気体の分子量を求める問題の解説(密度の扱い方、比重とは何かについても解説しています)【化学計算の王道】

(1)解説授業動画

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(2)解説授業の原稿

今回は気体の分子量を求める問題を解いてみます。

さっそく問題を解きながら解説をしていきます。なお今回扱う問題はすべて有効数字は2桁で答えます。

問題①:気体の密度から分子量を求める

まずは1問目です。標準状態における密度が2.68g/Lの気体の分子量を求めましょう。

方程式を立てる前の準備

このような分子量を求める問題は、求める分子量をMとおくところから始めます。

そして計算の方針を考えていくのですが、今回は標準状態の気体とあるので、標準状態の気体の体積である22.4L/molを使って、物質量で方程式を立てるという方針で解いていきます。

化学の計算は、とにかくまず物質量、つまりモルを求めることを考えるようにしましょう。

22.4L/molを使ってモルを求めるためには、リットルつまり体積が必要となります。そのため、自分で気体の体積を設定しましょう。今回はV[L]とおきました。このV[L]を1Lとおいても構いません。密度は、体積がどんな値であっても変わることはないので、1Lとおいても問題ないのです。多くの問題集の解説では、1Lとおいていると思います。

方程式を立てて解く

それでは必要なものがそろったので、物質量で方程式を立てていきます。

まずは、気体の体積を標準状態の気体の体積である22.4L/molで割ることで、気体のモルとします。そして右辺はMを使って気体のモルを表して行きます。

V/22.4=2.68×V/M

右辺の分子は、密度に体積をかけることで気体のグラムとしています。そして気体の質量をモル質量で割ることで、気体のモルとなります。なお、今回分子量がMなので、この気体のモル質量はMg/molとなります。

これで気体の物質量による方程式ができたので、あとはこれを解くことで、Mの値を求めていきます。

方程式の解き方としては、まず両辺をVで割り、求めたいものだけを左辺にし、それ以外を右辺に集めます。

M=2.68×22.4

あとは計算をして有効数字2桁になるように四捨五入したら、答えが60となります。分子量や原子量を答えるときは、単位をつけないように注意しましょう。

このように必要なものを文字でおき、方程式を立てるという方針で解くようにすれば迷うことなく式を作ることができるようになります。

また常に単位を意識しながら計算するようにし、そこまでで何が出ているのかをメモするようにしましょう。こういったことも理科の計算では重要なことです。

問題②:気体の比重から分子量を求める

それでは次はこのような問題を解いてみます。

同温・同圧の酸素に対する比重が、2.2の気体の分子量を求めてみましょう。ただし酸素の分子量は32とします。

比重とは何か

まず比重という言葉に馴染みのない方が多いと思うので、そもそも比重とは何かについて説明します。

比重とは、同体積における質量の比のことです。つまり酸素とこの気体は、同じ体積であれば質量の比が1:2.2であるということを表しています。

そして、それは結局、密度の比のことなので、計算問題で比重が出てきたときは、密度に置き換えると計算がやりやすくなります。

方程式を立てる前の準備

それではこの問題を解いていきます。先程と同様に、まず求める分子量をMとおきます。

そして今回比重が与えられているので、酸素の密度をd[g/L]と設定します。こうすることによって、この気体の密度が2.2d[g/L]と表すことができます。

方程式を立てて解く

これで密度がわかった状態なので、先程の問題のように、酸素の気体の体積をV[L]、あるいは1Lとして方程式を作っていきます。

ただし今回は標準状態ではないので、22.4L/molが使えません。しかし同温・同圧であれば、気体の体積比は物質量の比となるので、この関係を使って方程式を立てる事ができます。

左辺は酸素の体積:気体の体積となり、右辺は酸素の物質量:気体の物質量となります。右辺の分子は先程と同様に、密度に体積をかけることで質量となり、モル質量で割ることで物質量となります。

あとはこの方程式を約分して整理すると、このようにM=2.2×32となり、計算して有効数字2桁になるように四捨五入すると、答えは70となります。

このように比重が与えられている場合は、密度の比として処理すると計算がしやすくなります。

いかがだったでしょうか。今回解いた問題はどちらも密度が出てきましたが、密度は結局、体積をかけて質量としてしまえば良いので恐れる必要はありません。また、もし問題で体積が与えられていないのであれば、自分でおいてしまいましょう。

(3)解説授業の内容を復習しよう

物質量(mol)を使った計算

(4)物質量(mol)を使った計算

物質量(mol)を使った計算(理科の計算の原則と、計算の工夫の仕方についても解説しています)

物質量を正しく理解していないと解けない問題

気体の分子量を求める問題の解説(比重とは何かについても解説しています)

(5)参考

物質量と濃度(化学基礎)の解説・授業・知識・演習問題一覧

化学計算の王道(化学基礎)

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