☆問題のみはこちら→敬語(古文)の例文テスト一覧(問題)
①~⑮を敬語に注意しながら現代語訳せよ。
①清涼殿へ参る。
→清涼殿へ参上する。
※「場所+参る」で「参上する」という謙譲語の意味となる。
②御果物ばかり参る。
→果物ばかり召し上がる。
※「食べ物・飲み物+参る」で「召し上がる」という尊敬語の意味になることがある。
③帝に文奉る。
→帝に手紙を差し上げる。
※「奉る」は本動詞の場合は、「差し上げる」という意味の謙譲語になることが基本。
④御直衣など奉る。
→直衣などをお召しになる。
※「着物+奉る」で「お召しになる」という尊敬語になることもある。
⑤天の羽衣うち着せ奉りつ。
→天の羽衣を着せ申し上げた。
※「奉る」は補助動詞の場合、必ず謙譲語になる。
⑥碁盤侍りや。
→碁盤はありますか。
※「侍り」「候ふ」は本動詞の場合、「あります」「おります」という丁寧語の意味になることが基本。
⑦子どもあまた候ふ。
→子どもがたくさんおります。
※「侍り」「候ふ」は本動詞の場合、「あります」「おります」という丁寧語の意味になることが基本。
⑧御前に候はせ給ふ女房たち
→御前にお仕え申し上げなさっている女房たち
※「侍り」「候ふ」は本動詞の場合、「お仕え申し上げる」という謙譲語になることもある。
⑨許され侍らば、見侍らむ。
→許されますならば、見ましょう。
※「侍り」「候ふ」は補助動詞の場合、必ず丁寧語になる。
⑩名高く聞こえたるところなり。
→評判が高く噂されているところである。
※「聞こゆ」は一般動詞の場合、「聞こえる」「噂される」という意味になる。
⑪殿に聞こえけり。
→殿に申し上げた。
※「聞こゆ」は本動詞の場合、「申し上げる」という意味の謙譲語になることもある。
⑫いとあはれと思ひ聞こえ給ふ。
→たいそう趣深いとお思い申し上げなさる。
※「聞こゆ」は補助動詞の場合、必ず謙譲語になる。
⑬多くの銭を給ふ。
→多くのお金をお与えなさる。
※「給ふ」は本動詞の場合、必ず「お与えになる」という意味の尊敬語になる。
⑭「内々に思ひ給ふるさまを奏し給へ」
→「私が心の中で思っておりますことを申し上げなさってください」
※「給ふる」は下二段活用なので謙譲語、「給へ」は四段活用なので尊敬語。
⑮「珍かなる物を見給へつる」
→「珍しいものを目にいたしました」
※「給へ」は下二段活用なので謙譲語(「つる」は完了の助動詞で連用形接続)。
⑯~㉑の赤字になっている敬語の敬意の方向(誰から誰への敬意か)を答えよ。
- 敬意の方向のルールはこちら→敬意の方向(二方面の敬意、二重敬語(最高敬語)、絶対敬語、自敬表現についても解説しています)
⑯上に「いと宮いだきたてまつらむ」と、殿ののたまふ。
たてまつら(謙譲語):殿からいと宮への敬意
のたまふ(尊敬語):作者から殿への敬意
※現代語訳:上に「私がいと宮を抱き申し上げよう」と殿がおっしゃる。
⑰男、女に「花侍りや」と問ひ候ひけり。
侍り(丁寧語):男から女への敬意
候ひ(丁寧語):作者から読者への敬意
※現代語訳:男が女に「花はありますか」と問いました。
⑱殿、若宮いだき出て奉りたまふ。
奉り(謙譲語):作者から若宮への敬意
たまふ(尊敬語):作者から殿への敬意
※現代語訳:殿は若宮を抱きながら出てき申し上げなさる。
※「謙譲語+尊敬語」のように二種類の敬語を組み合わせることを二方面への敬意という。
⑲中将こまごまと奏す。
奏す(謙譲語):作者から天皇(または上皇)への敬意
※現代語訳:中将こまごまと(天皇または上皇に)申し上げなさる。
※「奏す」は敬意の対象が天皇または上皇と決まっている。
⑳兼家、東宮に参り給ひて、ありさまを啓せさせ給ふ。
啓せ(謙譲語):作者から東宮への敬意
させ給ふ(尊敬語(二重敬語)):作者から兼家への敬意
※現代語訳:兼家は東宮のもとに参上しなさって、様子を東宮に申し上げなさる。
※「啓す」は敬意の対象が中宮(皇后)または東宮(皇太子)と決まっている。
㉑帝「朕歌よみ給はむ。今宵、清涼殿へ参れ」と仰せけり。
給は(尊敬語):帝から帝への敬意
参れ(謙譲語):帝から帝への敬意
※現代語訳:帝は「私が歌をお詠みしましょう。今夜、あなたは清涼殿へ参上してください」とおっしゃった。
※このように自分から自分への敬意を表すことを自敬表現という。
敬語の解説一覧
①意味で注意すべき敬語「参る・奉る・侍り・候ふ・聞こゆ・給ふ」(二種類の意味を持つ敬語、謙譲語の「給ふ」を使うときの条件についても解説しています)
②敬意の方向(二方面の敬意、二重敬語(最高敬語)、絶対敬語、自敬表現についても解説しています)
④例文はこちら→敬語(古文)の例文一覧
☆敬語は主体の判別において重要です→主体の判別のための3つのポイントを解説します!(①敬語、②接続助詞、③古文常識、例文による解説もしています)
~参考~
☆古文文法の解説動画・授業動画一覧(基礎知識、用言、係り結びの法則、助動詞、助詞、識別、敬語、和歌、主体の判別)
☆古文文法のすべて(基礎知識、用言、係り結びの法則、助動詞、助詞、識別、敬語、和歌、主体の判別)
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