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受動態で注意すべきこと(受動態のルール、第4文型(SVOO)の受動態、受動態の進行形、疑問詞を含む受動態、群動詞の受動態、by以下の省略)【英文法のすべて】

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(2)解説授業の原稿

今回は受動態について解説します。

受動態のルール

まずは受動態のルールを確認します。

SVOのように通常の5文型の語順で並んでいる文のことを能動態と言います。

そして、能動態の文のO(目的語)を主語の位置に移動させ、動詞をbe動詞+過去分詞の形に変えて、主語をby以下に移動させ、それ以外はそのまま書いた文のことを受動態と言います。

能動態:S V O~. → 受動態:O beV+p.p. ~ by S.

このように受動態とは能動態の文の目的語を主語の位置に移動させる文法のことです。

そのため、受動態にするには目的語が必要なので、受動態にできるのは第3文型(SVO)か、第4文型(SVOO)か、第5文型(SVOC)の文ということになります。

能動態の文を受動態に変える

例文で確認してみましょう。

能動態:I eat this apple. → 受動態:This apple is eaten by me.

このような能動態の文を受動態に変えてみます。

まずは能動態の文の目的語を確認して、その目的語を主語の位置に持っていきます。

そして、動詞をbe動詞+過去分詞とします。今回は現在形で、受動態にしたときの主語がthis appleなのでisとします。このbe動詞は受動態にしたときの主語に合わせるということに注意しましょう。

そして、能動態の主語はby以下に持っていきます。このとき、byは前置詞なので、byの後ろは目的格にしないといけない、ということに注意しましょう。つまり、by Iではなく、by meとします。

このようにすれば能動態の文を受動態に変えることができます。

能動態の文の意味

能動態の文は「私はこのリンゴを食べる。」という意味で、受動態の文は「このリンゴは私によって食べられる。」と訳します。

このように受動態の文は「~される」と訳します。

なぜ受動態にする必要があるのか

しかしここで、この2つの文は結局同じ現象を表しているのに、なぜ2通りの言い方があるのか、といった疑問を持った方はいないでしょうか。つまり結局、どちらの文も「私がこのリンゴを食べる」ということを言っているので、わざわざ受動態にする必要はないのではないか、といった疑問が浮かんでくると思います。

そもそもなぜ受動態という文法があるのかというと、英語には

「旧情報はなるべく前に持っていき、新情報はなるべく後ろにする」

というルールがあるからです。

「旧情報」とは相手がすでに知っている情報のことで、「新情報」とは相手がまだ知らない情報のことです。

例えば、“I eat this apple.”の文であれば、相手にとって「I」というのは旧情報で「this apple」というのが新情報になります。つまり、この文を読んだり聞いたりする人にとっては「私が何かを食べる」ということはすでに分かっていることだけど、「食べるのは、このリンゴである」ということが新情報であり、重要な情報である、ということになります。

それに対してThis apple is eaten by me.の文では、この文の読み手や聞き手は、「このリンゴが誰かに食べられる」ことは分かっているけど、「私によって食べられる」ということが新情報であり、重要な情報である、ということになります。

この「旧情報は前、新情報は後ろ」というルールは受動態以外の英文法でも適用されるルールなので、必ず覚えておきましょう。

過去形の受動態

ついでに現在形以外の時制のときの受動態も確認します。

能動態:I ate this apple. → 受動態:This apple was eaten by me.

例えば、能動態が過去形の場合は、受動態はbe動詞をwasかwereにします。今回は主語がthis appleなので、wasとします。

完了形の受動態

能動態:I have eaten this apple. → 受動態:This apple has been eaten by me.

また能動態が完了形(have+過去分詞)のときは、受動態はhaveまたはhas been p.p.とします。今回は受動態にしたときの主語が、this appleなのでhasとします。

能動態ではhaveでも、受動態ではhasになることがあるので注意しましょう。

未来時制の受動態

能動態:I will eat this apple. → 受動態:This apple will be eaten by me.

さらに能動態が未来時制の場合は、受動態はwill be p.p.とします。

助動詞が使われているときの受動態

能動態:I must not eat this apple. → 受動態:This apple must not be eaten by me.

同様に、能動態で助動詞が使われているときは、受動態では、助動詞+be+p.p.とします。否定文でも同様です。

以上が受動態の基本的なルールです。

第4文型(SVOO)の受動態

それでは受動態の注意点を確認していきます。

まずは、以下のような例文があったとします。

He gave her the doll.

この例文は、第4文型(SVOO)となっています。

第4文型の受動態は、文法上、3つの受動態が考えられます。

パターン①:O₁を主語にしたパターン

まずは、O₁を主語にしたパターンです。

①She was given the doll by him.

O₁を主語の位置に持ってきて、動詞はbe動詞+p.p.となり、それ以外の部分はそのまま書き、主語はby以下に移動しています。

パターン②:O₂を主語にしたパターン

また、O₂を主語にしたパターンは、次の2つのパターンです。

②The doll was given her by him.

こちらはO₂を主語にし、動詞はbe動詞+p.p.となり、O₁をそのまま書いて、主語をby以下に持っていきます。

パターン③:O₂を主語にしたパターン(第3文型の受動態)

それに対して、       

③The doll was given to her by him.

