等速円運動の速度と加速度をベクトルと微分を使って導きましょう!(合成関数の微分(数学Ⅲ)を使っています)

(1)解説授業動画

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(2)解説授業の原稿

等速円運動の速度と加速度を微分で求めてみます。

変位と速度と時間の関係

物理において、変位を時間で微分したら速度となり、速度を時間で微分したら加速度となります。

また逆に、加速度を時間で積分したら速度となり、速度を時間で積分したら変位となります。

この関係を使って等速円運動の速度と加速度を求めてみましょう。

ω(角速度)とは何か

微分を使って速度を求める前にまず、ωについて確認します。

ωは角速度のことです。単位は[rad/s]となります。つまり、単位時間当たりの角度の変化を表すのが角速度となります。

例えば、下図のように1秒間等速円運動をした場合、角度がω[rad]となります。

そのためt秒間等速円運動した場合は、角度はωt[rad]となります。

ちなみに、半径がrの等速円運動の周期をTとした場合、1周にかかる時間が周期なので
ω・T=2π[rad]
となり、周期は
T=2π/ω
となります。

等速円運動の速度を微分で求める

それではωが確認できたところで、等速円運動の速度を微分で求めてみます。直線上の運動ではなく、円運動なのでベクトルを使って考えます。

半径rの等速円運動をしている物体の時刻tでの座標を考えてみると、(x, y)=(rcosωt, rsinωt)となります。そしてこの時刻tでの座標を、tで微分することで速度を求めることができます。

この微分を計算するときに注意しないといけないのは、cosωtとsinωtは合成関数になっているということです。そのため、cosωtを合成関数の微分を使って微分すると、「全体の微分×中身の微分」となります。また、sinωtも合成関数の微分を使って微分してみると、「全体の微分×中身の微分」となります。ちなみに半径rは時間に関係ないのでそのまま書きます。

あとは整理すると等速円運動の速度をベクトルで表すことができます。

vベクトル=(d/dt・rcosωt, d/dt・rsinωt)
=(r・(-sinωt)・ω, r・(cosωt)・ω)
=(-rωsinωt, rωcosωt)

速さを求める

さらに、この速度のベクトルの大きさ(速さ)を求めてみると、

│vベクトル│=√(-rωsinωt)2+(rωcosωt)2
=√r2ω2
=rω

このようになり、rωとなります。

このようにすれば等速円運動の速さを微分を使って求めることができます。

速度の向きを求める

また、時刻tでの位置をpベクトルという位置ベクトルで表し、このpベクトルと先ほど求めたvベクトルの内積を計算してみると0となります。

pベクトル・vベクトル
=( r・cosωt)(-rωsinωt)+(rsinωt)(rωcosωt)=0

内積が0であるということは、なす角が90°であり、vベクトルつまり速度の向きはpベクトルと90°をなす向きということなので、速度の向きは円の接線方向となります。

このように微分とベクトルを使えば等速円運動の速度の大きさと向きを計算で求めることができます。

等速円運動の加速度を微分を使って求める

また、加速度も微分を使って求めてみます。先ほど求めた速度のベクトルがこちらです。

vベクトル=(-rωsinωt, rωcosωt)

この速度ベクトルのx成分とy成分をそれぞれtで微分してみます。

sinωtとcosωtは合成関数であることに注意し、半径rと角速度ωは時間に関係がないので

aベクトル=(t/dt(-rωsinωt), t/dt・rωcosωt)
=(-rω・(cosωt)・ω, rω・(-sinωt)・ω)
=(-rωcosω2t, -rω2sinωt)

加速度の大きさを求める

また、加速度の大きさを求めてみると、

|aベクトル|=√(-rωcosω2t)2+(-rω2sinωt)2=rω2

このようになります。

加速度の向きを求める

また、この加速度のベクトルの成分と時間tにおける位置ベクトルであるpベクトルの成分を比較してみると、aベクトルはpベクトルの-ω2倍となっていることがわかります。つまり、aベクトルの向きはpベクトルの逆向き、つまり円の中心方向であるということがわかります。

このように等速円運動の加速度の大きさと向きは微分とベクトルを使うことで求めることができます。

いかがだったでしょうか。この変位と速度と加速度の微分と積分の関係は他の運動でも使える考え方です。ぜひ試してみてください。

(3)解説授業の内容を復習しよう

円錐容器内の運動問題演習

(4)等速円運動の解説一覧

円運動(力学)公式

等速円運動の2つの解法(向心力と遠心力についても解説しています)

等速円運動の速度と加速度をベクトルと微分を使って導く(合成関数の微分を使っています)

(5)参考

円運動(力学)の解説・授業・公式・演習問題一覧

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