熱に関する現象は粒子で考えましょう(熱運動、熱量とは何か、熱と温度の違い、状態変化、熱振動、熱膨張、融解熱、蒸発熱、潜熱、凝縮熱、凝固熱)

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(2)解説授業の原稿

熱運動と熱エネルギー

熱に関する現象は、その物体を構成している原子や分子といった粒子で考えると、その原理がわかりやすくなります。

この世の中に存在するすべての物質の構成粒子は熱運動をしています。

熱運動とは、原子や分子が不規則に運動したり、振動したりする運動のことです。そして、この熱運動の運動エネルギーのことを熱エネルギーと呼んでいます。

また、ある粒子が熱運動により別の粒子にぶつかり、そのぶつかられた粒子も熱運動をしたり、あるいは、振動している粒子の分子間力に引かれて別の粒子が振動をしたりします。このように、熱運動は他の粒子に移っていきます。

これはすなわち熱エネルギーが移動しているとも言えます。

この熱エネルギーが移動しているということを、物理では「熱が移動する」といい、この移動量のことを熱量と呼んでいます。熱量は熱エネルギーの移動量なので、単位はエネルギーと同じJ(ジュール)を使います。

熱と温度の違い

また、熱や熱量という言葉と間違いやすいのが温度という言葉です。

温度とは熱運動の激しさを、基準を決めて表したものです。理科では主にセルシウス温度[℃]と絶対温度[K]の2つを使います。

セルシウス温度とは、氷が水になるとき、つまり、融点のときの水分子の熱運動の激しさを0℃とし、水が水蒸気になるとき、つまり、沸点のときの水分子の熱運動の激しさを100℃として表したものです。

そして、絶対温度とは、あらゆる粒子の熱運動が完全に止まるときを0ケルビン(絶対零度)として熱運動の激しさを表したものです。

つまり、熱や熱量というものは移動するものであり、その移動した熱によって上がったり下がったりするのが温度なのです。

このように熱や熱量と、温度は区別して使うようにしましょう。

物質の三態と熱運動

それでは次に状態変化を粒子の熱運動で考えてみます。

固体、液体、気体を「物質の三態」というのですが、それぞれの状態における粒子の様子は以下の図のようになっています。

固体の状態では構成粒子はお互いの分子間力によって縛られているため移動することができません。そのため、固体の構成粒子はその場で振動をしています。このような振動のことを熱振動と言います。

次に液体の状態ですが、液体の状態でも互いの分子間力によって縛られてはいますが、部分的に移動する粒子がいるため流動性があります。

そして気体の状態では、それぞれの粒子はお互いの分子間力に縛られることはなく自由に熱運動し、容器の中を飛び回っています。

状態変化と熱運動

それでは、それぞれの状態での粒子の運動が確認できたところで、状態変化を考えてみます。

融解(固体→液体)

まず固体の状態で粒子は熱振動をしているのですが、この状態で温度を上げる、つまり、熱運動を激しくさせると、粒子はさらに激しく振動することになります。

このように熱振動の振動の幅が大きくなると、それによって物質の体積が大きくなります。このことを熱膨張と言います。

このまま温度を上げてさらに熱振動を激しくさせると、やがて一部の粒子が分子間力を振り切って移動するようになります。この状態が液体です。

蒸発(液体→気体)

そして、さらに温度を上げて熱運動を激しくさせると、全ての粒子が分子間力を振り切るようになり、そうなると気体となります。

融解熱と蒸発熱

このように固体から液体そして気体になるためには分子間力を振り切るほどの熱運動をする必要があり、そのためのエネルギーを外部から取り込まないといけません。

そのため融解や蒸発をするときは、熱を吸収します。融解のときに吸収する熱を融解熱、蒸発のときに吸収する熱を蒸発熱といい、融解熱と蒸発熱を合わせて潜熱と言います。

凝縮と凝固

ちなみに気体から液体になる場合は凝縮、液体から固体になる場合は凝固と言うのですが、これらの場合は融解、蒸発とは逆に構成粒子が分子間力に捕まるぐらいに熱運動を抑えていかないといけません。

そのため凝縮、凝固の各段階でエネルギーを放出しないといけないので、それぞれ熱を外部に放出します。その放出する熱量の大きさは、凝縮熱の場合は蒸発熱と、凝固熱の場合は融解熱と同じ値になります。

いかがだったでしょうか。このように熱が関係する現象はその構成粒子の熱運動を考えることで理解しやすくなります。ぜひ、このようにミクロな視点で考えるということを実践してみてください。

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