のパターンは、O₁のherに対して、toをつけています。

これはどういうことかというと、まず、もともとの第4文型の文をtoを使って第3文型に書きなおします。

He gave the doll to her.

そして、toを使ったこの第3文型の文を受動態に変えています。目的語を主語に、動詞はbe動詞+p.p.、そしてto herの部分はそのまま書き、主語をby以下に持っていっています。

使うのはパターン①か③

このように、第4文型の文の受動態は3パターンが考えられるのですが、基本的に使うのは

①She was given the doll by him.

③The doll was given to her by him.

この2つになります。

②The doll was given her by him.も文法上間違いではないのですが、O₂を主語に持っていく場合は、O₁にtoをつけることが多いです。

進行形の受動態

進行形を受動態にする場合は、

be動詞 + being + p.p.

としましょう。例えば、

This bridge is being built. (この橋は造られている途中だ。)

このように進行形で受動態の場合は、be動詞+being+p.p.としましょう。

疑問文が主語になっている場合の受動態

続いて、疑問詞が主語になっている文を受動態にするときの注意点です。

疑問詞が主語になっている場合、受動態は2パターンあります。

Who wrote this letter?

→①Who was this letter written by?
→②By whom was this letter written?

①のパターンは、whoを文頭に持ってきて、byを文末に残しています。
②のパターンは、By whomをかためて文頭に持ってきています。

文法上はどちらでも正しいのですが、基本的には①のパターンを使うことが多いです。

疑問詞を含む文を受動態にする方法

また、Whoなどの疑問詞を含む文を直接受動態にするのが難しい場合は、まず、疑問詞のルールを無視して、とりあえず受動態のルールを適用してみます。

つまり、元の文(Who wrote this letter?)はSVOなので、Oを文頭に持ってきて、動詞をbe動詞+p.p.にし、主語は、by以下に持ってきます。

→This letter was written by whom.

そして、その後、疑問詞のルールを適用して、疑問詞を文頭に持ってきて、その後ろは疑問文の語順に並べます。

→①Who was this letter written by?
→②By whom was this letter written?

このように、受動態にするのが難しい場合は、まず受動態のルールだけを適用した文を書いてから、疑問詞のルールを適用するようにすると、確実に受動態の文ができます。

群動詞の受動態

群動詞の受動態について確認します。群動詞とは、take care ofなどのように、かたまりで1つの動詞のようになっているもののことです。

このような群動詞を含む文を受動態にするときは、群動詞は1つの動詞として考えて受動態にするため、動詞はかたまりのままbe動詞の後ろに書きます。

能動態:She took care of my children. → 受動態:My children were taken care of by her.

その際、群動詞の後ろに行為者を示すbyが来て、of byのように前置詞の後ろに前置詞が来ることがあります。しかし、今回はかたまりで1つの動詞ととらえているので、この部分で前置詞+前置詞になっても問題はありません。

by以下が省略されることがある

最後に、行為者を示すby以下が省略されることがあるということも知っておきましょう。

行為者が一般的な人やその場にいる人、あるいは、行為者が明らかなときや、逆に、行為者が不明のときはby以下が省略されます。

行為者が一般的な人

能動態:We make milk into cheese. → 受動態:Milk is made into cheese.

例えば、このような例文があったとします。能動態の文は「私たちはミルクをチーズに加工する。」といったような意味です。ミルクをチーズに加工するのは一般的な話なので、一般的な行為者を示すweを、受動態にしたときにby us として書くことは基本的にありません。

ちなみに、受動態の文の意味は「ミルクはチーズに加工される。」といったような意味になります。

行為者がその場にいる人

受動態:The book is sold at that store. → 能動態:They sell the book at that store.

また、この受動態の文は「その本はあの店で売られている。」 といったような意味ですが、by以下が書かれていません。なぜなら、その本を売っているのは「あの店にいる店員さん」なのは明らかなので、あえて書く必要がないからです。

ただし、このようにby以下が省略されている受動態の文を能動態にするときには、theyやweなど、その場にいる人や一般的な行為者を表す代名詞を補う必要があります。今回のtheyは「あの店で本を売っている店員さん」を表す代名詞となります。

文末にby以下を書くことの意味

ちなみに最初にもお伝えした通り、文末にby以下を書くと、それが相手にとっての新情報であることを表すことになります。

そのように伝えたくないときは、by以下を省略します。そのため、実際の英文で受動態の文が使われるときは、by以下は省略されていることが多いです。

いかがだったでしょうか。今回の解説で受動態に関する文法事項は一通りまとめることができたと思います。ぜひ復習しておいてください。

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受動態確認テスト

(4)受動態(英文法)の解説一覧

受動態で注意すべきこと(受動態のルール、第4文型(SVOO)の受動態、進行形の受動態、疑問詞を含む受動態、群動詞の受動態、by以下の省略)

受動態のイディオム

受動態のイディオムの例文一覧

☆その他の英文法の解説はこちら→英文法の解説動画・授業動画一覧

(5)参考

受動態(英文法)の解説・授業・確認テスト一覧

英文法の解説動画・授業動画一覧

英文法確認テスト一覧

覚えるべきイディオム一覧(助動詞、受動態、不定詞、分詞、動名詞、関係詞、比較、否定、群前置詞、動詞、名詞、形容詞、副詞)

☆ここに受験英文法が全てまとめてあります→英文法のすべて(解説・授業・確認テスト一覧)

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