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濃度計算を極めるための3問の解説(これらの問題を自力で解くことができれば、濃度計算はマスターしたと言えます!)【化学計算の王道】

(1)解説授業動画

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(2)解説授業の原稿

今回は濃度計算を極めるための問題を解いていきます。

基本的な濃度計算はできる前提で話を進めていきますので、もし濃度計算の基本が身に付いているか不安な場合、まずそちらの解説をご覧になってください。

なお今回解く問題は、すべて有効数字は2桁で答えます。

問題①:水和物を溶かして溶液を作る

それでは1つ目の問題です。

0.2mol/Lの硫酸銅水溶液を1Lつくるには、硫酸銅五水和物の結晶が何g必要か求めてみます。ただし硫酸銅の式量は160で水の分子量は18とします。

硫酸銅の性質

まずは硫酸銅の性質を簡単に説明します。

硫酸銅は水に溶けて溶液中で溶質となっているときはCuSO4ですが、水から結晶として取り出した場合は硫酸銅五水和物となっています。このように溶質のときと結晶のときでは化学式が異なるので注意しましょう。

方程式を立てる

それでは、この点に注意しながら式を作っていきます。

まず問題文で与えられている情報の整理をします。問題文の『モル濃度』と『体積』はともに溶液の情報です。

モル濃度が与えられているので溶質の物質量で、方程式を立てる方針で解いていきます。

まずは求める質量をw[g]とおきます。すると方程式は以下のようになります。

左辺は溶液の濃度に溶液の体積をかけることで溶質のモルとなっています。ただし今回注意したいのは、溶質ということはCuSO4の方のモルであるということです。

続いて右辺ですが、今回求めるものは硫酸銅五水和物の質量であるので、分母にくるモル質量は硫酸銅五水和物のモル質量でないといけません。よって、w/250は硫酸銅五水和物のモルとなるので、×1をすることで硫酸銅つまり溶質のモルとします。

なぜ×1なのか

w/250を硫酸銅五水和物の情報で計算しているか、あるいは×1ができるかどうかがこの問題のポイントとなります。

なぜ×1なのかというと、例えば硫酸銅五水和物が1セットあるとき、硫酸銅は1つあり、硫酸銅五水和物が10セットある場合は、硫酸銅は10個あるということになるので、硫酸銅五水和物がw/250molある場合は、硫酸銅はw/250 ×1molあることになるからです。

工夫しながら方程式を解く

これで式ができたのであとは計算して解いていきます。

方程式を解くときは求めるものだけを左辺に残し、残りをすべて右辺にもっていきます。あとは計算して答えは50gとなります。

問題②:アンモニア水の濃度

それでは次に以下のような問題を解いてみます。

水100mLにアンモニアが19gだけ溶けたアンモニア水の密度は0.94g/cm3である。このアンモニア水の質量パーセント濃度とモル濃度を求めてみます。ただし水の密度は1g/cm3で、アンモニアの分子量は17とします。

この問題は非常に正答率が低い問題です。しっかりと溶質・溶媒・溶液のどの情報なのかを確認しながら解くようにしましょう。

問題文の情報の整理

ⅰ)まずは問題文の情報を整理します。水100mLというのは溶媒の情報です。
ⅱ)そしてアンモニア19gは溶質の情報です。
ⅲ)アンモニア水の密度は溶液の情報です。
ⅳ)また水の密度は溶媒の情報です。

このように、この問題はそれぞれの情報が溶質なのか溶媒なのか溶液なのかが分かりにくいため、間違えやすくなっているのです。

質量パーセント濃度を求める

それではまず質量パーセント濃度を求めてみます。

質量パーセント濃度は、溶質の質量/溶液の質量×100となります。

まず、水つまり溶媒の密度に溶媒の体積をかけることで溶媒の質量がでます。

なお1mLは1cm3であるということは、このように定義されていることなので知っておきましょう。

そして次に、溶媒の質量に溶質の質量を足します。すると、『溶媒の質量+溶質の質量=溶液の質量』となるのです。これで分母ができました。

分子は溶質の質量なので19gを書いて、パーセントにするために×100をします。後は計算をして有効数字2桁になるように四捨五入したら、答えは16%となります。

このようにしっかりと溶媒、溶質、溶液を考えないとこの問題は解けません。

よくある間違いとして、100×0.94を分母に書いてしまう人がいますがこれは間違いです。なぜなら100mLというのは溶媒の情報であり、0.94g/cm3というのは溶液の情報なので、溶媒の情報と溶液の情報をかけることはできないからです。

