「音に聞く 高師の浜の あだ波は かけじや袖の ぬれもこそすれ」の解説

①枕詞・序詞・掛詞

・「たかし」は「高師」と「高し」の掛詞

・「かけ」は濡らすという意味の「かける」と心に「かける」を掛けている。

②助動詞と助詞の文法的説明

・「は」は係助詞

・「じ」は打消意思の助動詞の終止形

・「や」は詠嘆の間投助詞(訳さない)

・「もこそ」:「も」は係助詞、「こそ」は係助詞(已然形結び)で、「もこそ」と重ねると「~すると困る」という意味になる。

③句切れ

・句切れなし

④現代語訳

評判に聞く高師の浜のいたずらに立つ波はかけないようにしよう、袖が濡れてしまうと困るから。浮気者で名高いあなたのことも心にかけないようにしよう、涙でわたしの袖が濡れると困るので。

⑤その他解説

・「高師の浜」:現在の堺市浜寺から高石市あたりまでの浜辺を指す。

・「浜」は「波」や「ぬれ」の縁語

・「あだなり」は「いたずらに」と言う意味と、「浮気な」という意味の2つが掛けられている。