「有明の つれなく見えし 別れより 暁ばかり 憂きものはなし」の解説

①枕詞・序詞・掛詞

・なし

②助動詞と助詞の文法的説明

・「し」は過去の助動詞の連体形

・「より」は起点の格助詞(~から)

・「は」は係助詞

③句切れ

・句切れなし

④現代語訳

明け方の月がそっけなく見えた別れから、私にとって夜明けほどつらいものはありません。

⑤その他解説

・「有明(の月)」:陰暦の十六日以降、夜が明けても空に残っている月のこと。

・「別れ」:後朝の別れのこと。男女が共寝をした翌朝に男性は帰る。

・「暁」:日が昇る前のまだ暗い時間帯。

・この歌には2通りの解釈がある。「つれなく」したのは月(藤原定家の解釈)か、相手の女性(古今集の解釈)かの2通り。今回は前者でとらえた。