仮定法過去と仮定法過去完了は原理から理解しましょう!(仮定法過去で過去形を使う理由、仮定法過去完了で過去完了形を使う理由、助動詞の過去形を使う理由)【英文法のすべて】

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今回は仮定法過去と仮定法過去完了を解説します。

仮定法過去と仮定法過去完了の形

まずはそれぞれの形を確認します。if節のことを条件節、そうではない節のことを帰結節と言います。

仮定法過去は、条件節が「if+主語+過去形」となり、帰結節が「主語+助動詞の過去形+動詞の原形」となります。

これに対して仮定法過去完了は、条件節が「if+主語+過去完了(had+過去分詞)」となり、帰結節が「主語+助動詞の過去形+have+過去分詞」となります。

ちなみに、助動詞の過去形の部分ではwouldやcouldやmightがよく使われます。

また、仮定法過去の条件節では、主語がIやheなどのときのbe動詞は、wasではなくwereを使うのが正式な文法です。ただ、会話など、くだけた場面ではwereではなくwasを使うこともあります。

つまり、条件節で過去形を使っていれば仮定法過去であり、条件節で過去完了形を使っていれば仮定法過去完了となります。

仮定法過去と仮定法過去完了の意味

次に、意味を確認します。

これが仮定法で最も重要なポイントになのですが、仮定法過去は「現在のことの仮定」で、仮定法過去完了は「過去のことの仮定」となります。

文法的な名称では「仮定法『過去』」となっていますが、現在のことを表しており、「仮定法『過去完了』」ですが、過去のことを表している、というように名前と表している時がズレていることに注意しましょう。

そのため、仮定法過去を訳すときは「もし~ならば、……なのに」と訳し、仮定法過去完了は「もし~だったら、……だったのに」と訳すようにしましょう。

仮定法過去の訳し方

実際に以下の例文を訳してみます。

If I were you, I would not do that.

まずはこちらの仮定法過去の例文を訳してみると、「もし私があなたならば、私はそのようなことはしないだろう。」といったような訳になります。

ポイントは、過去形であっても「私があなただったならば」と訳したり、「そのようなことはしなかっただろう」と訳してはいけない、ということです。

仮定法過去はあくまでも現在の仮定なので、過去の話はしていません。『今、私があなたならば、今、そのようなことはしないだろう』といったように、今現在の話をしているということが分かるように訳しましょう。

仮定法過去完了の訳し方

続いて、仮定法過去完了の例文を訳してみます。

If I had had enough money, I could have bought it.

「もし私が十分なお金を持っていたら、私はそれを買えたのに。」といったような訳になります。

仮定法過去完了は過去の仮定で、「そのとき、十分なお金を持っていたら、そのとき、それが買えたのに」ということを表しているので、過去の話だと分かるように和訳しましょう。

なぜ条件節の時制がズレているのか

ではなぜ、表している時と、条件節で使われている時制が、ズレているのでしょうか。

それは、あえて時制を1つズラすことで、現実とは異なる世界の話をしている、ということを相手に伝えるためです。

例えば、If I were you, I would not do that.の例文では、現実の世界では「私はあなた」ではありません。しかし、仮定法過去を使うことで、「私があなたである」という現実とは異なる世界の話、つまり仮定の話であるということを相手に伝えることができます。

さらに、If I had had enough money, I could have bought it.の例文で言えば、「そのとき私は十分なお金を持っていなかった」というのが現実です。しかし、仮定法過去完了を使うことで、「十分なお金を持っていた」という現実とは異なる世界、つまり、仮定の世界の話をしている、ということを相手に伝えることができます。

仮定法過去で、be動詞がwasではなくwereになるのが正式な文法であるのも、あえて文法間違いをすることで、現実感をなくしているのです。

このように仮定法では現実とは異なることを表しており、現実は仮定の反対であるといことは重要なので理解しておきましょう。

帰結節の形の理由

そして、帰結節の形ですが、これは実は時制のズレは起きておらず、文法間違いもしていません。

仮定法過去では現在のことを表しているのに過去形を使ってよいのか、と考える人がいるかもしれませんが、これは問題ありません。

弱い推量の意味を表す助動詞

なぜなら、仮定法で使われる助動詞のwould, could, mightは「~だろう」と訳す推量の意味の助動詞だからです。

推量の意味の助動詞の特徴として、過去形にしたときに「弱い推量」となるのです。注意したいのは、推量の意味の助動詞を過去形にしても、「~だっただろう」といったような「過去の推量」にはならない、ということです。

そのため、would, could, mightのように推量の意味の助動詞の過去形だけを使えば、「現在の弱い推量の助動詞」となるので、現在のことを表す仮定法過去で使うことができるのです。

では、「~だっただろう」といったような過去の推量を表すときはどうすればよいかと言うと、助動詞の後ろをhave+過去分詞にします。would have p.p., could have p.p., might have p.p.のようにすることで、『過去の弱い推量』を表すことができます。

そのため、過去のことを表している仮定法過去完了で、助動詞の過去形+have+過去分詞が使われているのです。

仮定法で強い推量の助動詞は使えない

また、推量の意味を表す助動詞を過去形にして「弱い推量」にしているのは、仮定法が現実とは異なる世界の話をしているからです。

現実ではないことを話しているので、強い確信を表す表現を使うことができません。そのためmust, will, can, mayといった助動詞の現在形を仮定法過去や仮定法過去完了で使うことはありません。

以上が仮定法過去と仮定法過去完了の構造と意味の原理です。仮定法はただ、形と訳し方を覚えようとするのではなく、このように原理を考えながら使うようにすると、理解がより深まります。

(3)解説授業の内容を復習しよう

仮定法過去と仮定法過去完了

(4)仮定法(英文法)の解説一覧

仮定法過去と仮定法過去完了は原理から理解しましょう!(仮定法過去で過去形を使う理由、仮定法過去完了で過去完了形を使う理由、助動詞の過去形を使う理由)

混合型の仮定法の解説(「仮定法過去完了→仮定法過去」、「仮定法過去→仮定法過去完了」)

as if節の時制に注意しよう(仮定法過去と仮定法過去完了のどちらを使うべきか)

2つの仮定法未来(if S were to / if S should、if S shouldの訳し方、if S shouldの帰結節の特殊な点)

潜在仮定法(if節のない仮定法)の見抜き方のポイントは、弱い推量の助動詞のwould, could, mightがあるかどうかです。

仮定法現在とは何かの解説(that節の中でshould+動詞の原形または動詞の原形を使うとき、要求・命令・主張・提案の動詞の後のthat節、要求や願望の形容詞の後のthat節)

☆その他の英文法の解説はこちら→英文法の解説動画・授業動画一覧

(5)参考

仮定法(英文法)の解説・授業・確認テスト一覧

英文法の解説動画・授業動画一覧

英文法確認テスト一覧

覚えるべきイディオム一覧(助動詞、受動態、不定詞、分詞、動名詞、関係詞、比較、否定、群前置詞、動詞、名詞、形容詞、副詞)

☆ここに受験英文法が全てまとめてあります→英文法のすべて(解説・授業・確認テスト一覧)

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