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序詞の3つのパターン(「あしひきの山鳥の尾のしだり尾の長々し夜をひとりかも寝む」「みかの原わきて流るるいづみ川いつみきとてか恋しかるらむ」「立ち別れいなばの山の峰に生ふるまつとしきかば今帰り来む」)【古文文法のすべて】

(1)解説授業動画

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(2)解説授業の原稿

序詞とは何か

序詞とは特定の語を導くために用いる、主題とは関係ない導入部分のことを言います。

七音以上で作られており、「~のように」や「~ではないが」といったように訳します。

よく序詞と混同されるのが枕詞です。枕詞は五音定型句つまり五音で決まった形のものしかなく、訳す必要もありません。例えば、「ひさかたの」といえば、「光」を導く枕詞なのですが「ひさかたの」を訳す必要はありません。

序詞が使われているかどうかを見抜くポイント

序詞は枕詞とは違い、決まった形はないので、まずそもそも序詞が使われているかどうかを見抜く必要があります。

序詞が使われているかどうかを見抜くポイントは、序詞は主題とは関係のない導入部分であるということです。つまり、和歌のなかで最も言いたい文脈とは関係のない文脈で和歌が始まっている場合は、その部分は序詞となっています。

序詞には、比喩・同音反復・掛詞の3パターンが存在します。

比喩を用いた序詞のパターン

まずは比喩のパターンです。例えば、

あしひきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む
(和歌の解釈:山鳥の垂れ下がった尾のように長い長い夜を、ひとり寂しく寝るのだろうか。)

といったような和歌があったとき、この和歌の「あしひきの山鳥の尾のしだり尾の」が、「ながながし」を導く序詞となっています。

この部分がなぜ序詞になるかというと、この和歌の主題は、「長い夜を一人で寝ることの寂しさや辛さ」を詠ったものだからです。その主題とは関係ない「山鳥のしっぽの垂れ下がったしっぽ」の部分は序詞となるのです。

また、比喩のパターンのときは、序詞の最後に比喩の格助詞「の」が使われているということも重要です。比喩の格助詞「の」は、「~のように」と訳し、ここまでの部分が序詞であるということを示しています。

つまりまとめると、この和歌は一人で寝る夜の長さを言いたいわけですが、いきなり言うのではなく、まず、「山鳥の垂れ下がったしっぽ」を導入に使うことで、長さをより強調しているということになります。

※ちなみに「あしひきの」は「山」を導く枕詞です。

同音反復を用いた序詞のパターン

それでは次に、同音反復のパターンを確認してみましょう。例えば、

みかの原 わきて流るる いづみ川 いつ見てきとてか 恋しかるらむ
(和歌の解釈:みかの原を湧き出て、みかの原を二つに分けて流れる泉川ではないが、いつ見たからといって、あの人のことをこんなに恋しく思っているのだろうか。)

といった和歌があったとします。この和歌では、「みかの原わきて流るるいづみ川」が「いつ見」を導く序詞となっています。

この和歌は「いつ見てきとてか」の部分を言いたいのですが、それをいきなり言うのではなく、「いつ見」と同じ音の「いづみ川」を導入に使って主題を詠っているということになります。

この和歌を訳してみると、「みかの原を湧き出でて流れているいづみ川ではないが、一体いつ会ったといってこんなに恋しいのだろうか。」といったような意味になります。

掛詞を用いた序詞のパターン

それでは最後に、掛詞を使った序詞のパターンを確認します。例えば、

立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰りこむ
(和歌の解釈:あなたと別れて因幡の国に行っても、稲羽の山の峰に生えている松ではないが、あなたが私を待っていると聞いたならば、私はすぐにでも帰って来ましょう。)

といった和歌があった場合、「いなばの山の 峰に生ふる」が「まつ」を導く序詞となっています。

ポイントとしては、「まつ」に植物の「松」と、人を待つの「待つ」が掛けられているということです。

「分れてもあなたが私を待つと聞いたならば、私は今すぐにでも帰ってきましょう」というのがこの和歌の主題で、植物の松に関する文脈は主題とは関係のない部分なので、この部分は序詞であるといえます。

この和歌を訳してみると、「別れても、因幡の山の峰に生えている松ではないが、あなたが私を待つと聞いたならば、私は今すぐにでも帰ってきましょう。」といったような意味になります。

和歌の解釈において序詞を見抜くことはとても重要です。ぜひ今回の考え方を身に付けておきましょう。

(3)解説授業の内容を復習しよう

和歌の修辞法(序詞・掛詞・縁語・隠し題)確認テスト

②百人一首を解釈することで文法力・和歌の知識・古文常識を鍛えよう→百人一首の解釈

(4)和歌(古文)の解説授業一覧

掛詞の3つのパターンを解説します!(「大江山いくのの道の遠ければまだふみも見ず天橋立」の解釈もします)

序詞の3つのパターン(「あしひきの山鳥の尾のしだり尾の長々し夜をひとりかも寝む」「みかの原わきて流るるいづみ川いつみきとてか恋しかるらむ」「立ち別れいなばの山の峰に生ふるまつとしきかば今帰り来む」)

隠し題の3つのパターン(①物名、②折句、③沓冠、「唐衣きつつなれにしつましあればはるばるきぬる旅をしぞ思ふ」「夜も涼し寝覚めの仮庵手枕も真袖も秋に隔てなき風」)

和歌の句切れを文法的に見つけよう! ポイントは文末表現を探すことです!

和歌の解釈の3つのポイント(「難波江の葦のかりねのひとよゆゑみをつくしてや恋ひわたるべき」の解釈)

(5)参考

和歌の修辞法一覧(句切れ・枕詞・序詞・掛詞・縁語・隠し題・本歌取り)

和歌(古文)の解説・テスト一覧

古文文法の解説動画・授業動画一覧(基礎知識、用言、係り結びの法則、助動詞、助詞、識別、敬語、和歌、主体の判別)

古文文法のすべて(基礎知識、用言、係り結びの法則、助動詞、助詞、識別、敬語、和歌、主体の判別)

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