和歌の修辞法(掛詞・序詞・縁語・隠し題)テスト(問題と答え)【古文文法のすべて】

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和歌の修辞法一覧(句切れ・枕詞・序詞・掛詞・縁語・隠し題・本歌取り)


(1)以下の和歌に含まれる掛詞を説明せよ。

①秋の野に人まつ虫のこゑすなり

→「まつ」は「待つ」と「松」の掛詞
※「秋の野に人を待つ」という文脈から「松虫の声がする」という文脈へ切り替わっている。

②人めも草もかれぬと思へば

→「かれ」は「離れ」と「枯れ」の掛詞
※「人目も離れる」と「草も枯れる」の2つの文脈を「かれ」が受けている。ちなみに「離る」は「かる」と読む。

③大江山いくのの道の遠ければまだふみも見ず天の橋立

→「いくの」が「生野」と「行く野」、「ふみ」が「踏み」と「文」の掛詞
※「(丹後までに)大江山を越え、生野(地名)を通るのは遠いので、まだ天の橋立を踏んだことがありません」と「(母のいる丹後へ)行く道は遠いので、まだ(母からの)手紙を見ていません」という2つの文脈を1つの和歌に込めており、掛詞がそれを示唆している。

☆解説授業はこちら→掛詞の3つのパターンを解説します!(「大江山いくのの道の遠ければまだふみも見ず天橋立」の解釈もします)

(2)以下の和歌の序詞を指摘し、何を導いているかを答えよ。

①あしひきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む

→「あしひきの山鳥の尾のしだり尾の」は「ながながし」を導く序詞
※比喩を用いた序詞。「しだり尾の」の「の」は比喩の「の」(~のように)
※ちなみに、「あしひきの」は「山」を導く枕詞。

②みかの原わきて流るるいづみ川いつみきとてか恋しかるらん

→「みかの原わきて流るるいづみ川」は「いつみ」を導く序詞
※「いづみ川」と「いつみ」が同音反復になっている。

③立ち別れいなばの山の峰に生ふるまつとし聞かば今帰りこむ

→「立ち別れいなばの山の峰に生ふる」は「まつ」を導く序詞
※「まつ」は「松」と「待つ」の掛詞。

☆解説授業はこちら→序詞の3つのパターン(「あしひきの山鳥の尾のしだり尾の長々し夜をひとりかも寝む」「みかの原わきて流るるいづみ川いつみきとてか恋しかるらむ」「立ち別れいなばの山の峰に生ふるまつとしきかば今帰り来む」)

(3)以下の和歌に用いられている縁語を2種類答えよ。

①難波江の葦のかりねのひとよゆゑみをつくしてや恋ひわたるべき

→「難波江」と「澪標(みおつくし)」と「わたる」は縁語、「葦」と「刈り根」と「一節(ひとよ)」は縁語
※「難波江の葦の」は「かりね」を導く序詞(掛詞を用いているパターン)
※「かりね」は「刈り根」と「仮寝」の掛詞、「ひとよ」は「一節」と「一夜」の掛詞、「みをつくし」は「澪標」と「身を尽くし」の掛詞となっている。
※「わたる」は本動詞としての「(船が)渡る」という意味と、補助動詞としての「~し続ける」という意味が掛けられていると考えられる(厳密な意味での掛詞ではない)。

☆解説授業はこちら→和歌の解釈の3つのポイント(「難波江の葦のかりねのひとよゆゑみをつくしてや恋ひわたるべき」の解釈)

(4)以下の和歌に隠されている隠し題を答えよ。

①山河は木の葉ながれず浅き瀬をせけば淵とぞ秋はなるらん

(やまかわは きのはながれず あさきせを せけばふちとぞ あきはなるらん)

→萩の花
※物名(そのまま言葉を隠す方法)は句にまたがって隠されている。

②から衣きつつなれにし妻しあればはるばるきぬる旅をしぞ思ふ

らころも つつなれにし ましあれば るばるきぬる びをしぞおもふ)

→かきつばた
※各句の頭をつなぐ(折句)。

③夜も涼し寝覚めの仮庵手枕も真袖も秋に隔てなき風

もすず ざめのかり まくら そでもあき だてなきか

→米給へ、銭も欲し
※各句の頭は左から右へ、各句の終わりは右から左へ(沓冠)。

☆解説授業はこちら→隠し題の3つのパターン(①物名、②折句、③沓冠、「唐衣きつつなれにしつましあればはるばるきぬる旅をしぞ思ふ」「夜も涼し寝覚めの仮庵手枕も真袖も秋に隔てなき風」)


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和歌の修辞法一覧(句切れ・枕詞・序詞・掛詞・縁語・隠し題・本歌取り)


【和歌の解説授業一覧】

掛詞の3つのパターンを解説します!(「大江山いくのの道の遠ければまだふみも見ず天橋立」の解釈もします)

序詞の3つのパターン(「あしひきの山鳥の尾のしだり尾の長々し夜をひとりかも寝む」「みかの原わきて流るるいづみ川いつみきとてか恋しかるらむ」「立ち別れいなばの山の峰に生ふるまつとしきかば今帰り来む」)

隠し題の3つのパターン(①物名、②折句、③沓冠、「唐衣きつつなれにしつましあればはるばるきぬる旅をしぞ思ふ」「夜も涼し寝覚めの仮庵手枕も真袖も秋に隔てなき風」)

和歌の句切れを文法的に見つけよう! ポイントは文末表現を探すことです!

和歌の解釈の3つのポイント(「難波江の葦のかりねのひとよゆゑみをつくしてや恋ひわたるべき」の解釈)


~参考~

和歌(古文)の解説・テスト一覧

古文文法の解説動画・授業動画一覧(基礎知識、用言、係り結びの法則、助動詞、助詞、識別、敬語、和歌、主体の判別)

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