漢文文法における関係詞

漢文において、英語の関係詞に相当する漢字は以下の3つである。

①「者」

②「之」

③「所」

※それぞれ名詞節(句)をつくる働きをする。

※ただし、英語の関係詞と違い、節の先頭に持って来る必要はない。

【例】

楚人有鬻楯与矛者(楚人に楯と矛とを鬻ぐ者有り)

→「楚人」は副詞句、「有」は動詞、「鬻楯与矛者」が名詞節で主語

→「有」は英語で言うところのthere is構文を作ると知っていれば、「鬻楯与矛者」が主語であると予想でき、よって名詞節になっていると考えることができる。

※参考:「有」「無」の語法

→「者」が「鬻楯与矛者」を名詞節にする関係詞の働きをしている。

【例】

吾楯之堅莫能陥也(吾が楯の堅きこと、能く陥す莫きなり)

→「吾楯之堅」が副詞、「莫」は動詞、「能陥」は名詞節で主語、「也」は「!」を表す。

→「吾楯之堅」自体は名詞節であり、「~において」に相当する前置詞が省略されて副詞句となっている。

→「之」には前後を束ねて、名詞句や名詞節となる用法がある。

【例】

S為S’所V’:「Sは、S’がV’するところとなる」と訓読する。

→「所」は関係詞として働いている。つまり「S’所V’」を名詞節としている。

→「S’がV’する対象となるのはSである」が直訳で、Sが被害者、S’が加害者となる。

→よって「Sは、S’によってV’される」と訳す。