(1)「人間」とは何か
「人間とは何か?」と考えたことはありますか?
この問いの普遍的な答えは存在しないでしょう。この問いに対しては、過去多くの哲学者が取り組み、様々な答えを提示しています。ぜひ、それらの答えや思想を調べてみて欲しいのですが、今回は僕の考えを提示させてもらいます。
僕は、人間は「複雑なシステムを持ち、入力に対する結果が複雑(カオス)なものになる存在」と定義しています。
(2)人間は予想を超える結果を生み出す
まず、人間の対比として機械を考えてみましょう。
機械は与えられた命令(入力)に対しては、プログラムの通りの結果(出力)しか返ってきません。これは当たり前ですし、むしろそうなってもらわないと困ります。
しかし、人間はそう単純にはいきません。ある人に何か影響を与えたとして、その結果その人が取る行動は、いい意味でも悪い意味でも、予想の幅を超えることがあります。
「そこまでできるとは思わなかった」「そんなことをするなんて予想もしなかった」
人に対して、このように考えたことは、一度や二度ではないと思います。
こういった予想外の結果を生み出すから、人間社会が大きく進歩したり、逆に思いもしなかった大きな過ちを犯したりします。
僕は、これこそが人間の営みであると考えています。
もし、入力に対する出力が予想の幅を超えることがないのだとしたら、おそらく世界はひどく単調で、もっと言えば、生きるに値しないものになっていると思います。
☆創発(予想もしないような結果を生み出すこと)という概念についてはこちらも参考にしてください→「創発」が「なぜ勉強する必要があるのか?」の答えになります!(「創発とは何か?」についても解説しています)
(3)人間が予想を超える結果を生み出す理由
人間がこのような予想外の結果を生み出すことができるのは、複雑なシステムを内部に持っているからだと考えています。
「構造が複雑」というよりは、「要素が多い」のです。
人間は内部に独立して機能している要素(モジュールと言います)をたくさん持っています。それらのモジュールが、ある入力に対して、それぞれ機能し、それぞれの結果が組み合わさって、出力となります。
モジュールの数が増えれば増えるほど、その結果は複雑なものになり、予測不可能なものになっていきます。
これが、人間が予想外の結果を生み出す理由です。そして、これこそが人間が機械や単純な生物とは違う点だと考えています。
(4)機械の代替品となる人間
しかし、現代では、人間はその複雑さを捨て、単純な機械のように振る舞おうとする方向に動いているように感じます。
人間の機械化が進んでいるのではないでしょうか? 「機械化」だけでなく、人間が「機械の代替品(下位互換品)」にまでなりつつあるのではないでしょうか?
実際に、機械ができるような仕事に従事している人は多く、そういった仕事を機械ではなく人間が行っているのは、「機械を導入するコストがかかるから仕方なく人間にやってもらっている」となっているのではないでしょうか?(このことはまさに、人間が機械の「下位互換品」になりつつあることの証拠となります。)
このまま科学が発展していけば、「人間の機械化」や「人間の機械の下位互換化」がますます進んでいくでしょう。
(5)人間が人間であるために
では、人間が人間であるためにはどうすればよいか。
それは、(機械にはできない)予想の幅を超えた結果を生み出すことではないでしょうか。
そのためには、内部の複雑性を高めていかないといけません。
そして、その複雑性を高める、つまり、要素を増やしていく行為が「学習」ではないでしょうか。
しかも、より複雑であるためには、1つの分野だけを学ぶのではなく、様々な領域にまたがって学習をしたほうがよいと考えられます。しかも、これは「勉強」だけではなく、「感覚」や「経験」も含めた多様な学習が必要だと考えられます。
昨今、子どもへの教育を「役に立つ」ものだけにしようとする動きがあります。しかし、これは「人間の機械化」や「人間の機械の下位互換化」を促進する動きに思えます。なぜなら、人間の複雑性を下げ、より単純なものにしてしまう危険があるからです。
もちろん、金融や経済といった「役に立つ」知識や能力も要素の1つとして重要です。しかし、それだけではなく、多様な要素を取り込み、思いがけないアイデアや行動を生み出す「人間」こそ、社会に本当に必要なのではないでしょうか。
~参考~
☆【大学受験で成功するための100か条】大学受験で成功するためにやらなければいけないことを100個にまとめました!
☆解説動画・授業動画一覧(英語・数学・国語・理科・社会・小論文・勉強法)
なぜ勉強しなければいけないのか
②「創発」が「なぜ勉強する必要があるのか?」の答えになります!(「創発とは何か?」についても解説しています)
③塾長が考える人が学ばないといけない理由、「人間」とは何か? 「人間」であるために必要なことは?
④なぜ受験勉強をしなければいけないのか? 受験勉強の社会的な意義と個人的な思想を解説します!
⑤勉強をする理由は「幸せになるため」ではない。「あなたの幸せを思って言っている」「将来幸せになるために勉強しなさい」といった言葉は、子供の心に響きません。
⑥勉強をする理由は「いい会社に就職するため」ではない。「夢=職業選択」ではない!
大学受験で成功するためにやるべきこと一覧
(3)学習計画の王道