(1)解説授業動画
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(2)解説授業の原稿
今回はn進法の原理について解説します。
10進数をn進法で表す
まずはn進法の最も基本的な問題を解いてみます。
10進数79を5進法で表せ。
このような問題のことを「記数法の変換」と言います。
今回のように10進数から10以外の記数法で表す場合は、10進数を表したい記数法の数で割っていき、余りを出していきます。
5)79
5)15・・・4
5) 3・・・0
0・・・3
よって、304(5)
この問題の場合は、まず79を5で割ります。すると15あまり4となります。そして、商をさらに5で割ります。すると3あまり0となります。再び商を5で割ります。すると、0あまり3となります。このように商が0になるまで商の割り算をします。そして、出てきた余りを逆から書くと、それが答えとなります。
ちなみに、何進法の数かを示すときは、数字の右下に( )を書き、この( )の中に何進数かを書きます。
このようにすれば、10進数を別の記数法に変換することができ、このやり方自体は知っている人が多いと思います。しかし、なぜこれで求めることができるのか理解しているでしょうか。なぜ余りを逆から書けば、それが答えになるのでしょうか。
この疑問は、n進法の原理を理解していれば答えることができます。ぜひ今回の解説でn進法の原理を理解し、この疑問に答えられるようになりましょう。
n進法の原理
それでは、n進法の原理を確認します。
abc.de(n)というn進数があったとき、このn進数を10進法で表してみると、
abc.de(n)=a・n2+b・n1+c・n0+d・n-1+e・n-2
となります。n0=1, n-1=1/n, n-2=1/n2のことです。
つまり、n進数とはn増えるごとに桁が上がっていく数ということを表しているのです。もちろん桁数が増えていけばn3, n4, ……と増えていき、小数点以下の桁数が増えていけばn-3, n-4となっていきます。
このことは普段我々が使う10進数でも成り立っており、例えば、123.45という10進数があれば、これは、
123.45=1×100+2×10+3×1+4×0.1+5×0.01=1×102+2×101+3×100+4×10-1+5×10-2
を表しています。つまり、普段我々が使っている10進数は、10増えるごとに桁が上がっていく数なのです。
よってn進法とは、桁が上がる数を10以外にしてみたらどうなるのかを考えているのです。
n進数を10進法で表す
それでは、このn進法の原理を使って、10以外の記数法で表された数を10進法で表してみます。
例えば、304(5)と表される5進数は、
304(5)=3・52+0・51+4・50=75+0+4=79
となります。三桁の数の場合、最高位は2乗になっていることに注意しましょう。なぜなら、一桁目は1乗ではなく0乗になるからです。
また、12.34(5)といった小数の5進数も、この原理を使って10進数に変換することができます。
12.34(5)=1・51+2・50+3・5-1+4・5-2=5+2+3・1/5+4・1/25=5+2+0.6+0.16=7.76
※5-1=1/5、5-2=1/52=1/25
このようにn進法の原理を知っていれば、n進数を10進法で表すことができます。
10進数をn進数に変換する方法をn進法の原理で考える
それでは、n進法の原理をふまえて、最初に確認した10進数をn進数に変換するやり方を見てみます。
もう一度そのやり方を確認すると、例えば、79という10進数を5進法で表すときは、まず79を5で割り、商と余りを出します。そして、商をさらに5で割り、商と余りを出します。そして、また商を5で割り、商と余りを出します。これを商が0になるまで繰り返し、出てきた余りを逆から書けば答えとなります。
5)79
5)15・・・4
5) 3・・・0
0・・・3
よって、304(5)
では、なぜこのやり方で記数法の変換ができるのかをn進法の原理を使って考えます。
79をこのn進法の原理の右辺a・n2+b・n1+c・n0+d・n-1+e・n-2を使って書いてみると分かると思います。つまり、79は5進法で表すと304(5)となるので、79=3・52+0・51+4・50と書けます。実際に3・52+0・51+4・50を計算すると79になります。
5)3・52+0・51+4・50
5)3・51+0・50 ・・・4
5)3・50 ・・・0
0 ・・・3
