。それゆえに、文が複雑に見えるのですが、逆に言えば、修飾語を取り除いてやれば、英文は文の要素だけの文になるということになります。

I usually go to school by bus.もusually, to school, by busは副詞なので、これらを取り除いてやれば、SVという文の要素だけが残ります。ちなみに、2語以上の単語のかたまりは句や節と言います。今回は副詞の句なので、副詞句と言います。

また、I go home.も第1文型です。homeは名詞と間違えやすいのですが、「家へ」という意味の場合は副詞になるので注意しましょう。

ちなみに、副詞とは名詞以外を修飾する品詞のことです。今回出てきた副詞はすべて、動詞のgoを修飾しています。

第2文型SVCの注意点

それでは、第2文型のSVCです。

This apple is red.(このリンゴは赤い。)
She will become a teacher in the future.(彼女は将来先生になるつもりだ。)

This apple is red.は、先ほども確認した通り、主語の名詞の後ろにbe動詞が来て、補語の位置にはredつまり形容詞が来ています。

補語の位置には形容詞だけでなく、名詞が来ることもできます。She will become a teacher.は補語が名詞の例文です。Sheが主語で、becomeが動詞で、a teacherという名詞が補語の位置に来ています。ちなみに、in the futureは副詞句で、修飾語なので文の要素にはなりません。また、willは助動詞なのですが、文型を考えるときは、助動詞は動詞とセットにしておくとよいでしょう。

第2文型で特に重要なのは、SとCの関係が、「S=C」あるいは「S is C」の関係になっているということです。This apple is red.で言えば、「このリンゴ(This apple)=赤い色をしている(red)」ということであり、She will become a teacher in the future.で言えば、「彼女(She)=先生という職業(a teacher)」あるいは「She is a teacher」の関係になっています。

このように第2文型は、イコール関係、あるいは、be動詞でつながれる関係である、ということは知っておきましょう。

また、第1文型の例文で出てきた動詞のgoや、このbe動詞やbecomeといった動詞は自動詞であるということにもなります。

第3文型SVOの注意点

続いて、第3文型のSVOです。

I want this book.(私はこの本が欲しい。)
I want to buy this book.(私はこの本を買うことを望む。(私はこの本を買いたい。))
I know that she wants this book.(私は彼女がこの本を欲しがっていることを知っている。)

第3文型の動詞は他動詞となり、他動詞の後ろは必ず目的語が来ます。そして、目的語は名詞しかなれないので、他動詞の後ろは必ず名詞が来るということになります。

I want this book.で言えば、wantという他動詞の後ろにthis bookという名詞が目的語になっています。

I want to buy this book.では、wantの後ろのto buy this bookがまとめて名詞となり、他動詞wantの目的語になっています。

I know that she wants this book.では、knowの後ろのthatのかたまりがまとめて名詞となり、他動詞knowの目的語となっています。

このように、かたまりで文の要素となっていることもあるので注意しましょう。

ちなみに、that she wants this bookのようにSVといった文の構造を持つかたまりのことを節といい、SVを含まない単語のかたまりのことを句と言います。

そのため、to buy this bookは名詞句と言い、that she wants this bookは名詞節と言います。ちなみに、節の場合は、節の中でさらに、文型があります。that she wants this bookで言えば、that節の中でSVOの第3文型があります。

このように、文の構造の中に、さらに文の構造があるというのが、英語の文が複雑になる理由の1つです。

I want this book.を訳すと「私はこの本が欲しい。」という意味で、I want to buy this book.は「私はこの本を買うことを望む。」つまり「私はこの本を買いたい。」という意味で、I know that she wants this book.は「私は彼女がこの本を欲しがっていることを知っている。」という意味になります。

今訳してみたように、SVOは「SはOをVする」の順番で訳します。英語と日本語では、VとOの順番が逆になるのに注意しましょう。このように英語から日本語に直すときに、訳す順番を正確に把握することができるということも文型を勉強する理由の1つです。

第4文型SVOOの注意点

次は、第4文型SVOOです。

第4文型は他動詞の後ろに目的語が2つ続く文型です。1つ目の目的語は、間接目的語とも言いますが、O1と書き、2つ目の目的語は、直接目的語とも言いますが、O2と書きます。

He game me some advice.(彼は私にいくつかのアドバイスを与えた。)

例えば、この例文で言えば、Heという名詞が主語に来て、gameという動詞が来て、動詞の後ろにmeという1つ目の目的語が来て、そのすぐ後ろにsome adviceという2つ目の目的語が来ています。

