(1)解説授業動画
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(2)解説授業の原稿
今回はヘンリーの法則を理解しているかどうか確認できる問題を解いてみます。
一定量の水に気体が溶ける体積は、圧力を変えても変わらない
早速問題を確認してみます。
CO2は1.0×105Paで100gの水に93mL溶けます。同じ温度で圧力を3.0×105PaにするとCO2は何mL溶けるでしょうか。
実はこの問題、ヘンリーの法則を正しく理解していれば計算をしなくても解くことができます。この問題の答えは93mLとなります。
ヘンリーの法則から考えると、一定量の水に気体が溶ける体積は、圧力を変えたとしても変わることはありません。そのため答えは93mLとなるのです。
なぜ水に溶ける気体の体積は圧力を変えても変わらないのか
ではなぜ水に溶ける気体の体積は圧力を変えても変わることがないのでしょうか。
このことを理解するためにはヘンリーの法則と理想気体の状態方程式が何を意味しているかを理解していないといけません。
まず、ヘンリーの法則とは溶媒に溶ける気体の物質量は圧力に比例するという法則です。そのため今回のように圧力が3倍になった場合は、水に溶ける気体の物質量も3倍となっています。
また、理想気体の状態方程式とはpV=nRTのことです。Rは定数で、今回温度は変わっていないのでRTは一定です。
そして、ヘンリーの法則によりpとnには比例関係があります。今回で言えば、pが3倍となっているのでnも3倍となっています。つまり、状態方程式の左辺と右辺の両方ともが3倍されているということです。したがってVは変わらないということになるので、一定量の水に溶ける気体の体積は圧力を変えたとしても変わらないということになるのです。
もう一度今の話をまとめると、ヘンリーの法則により圧力と溶ける気体の物質量には比例関係があり、RTは一定なので、理想気体の状態方程式より溶ける気体の体積は変わらないということになります。
ポイントは溶ける気体の物質量は変化しているということです。圧力を3倍にすれば、それによって水に溶けている二酸化炭素の分子の数は3倍になっているけれど、圧力を3倍にしているので気体分子の数が増えても体積が変わらないということになるのです。
ヘンリーの法則で計算してみる
ついでにこの問題を計算で解いてみます。
なおここから先は教科書や参考書に書いていないとき方で問題を解いていくので、ヘンリーの法則の計算公式を使って問題を解く方法の解説動画をまだご覧になっていない方は、まずそちらをご覧になってください。
それでは解いていきます。
比例定数を求める
まずは比例定数を求めます。今回の比例定数は20℃で1Pa水1gに溶ける二酸化炭素の物質量となるので、それをhCO2とすると比例定数は以下のようになります。
まず、1.0×105×93×10-3/R・293の部分が問題文に書いてある1.0×105Pa水100gに溶ける二酸化炭素の物質量となります。今回は標準状態ではないので状態方程式からn=pV/RTの形にしたものを使っています。VはLなので93mLに10-3をかけます。
そして、それを1.0×105Paで割ることで1Paあたりとなり、100gで割ることで1gあたりとなります。これが比例定数です。1Pa水1gあたりに溶ける二酸化炭素の物質量です。
今回溶媒である水は体積ではなく質量となっていますが、その場合は比例定数を水1gあたりにしましょう。
ヘンリーの法則の計算公式を使って方程式を立てる
そして、求める体積をV[mL]としてヘンリーの法則の計算公式に代入して方程式を作ります。
左辺は溶けた二酸化炭素の物質量です。n=pV/RT使って、圧力は3.0×105Paで体積はV×10-3 Lとなります。
そして右辺はこの比例定数、つまり1Pa水1gに溶ける二酸化炭素の物質量に、今回の圧力である3.0×105Paをかけて、水の質量である100gをかけます。
これで方程式ができたのであとは計算していきます。今回は式を見てもらったら分かる通り、Vと93以外が全て消えていきます。
このようにVと93以外が全て消えていくので、答えはV=93mLとなります。このように計算でも解ける気体の体積が変わらないことが確認できました。
いかがだったでしょうか。この問題を解くことでヘンリーの法則がより深く理解できたと思います。ぜひ復習しておいてください。
(3)解説授業の内容を復習しよう
(4)ヘンリーの法則の解説一覧
①教科書には書かれていないヘンリーの法則の計算公式(そもそもヘンリーの法則とは何かについても解説しています)
②なぜ圧力を変えても水に溶ける気体の体積は変わらないのか(ヘンリーの法則をより深く理解しましょう)
(5)参考
☆化学の解説動画・授業動画一覧(化学基礎・理論化学・無機化学・有機化学・高分子化合物)
☆化学知識一覧(化学基礎・理論化学・無機化学・有機化学・高分子化合物)
☆化学知識テスト一覧(化学基礎・理論化学・無機化学・有機化学・高分子化合物)
☆化学の解説・授業・知識・演習問題一覧(化学基礎・理論化学・無機化学・有機化学・高分子化合物)
☆化学の語呂合わせ(化学基礎・理論化学・無機化学・有機化学・高分子化合物)
「化学計算の王道」シリーズは『思考訓練の場としての体系化学』(GHS予備校)を参考にしています。
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