そして、この3・52+0・51+4・50を5で割ってみます。52÷5=51なので、3・52÷5=3・51となります。そして、51÷5=50なので、0・51÷5=0・50となります。そして、50=1なので、4・50は5で割り切ることができません。そのため、4・50=4が余りになります。
同様にして、出てきた商を5で割ってみます。すると、3・51÷5=3・50で、0・50=0なので余りは0となります。
そして、3・50は5で割り切ることができないので、商が0で3が余りとなります。
このように5で割ったときに余りとなって出てくるものは、それぞれの50の係数になっています。つまり、最初に出てきた余りは、元の数を5で割る前の50の係数で、次に出てきた余りは、元の数を5で1回割った後の50の係数で、その次に出てきた余りは、5で2回割った後の50の係数であるということになります。
よって、出てきた余りは上から順番に、元の数の50の係数、元の数の51の係数、元の数の52の係数となっており、それはつまり、5進法で表された数の、一桁目、二桁目、三桁目となっているのです。
したがって、答えを書くときは大きな桁から書かないといけないので、出てきた余りを逆から書くのです。
いかがでしょうか。これが10進数をn進法で表すときのやり方の原理です。n進法の原理を使えば説明することができると分かったと思います。ぜひこのように説明できるようになりましょう。
10進数の小数をn進法で表す
それでは、ついでに小数の10進数をn進法で表すやり方を確認します。このやり方は知らない人も多いと思うので、ぜひ知っておきましょう。
10進数0.375を2進法で表せ。
10進数の小数をn進数に変換するときは、掛け算をしていきます。今回は2進数に変換するので、2を掛けていきます。
0.375
× 2
0.750
× 2
1.50
× 2
1.0
よって、0.011(2)
まずは、0.375を2倍します。すると、0.750となります。このとき、整数部分に印をつけます。そして、整数部分が0のときは、そのまま2を掛けます。すると、1.50となります。ここでもやはり整数部分に印をつけます。そして、整数部分が0でないときは、整数部分を取り除いて2倍します。つまり、1.5×2ではなく、0.5×2をします。すると、1.0となります。やはり整数部分に印をつけて、小数部分が0になったら掛け算は終わりです。そして今度は、上から順番に出てきた整数部分を小数点以下に書けば答えとなります。
このやり方で注意したいのは、掛け算をするときは整数部分を取り除くのを忘れないようにするということと、逆からではなく上から順番に整数部分を書くということです。
10進数の小数をn進数に変換する方法をn進法の原理で考える
それでは、この10進数の小数をn進数に変換するやり方もn進法の原理を使って考えてみます。
先ほどと同じように、0.375をn進法の原理の右辺a・n2+b・n1+c・n0+d・n-1+e・n-2の形で表してみます。
0・2-1+1・2-2+1・2-3
× 2
0・20+1・2-1+1・2-2
× 2
1・20+1・2-1
× 2
1・20
すると、0.375は2進法では0.011(2)なので、0.375=0・2-1+1・2-2+1・2-3となります。そして、これを2倍します。すると、2-1×2=20、2-2×2=2-1、2-3×2=2-2なので、0・20+1・2-1+1・2-2となります。そして次に、整数部分に印をつけるわけですが、abc.deの整数部分とはabcの部分、つまり、n0以上の部分のことなので、この場合は、0・20が整数部分になります。
そして、整数部分0・20を取り除いた残り1・2-1+1・2-2に2を掛けます。すると、1・20+1・2-1となり、整数部分つまり1・20の部分に印をつけます。
そしてまた、整数部分1・20を取り除いた残り1・2-1に2を掛けます。すると、1・20となり、これで整数部分だけになったので掛け算はおしまいです。
一回2を掛けて整数部分0・20となった部分は、元の数の0・2-1の部分で、二回2を掛けて1・20となった部分は、元の数の1・2-2の部分で、三回2を掛けて1・20となった部分は、元の数の1・2-3の部分なので、上から順番に整数部分が、2進法ので表したときの小数点第一位、小数点第二位、小数点第三位となるのです。
このように10進法の小数をn進法で表すときのやり方もn進法の原理で説明することができます。
いかがだったでしょう。このようにやり方が決まっている解法も、ただ覚えるだけでなく、なぜそのやり方で解くことができるのかを原理から理解することはとても重要です。
(3)解説授業の内容を復習しよう
(4)整数(数学A)の解説一覧
③n進法の原理を解説します(10進数をn進数に変換する、n進数を10進数に変換する、小数の記数法の変換も解説しています)