(1)解説授業動画
☆YouTubeチャンネルの登録をよろしくお願いします→大学受験の王道チャンネル
(2)解説授業の原稿
今回は、比較級なのにtheをつけるときを解説します。
比較級には基本的にtheはつけません。しかし、theをつけないといけない場合が2パターンあるので、それぞれ確認します。
比較級にtheをつけるとき①:2者の比較
まず1つ目は2者の比較です。2者の比較とは、2つのものの中で比較することです。例えば、
This piano is the better of the two.
この例文は、「2つの中でこのピアノの方が良い。」という意味ですが、比較級のbetterにtheがついています。それは、of the two(2つの中で)と2者で比較しているからです。
なぜ2者で比較するとtheをつけるのかというと、特定されるからです。
そもそもtheは特定されるときにつけるものです。「特定」とは分かりやすく言うと、話し手と聞き手が同じものを思い描いている状態のことです。
つまり、2つしか比較対象がないときは、「より良いもの」と「より悪いもの」しかなく、「より良いほう」と言えば、1つに特定されるのでtheをつけないといけないのです。
比較級にtheをつけるとき②:「それだけいっそう~」の意味のとき
続いて、比較級にtheをつける2つ目のパターンは、「the+比較級」が「それだけいっそう~」という意味になるときです。
これは主にイディオムとして使います。
(all) the 比較級 because~ (~なので、それだけいっそう……)
none the 比較級 for~ (~だからといって、それだけいっそう……ということはない)
the 比較級~, the 比較級…… (~すればするほど……)
この3つの表現はとても重要な表現なので、必ず覚えましょう。
(all) the 比較級 because ~ (~なので、それだけいっそう……)
まずは、
I like him all the better because he has faults.
この例文を訳してみると、「彼には欠点があるので、それだけいっそう私は彼のことが好きだ。」といったような意味になります。
allはthe 比較級を強調しており、省略されることもあります。
また、becauseの部分はforになることもあります。ただ、becauseは接続詞なのでbecauseの後ろは文になるのに対し、forの場合は前置詞なのでforの後ろは名詞にならないといけないという点には注意しましょう。
ちなみに、「より好きである」といったようにlikeやloveに比較級をつけるときは、moreではなくbetterを使うということも知っておきましょう。
none the 比較級 for ~ (~だからといって、それだけいっそう……ということはない)
続いて、
His grade was none the worse for staying up late.
こちらの例文です。この文では、「none the 比較級 for ~」という表現が使われており、これは「~だからといって、それだけいっそう……ということはない」と訳す表現です。
よって、この文を訳してみると、「夜更かししたからといって、それだけいっそう彼の成績が悪くなったということはなかった。」といったような意味になります。
the 比較級の前にnoneがついているので、否定の意味になっています。この「none the 比較級 for」の表現は、「all the 比較級 for」の否定の表現である、ということになります。
the 比較級 ~, the 比較級 …… (~すればするほど……)
それでは、最後に
The higher you climb, the colder it becomes.
この例文を確認します。この文では、「the 比較級 ~, the 比較級 ……」の構文が使われています。「the 比較級 ~, the 比較級 ……」は「~すればするほど……」といった比例関係を表す表現です。
この文を訳してみると、「高く登れば登るほど、ますます寒くなる」といったような意味になります。
「the 比較級 ~, the 比較級 ……」の構文のポイントは、比較級が本来の位置から前に移動するということと、2つの文を接続詞は使わずに「,(コンマ)」でつなぐということです。本来英語は、2つの文を接続詞なしで、「,(コンマ)」だけでつなぐことはできません。しかし、この「the 比較級 ~, the 比較級 ……」の構文は特殊な構文なので、このようになっています。
いかがだったでしょうか。特に2者の比較の方は、なぜtheがつくのかの理由から理解するようにしましょう。
(3)解説授業の内容を復習しよう
(4)比較(英文法)の解説一覧
①not more than / not less than / no more than / no less thanの考え方(クジラ構文についても解説しています)
②比較級なのにtheをつけるときを解説します(2者の比較、all the 比較級 because/for、none the 比較級 for、the 比較級, the 比較級)
③最上級なのにtheをつけないときを解説します(同一人・物の比較)
☆その他の英文法の解説はこちら→英文法の解説動画・授業動画一覧
(5)参考
☆覚えるべきイディオム一覧(助動詞、受動態、不定詞、分詞、動名詞、関係詞、比較、否定、群前置詞、動詞、名詞、形容詞、副詞)
☆ここに受験英文法が全てまとめてあります→英文法のすべて(解説・授業・確認テスト一覧)