(1)解説授業動画
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(2)解説授業の原稿
θ+2nπ、−θ、π±θ、π/2±θの三角関数
以下の三角関数の公式を単位円を使って証明してみます。
①
sin(θ+2nπ)=sinθ
cos(θ+2nπ)=cosθ
tan(θ+2nπ)=tanθ
②
sin(-θ)=-sinθ
cos(-θ)=cosθ
tan(-θ)=-tanθ
③
sin(θ+π)=-sinθ
cos(θ+π)=-cosθ
tan(θ+π)=tanθ
④
sin(θ-π)=sinθ
cos(θ-π)=-cosθ
tan(θ-π)=-tanθ
⑤
sin(π/2-θ)=cosθ
cos(π/2-θ)=sinθ
tan(π/2-θ)=1/tanθ
⑥
sin(π/2+θ)=cosθ
cos(π/2+θ)=-sinθ
tan(π/2+θ)=-1/tanθ
単位円の性質
まずはそもそも、なぜ単位円の円周上の点のx座標はcosθとなり、y座標はsinθとなるのかを確認します。
単位円とは半径が1の円のことなので、下図のように斜辺の長さが1の直角三角形ができます。
そして、底辺の長さをx、高さをyとすれば、底辺/斜辺つまりx/1がcosθとなるので、この点のx座標はcosθとなり、底辺/斜辺つまりy/1がsinθとなるので、この点のy座標がsinθとなります。
そして、高さ/底辺つまりy/xがtanθなので、tanθ=sinθ/cosθが成り立つわけです。
①θ+2nπの三角関数
それではまず、①のθ+2nπの公式を確認してみます。2nπとはつまり、2πをn回かけるということです。
2π[rad]は360°なので、θ+2πとはθからぐるっとまわって元の位置に戻るということになります。
そして、この2πを何回足しても元の位置に戻るので、sin(θ+2nπ)はsinθと同じであり、cos(θ+2nπ)もcosθと同じであり、 tan(θ+2nπ)もtanθと同じになります。
②−θの三角関数
次に②の-θの公式ですが、-θを単位円にかいてみると、下図の位置になります。
よって、この点のx座標はθのときと同じなのでcosθになり、この点のy座標は長さが同じで正負だけ違う-sinθとなります。ゆえに、sin(-θ)=-sinθとなり、cos(-θ)=cosθとなります。
そしてtan(-θ)は
tan(-θ)=sin(-θ)/cos(-θ)=-sinθ/cosθ=-tanθ
となります。
③π+θの三角関数
次に、③のθ+πの公式ですが、θにπを足したら、下図の位置となります。
この点の座標はθのときの座標とx座標とy座標がそれぞれ符号が逆となっています。そのため、sin(θ+π)=-sinθとなり、cos(θ+π)=-cosθとなり、tan(θ+π)は、
tan(θ+π)=sin(θ+π)/cos(θ+π)=-sinθ/-cosθ=tanθ
となります。
④π-θの三角関数
そして、④のθ-πの公式も単位円で確認してみます。
π-θは、π進んでθ戻った下図の位置がθ-πとなり、この点の座標は、x座標は-cosθで、θのときと高さは同じなのでy座標はsinθとなります。
よって、sin(π-θ)=sinθとなり、cos(π-θ)=-cosθとなり、tan(π-θ)は、
tan(π-θ)=sin(π-θ)/cos(π-θ)=sinθ/-cosθ=-tanθ
となります。
⑤π/2-θの三角関数
続いて、⑤のπ/2-θの公式も単位円を使って確認してみます。単位円の中でπ/2-θの位置は90°進んでθ戻るので、下図の位置となります。
それでは、この点のx座標とy座標を考えてみます。そのために、θの位置のx座標つまりcosθの長さを赤で塗り、y座標つまりsinθの長さを青で塗ります。
すると、θのときの直角三角形と、π/2-θの直角三角形は合同なので、縦の長さが赤となり、横の長さが青となります。よってこの点のx座標は青つまりsinθとなり、この点のy座標は赤つまりcosθとなります。
ゆえに、sin(π/2-θ)=cosθとなり、cos(π/2-θ)=sinθとなり、tan(π/2-θ)は、
tan(π/2-θ)=sin(π/2-θ)/cos(π/2-θ)=cosθ/sinθ=1/tanθ
となります。
⑥π/2+θの三角関数
同様にして、⑥のπ/2+θの方の公式も単位円で確認してみます。
π/2+θの位置は、π/2進んで、そのあとさらにθ進んだ位置となり、θのときの直角三角形と合同な直角三角形ができます。
よって、縦の長さが赤となり、横の長さが青となります。この点のx座標は負であることに注意すると、この点はx座標が-sinθとなり、y座標がcosθとなります。
したがって、sin(π/2+θ)=cosθとなり、cos(π/2+θ)=-sinθとなり、tan(π/2+θ)は、
tan(π/2+θ)=sin(π/2+θ)/cos(π/2+θ)=cosθ/sinθ=-1/tanθ
となります。
π/2-θの三角関数を直角三角形を使って考える
また、⑤のπ/2-θの方の公式は、直角三角形を使って説明することもできるので、そちらの考え方も補足しておきます。
例えば、以下のような直角三角形があったとき、1つの鋭角をθとすれば、もう1つの鋭角がπ/2-θとなり、辺の長さを以下のようにでa, b, cとおけば、
sinθ=c/a
cosθ=b/a
tanθ=c/b
となります。
そして以下のように直角三角形の向きを変えて
sinとcosとtanを考えてみると、
sin(π/2-θ)=b/a
cos(π/2-θ)=c/a
tan(π/2-θ)=b/c
となります。
よって、
sin(π/2-θ)=b/a=cosθとなり、
cos(π/2-θ)=c/a=sinθとなり、
tan(π/2-θ)=b/aであり、tanθの逆数なのでtan(π/2-θ)=1/tanθ
となります。
これらの公式はただ機械的に覚えようとするのではなく、今回ご紹介した証明方法を使って実際に導出しながら覚えるようにすると覚えやすくなり、忘れてしまっても自力で導くことができます。ぜひ今回ご紹介したやり方で自分で導いてみてください。
(3)解説授業の内容を復習しよう
(4)三角関数(数学Ⅱ)の解説一覧
②三角関数の性質は単位円で理解しましょう(θ+2nπ、−θ、π±θ、π/2±θ、単位円上の点の座標が(cosθ, sinθ)になる理由、tanθ=sinθ/cosθとなる理由についても解説しています)
③三角方程式・三角不等式の解法5ステップを解説します!(サイン、コサイン、タンジェントそれぞれで解説しています)