モル濃度を求める

それでは次にモル濃度を求めてみます。

モル濃度は、溶質のmol/溶液のLとなります。

まず先ほど求めた通り、1×100で溶媒の質量となり、溶質の質量である19を足すことで溶液の質量となります。

次に、溶液の質量を溶液の体積に変換するので溶液の密度で割ります。すると溶液のcm3、つまり溶液のmLがでるので、10-3をかけることで溶液のLを求めることができます。

また溶質の質量19gを、アンモニアのモル質量で割ることで溶質のモルがでます。これで分母と分子を求めることができたので、あとはこれを計算すれば答えとなります。

分数/分数となっているようなものの計算は、まず分母と分子に整理していきます。今回は約分ができないのでそのまま計算していきます。まず先にかけ算をして、最後に割り算をして、有効数字2桁になるように四捨五入をして、答えがでます。

このようにこの問題は今何が出ているのかを丁寧に確認しながら解くようにすれば正解に辿り着くことができます。

問題③:水を加えて硫酸の濃度を変える

それでは次にこの問題を解いてみます。

60%の硫酸の密度は1.5g/cm3である。この硫酸50mLを50%の硫酸にするためには水を何g加える必要があるか。ただし硫酸の分子量は98とします。

まずは問題文の情報を整理します。今回60%も1.5g/cm3も50mLも50%も溶液の情報です。ただし加える水は溶媒なので注意が必要です。

方程式を立てる

それでは式をつくっていきます。

まずは求める質量をw[g]とおき、溶質の物質量の方程式を立てる方針で解きます。

60%の硫酸の溶質の物質量を左辺にします。

質量パーセント濃度が与えられているので、まずは溶液の質量を求めます。溶液の密度に溶液の体積をかけることで溶液の質量となります。

そして溶液の質量に60%/100をかけることで、溶質のグラムとなります。最後に硫酸のモル質量で割ることで溶質のモルとなります。

続いて右辺ですが、50%の硫酸の溶質の物質量を右辺にします。

今回のポイントは元の溶液に水を加えて新しい溶液をつくっている、ということです。そのため、元の溶液の質量に溶媒を追加することで、水を加えた後の溶液の質量が出ます。

そして、水を加えたあとの溶液の質量に50%/100をかけることで、水を加えた後の溶質の質量が求められ、硫酸のモル質量で割ることで溶質の物質量となります。

水を加える前の溶質の量と水を加えた後の溶質の量は変わらないので、イコールでつないで方程式とすることができます。

ちなみに今回は両辺に1/98があるので、1/98を書かずに溶質のグラムで方程式を立てることができます。しかし解法は統一させた方がわかりやすいと思うので、基本的に溶質の物質量で方程式をたてるようにしましょう。

工夫しながら方程式を解く

あとは計算ですが、今回両辺に1/98と1/100 と50があるので、まずそれらを消去します。するとスッキリするので、求めたい文字だけを左辺にもってきて、残りを右辺に集めます。

そして今回みたいに共通因数がある場合は共通因数でくくります。すると計算が簡単になり、答えは15gとなります。

この問題も溶質なのか溶媒なのか溶液なのかをしっかりと確認しながら丁寧に式を作っていけば解くことができます。

いかがだったでしょうか。今回解説した3問を自力で解けるようになれば、濃度計算はマスターしたといえます。ぜひ復習しておいてください。

(3)解説授業の内容を復習しよう

モル濃度と質量パーセント濃度の計算

(4)濃度計算の解説

濃度計算の基本(質量パーセント濃度とモル濃度、濃度変換についても解説しています)

濃度計算を極めるための3問の解説

モル濃度から質量モル濃度への変換

(5)参考

物質量と濃度(化学基礎)の解説・授業・知識・演習問題一覧

化学計算の王道(化学基礎)

化学計算の王道(化学基礎・理論化学)

化学基礎の解説動画・授業動画一覧

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「化学計算の王道」シリーズは『思考訓練の場としての体系化学』(GHS予備校)を参考にしています。

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