方程式の解から係数決定(虚数解の共役の関係を利用)

(1)例題

3次方程式x3+ax2+bx+10=0の1つの解がx=2+iであるとき、実数の定数a, bの値と、他の解を求めよ。

(山梨学院大学)

(2)例題の答案

字数係数の3次方程式が虚数解x=2+iをもつから、それと共役な複素数2-iもこの方程式の解となる。

よって、x3+ax2+bx+10 は
{x-(2+i)}{x-(2-i)} つまり x2-4x+5 で割り切れる。

x3+ax2+bx+10を、x2-4x+5で割ると、
商がx+(a+4)
余りが(4a+b+11)x-5a-10
となり、余りは0になるので、
4a+b+11=0 かつ -5a-10=0
これを解くと、
a=-2, b=-3

したがって、x3-2x2-3x+10を、x2-4x+5で割ると
商がx+2となるので、
x3-2x2-3x+10=0
⇔ (x2-4x+5)(x+2)=0
ゆえに、他の解は、x=2-i, -2

(3)解法のポイント

方程式の解が与えられている場合、その解を方程式に代入するという方法が思い浮かぶと思います。

今回も、その方法で解けますが、虚数が含まれていると計算が面倒になります。

そこで虚数解が与えられたときの計算が簡単になる解法をお伝えします。

①まず、a+biが解になっているとき、a-biも解になっています。このa+biとa-biは共役の関係と言います。

ある方程式の解が虚数となるとき、共役の関係となっている2つの虚数解をもつことになります。

②つまり、この方程式はx=a+bi、x=a-biを解に持っているので、因数定理より、この方程式の左辺のP(x)は{x-(a+bi)}{x-(a-bi)}を因数に持つことが分かります。

③よって、P(x)を{x-(a+bi)}{x-(a-bi)}で割ると、必ず割り切れます。つまり余りが0になるので、余り=0のxについての恒等式を考えると、係数が求まります。

④また、P(x)を{x-(a+bi)}{x-(a-bi)}で割ったときの商をQ(x)とすると、

P(x)={x-(a+bi)}{x-(a-bi)}Q(x)となり、P(x)を因数分解することができるので、残りの解も求めることができます。

(4)必要な知識

②剰余の定理

→整式P(x)を1次式x-aで割ったときの余りはP(a)

③因数定理

→1次式x-aが整式P(x)の因数である⇔P(a)=0

(5)理解すべきこと