フランス革命再考

フランス革命について、その意義をもう一度考えてみます。

バスティーユ牢獄襲撃から始まり、ルイ16世とマリーアントワネットの処刑を経て、第一共和制へと移行、ナポレオンによる第一帝政とその敗北、ウイーン会議とブルボン朝の復活、そして七月革命と二月革命を経て第二共和制からの第二帝政

このように、この時期のフランスは盛りだくさんな内容ではありますが、今日はそれを細かくまとめたりはしません。

フランス革命がもたらした歴史的な意義について考えてみます。

まず、学校で習うフランス革命の意義です。

①市民革命により、王政から民主主義へ、そして古典的な自由主義が確立された。

②ブルジョワが主役となり、封建制的な生産関係が打破され資本主義が準備された。

この2点を学校では習うと思います。

そして、この2点は革命家たちも掲げていた主張ではあるのですが、これらには問題点もあります。

①確かに王制は打倒され共和制となる。しかし、共和制は10年ほどしか続かなかった。その後、帝政となり、王政に戻る。しかも、その共和制も恐怖政治。

さらに、「市民」になれるのものは限られていた。女性、有色人種、サンキュロットはなれなかった。

②革命にブルジョワジーは、ほとんど登場しない。革命のリーダーは、貴族や知識人(かなりの金持ちで高等教育を受けていた)・専門家(啓蒙エリート)。

封建制(アンシャンレジーム)は革命以前から崩壊していた。資本主義化も革命前から始まっていた。むしろ、革命による混乱は資本主義化にとって邪魔。

 

このような反論があるのです。

では、フランス革命は無駄だったのでしょうか?(実際、革命や独裁体制なしで近代化できた国もあるため、市民革命不要論はあります。)

フランス革命で何が変化したのか?

①政治文化の変化が起こった

政治文化とは、政治のありかたのことで、政府の正統性の根拠づけの行い方が変化したのです。

つまり、王権神授説から国民主権への変化が起こったのです。神に国民と言う概念を対抗させ、価値体系を根本的にひっくり返そうとしたのです。

②「国民」の定義

神に対抗させるため「国民」という概念を抽象的に定義しました。そうすることにより、誰でも「フランス国民」となりえるのです。(フランス語を話すからフランス人? フランスで生まれたからフランス人? 税金を払っているからフランス人? そのどれも正確な定義ではない!)

シェイエスの「第三身分とは何か」に「全ての源泉は国民にあるというが、誰が国民かわからない」とあるように、「国民」の定義があいまいのまま、国民主権の考えが広がっていくことになるのです。

そして、これが、その後の歴史を大きく動かすのは少し教科書を開けば分かることでしょう。