「有馬山 猪名の笹原 風吹けば いでそよ人を 忘れやはする」の解説

①枕詞・序詞・掛詞

・「有馬山猪名の笹原風吹けば」が「そよ」を導く序詞

・「そよ」は笹の葉音の「そよそよ」と代名詞「そ」+終助詞「よ」で「そうですよ」の意味の「そよ」が掛けられている。

②助動詞と助詞の文法的説明

・「ば」は順接確定条件(偶然条件)の接続助詞

・「よ」は呼びかけの終助詞

・「やは」:「や」「は」はともに係助詞で、合わせて使うと反語となる。

③句切れ

・句切れなし

④現代語訳

有馬山からふもとにある猪名(ゐな)の笹原に風が吹くと、笹の葉がそよそよと鳴りますが、そうですよ、どうして私があなたを忘れたりするでしょうか、いや私は忘れたりしません(忘れたのはあなたの方でしょう)

⑤その他解説

・「有馬山」:摂津国有馬郡(現在の兵庫県神戸市兵庫区)有馬町にある山。

・「猪名の笹原」:摂津国河辺郡を流れる猪名川周辺の笹原。