この例文のように、O1には人が来ることが多く、O2にはものが来ることが多いです。

第4文型で特に重要なのは訳し方です。SVO1O2は、「SはO1にO2をVする」と訳します。この「に」と「を」の位置に注意しましょう。「に」はO1につけて、「を」はO2につけるのが基本です。

例えば、この例文を訳してみると「彼は私にいくつかのアドバイスを与えた。」といったような意味になります。このように第4文型の文を訳すときは、「に」と「を」の位置に注意しましょう。

第4文型SVOCの注意点

それでは最後に第5文型のSVOCを確認します。

「O=C」あるいは「O is C」の関係

第5文型で特に重要なのは、OとCが「O=C」あるいは「O is C」の関係になっているということです。ちなみに、第2文型SVCは「S=C」あるいは「S is C」の関係になっていました。

例文で確認してみましょう。

I’ll make you happy.(私はあなたを幸せにするつもりです。)

この例文では、Iが主語でmakeが動詞です。makeという他動詞の後ろでyouという名詞が目的語になっています。そして、目的語の後ろにhappyという形容詞が補語になっています。

このyouとhappyの関係は、「You are happy」つまり「あなた=幸せな状態」という関係になっています。主語つまり「私(I)が幸せ(happy)」なのではなくて、目的語つまり「あなた(you)が幸せである(happy)」ということを表しています。

この文を訳してみると「私はあなたを幸せにするつもりです。」といったような意味になります。

SVOCとSVOOの見分け方

They call him Tom.(彼らは彼をトムと呼びます。)

こちらの例文では、Theyが主語で、callが動詞です。callは他動詞なので、himという名詞が目的語の位置に来ています。そして、目的語の後ろでTomという名詞が補語になっています。

補語には形容詞だけでなく、名詞もなることができます。こちらの例文のOとCは「He is Tom」あるいは「彼=トム」の関係になっています。

この文を訳してみると「彼らは彼をトムと呼ぶ。」といったような意味になります。トムとイコール関係なのは彼(him)であって、彼ら(they)ではないことに注意しましょう。

He gave me some advice.(彼は私にいくつかのアドバイスを与えた。)

また、これは先ほどの第4文型つまりSVOOの例文なのですが、第4文型の場合は、「O1=O2」とはなりません。例えば、この文で言えば、「私(O1)=アドバイス(O2)」あるいは「I am advice」いった関係にはなりません。

第5文型のCが名詞の場合は、「主語→動詞→名詞→名詞」のように品詞の順番が第4文型と同じになってしまいますが、動詞の後ろの2つの名詞がイコール関係になっているか、なっていないかで第5文型か第4文型かを判断することができます。

ただ、そのように文全体を見て判断するよりは、動詞を見て、第4文型となる動詞か、第5文型となる動詞かを判断できるようになる方が、実践的です。

例えば、giveは基本的にSVOOの構文をとる動詞であり、makeやcallはSVOCとなることが多い動詞である、ということを知っておけば、動詞まで見れば、その後ろがO1O2になっているのか、OCになっているのかを予想することができるようになります。

いかがだったでしょうか。以上が英語を学習する上で知っておいて欲しい5文型の基礎知識です。最初にもお伝えした通り、これらの知識は英語を学習する上でとても役に立つので、ぜひ身につけておいてください。

(3)解説授業の内容を復習しよう

文型に関する基礎知識テスト

(4)英文法を学習する上で必要な基礎知識一覧

英語を学習する上で必要な5文型の基礎知識(なぜ5文型を勉強する必要があるのか、文の要素S, V, C, Oと品詞、自動詞と他動詞、修飾語、補語の働き、各文型のポイントと訳し方についても解説しています)

基本の4品詞(名詞・動詞・形容詞・副詞)の基礎知識(接尾語と接頭語、SVOCとの対応、修飾語、形容詞の2つの用法(叙述用法と限定用法)について解説しています)

英語における句と節を解説します(名詞句、形容詞句、副詞句、名詞節、形容詞節、副詞節の判別)

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(5)文型(英文法)の解説一覧

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同族目的語を使った表現(「夢を見る」はsee a dreamではありません)

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(6)参考

句と節(英文法)の解説・授業・確認テスト一覧

文型(英文法)の解説・授業・確認テスト一覧

品詞(英文法)の解説・授業・確認テスト一覧

英文法の解説動画・授業動画一覧

英文法確認テスト一覧

覚えるべきイディオム一覧(助動詞、受動態、不定詞、分詞、動名詞、関係詞、比較、否定、群前置詞、動詞、名詞、形容詞、副詞)

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