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理論化学に関する現象や技術(問題と答え)

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理論化学知識一覧


①電子レンジは、電子レンジの内部で発生するマイクロ波によって電場を変化させ、分子を回転させることによって、摩擦熱を発生させて温めている。水やアルコールは電子レンジで温まりやすいが、ヘキサンや四塩化炭素は温まりにくい。それはなぜか。

→水やアルコールといった極性分子は、電場の変化でよく回転するため温まりやすく、ヘキサンや四塩化炭素といった無極性分子は、電場の変化の影響を受けにくいので温まりにくい。

②パソコンやテレビの画面として利用されている、固体と液体の中間的な状態を何と言うか。

→液晶

③液晶を示す物質の特徴は?

→細長い棒状の有機化合物の極性分子

④エアコンなど、冷媒の蒸発と凝縮を利用して熱を移動させる装置をヒートポンプ(熱ポンプ)という。ヒートポンプの冷媒の状態変化とそれに伴う温度変化や熱の移動を、気体状態の冷媒を圧縮するところから順番に説明せよ。

→気体状態の冷媒を圧縮機で加圧すると、気液平衡の状態となり、温度は上がる(断熱圧縮)。そして、凝縮器(室外機)において、凝縮すると、液体状態となり、多量の凝縮熱を放出する。その液体を、膨張させると、急激に圧力が下がり、冷媒の一部が気体となり(気液平衡の状態となり)、温度も下がる(断熱膨張)。その気液平衡の状態の冷媒を熱交換器(室内機)に通すと、多量の蒸発熱を奪い、冷媒は気体状態に戻る。

⑤窒素が冷媒として不適な理由を説明せよ。

→沸点が低すぎる(-196℃)

⑥プロパンが冷媒として不適な理由を説明せよ。

→沸点は適当だが(-42℃)、発火の心配がある。

⑦アンモニアが冷媒として不適な理由を説明せよ。

→沸点は適当だが(-34℃)、金属を腐食させる心配がある。

⑧フロンが冷媒として不適な理由を説明せよ。

→沸点は理想的だが(-30℃)、オゾン層の破壊作用と温室効果がある。
※現在は、地球環境にやさしい自然冷媒(二酸化炭素や水など)を用いたヒートポンプの開発が進められている。

⑨突沸を防ぐためには沸騰石を入れればよい。ではなぜ、沸騰石を入れておくと突沸を防げるのか。

→沸騰石は多孔質であり(小さな穴がたくさんあいている)、空気を含んでいる。少しずつ放出される空気の小泡を蒸気発生の核として利用することで、連続的に沸騰が起きるようになり、突沸を防ぐことができる。

⑩使用済みの沸騰石を再び使えるようにするためにはどうすればよいか。

→よく乾燥させる。
※使用済みの沸騰石は水を多く含んでいる。乾燥させて、空気を含む状態にすれば再び使えるようになる。

⑪スケートで氷の上を滑ることができる理由を説明せよ。

→細い刃先(エッジ)に強い圧力がかかり、この圧力によって氷が部分的に液体の水となり、これが減摩剤となって滑ることができる。
※水の融解曲線は左に傾いているため、加圧すると、固体から液体への状態変化が起こる。

⑫0℃以下であれば、いくらたくさんの人が滑っても、スケートリンクが融けることはなない。それはなぜか。

→スケートの刃先(エッジ)による加圧がなくなると、水は直ちにもとの氷に戻るから。

⑬どんなに圧力を加えても液化できない温度を何と言うか。

→臨界温度
※つまり、臨界点の温度(臨界温度)はその気体を液化できる最高の温度を表している。

⑭超臨界流体は、2つの状態の性質をあわせもっている。それは何と何か。また、その性質により、物質の分離法に用いられている。その分離法は何か。

→液体と気体、抽出
※二酸化炭素の超臨界流体はコーヒー豆のカフェインの抽出、ホップの苦みエキスの抽出、鰹節の風味エキスの抽出などに利用されている。

⑮コーラは温度が低いほど炭酸が強くなる。それはなぜか。

→気体は温度が低いほどよく溶けるから(二酸化炭素がより多く溶けるから)。

⑯高山病が起きる原因は何か?

→高い山に登ったときに気圧が低下することによって、酸素分圧が下がり、酸素が欠乏すること。
※富士山(標高3776m)では大気圧は約6×104Paなので、酸素分圧は1.2×104Pa(通常の0.6倍)、エベレスト(標高8848m)では大気圧は約3×104Paなので、酸素分圧は6×103Pa(通常の0.3倍)しかない。

⑰潜水病が起きる原因は?

→水中の高圧の状態では、血液中への空気の溶解度が増加している。その状態で急に浮上すると、圧力が減少し、空気の溶解度が減るため、血液中に溶けていた空気が気泡となって遊離する。その気泡が血液の流れを阻害することによって起きる。

⑱氷に食塩を混ぜたものを寒剤というが、寒剤は0℃よりもずっと低い温度(理論的にはー21.2℃)を作り出すことができる。それはなぜか。

→氷の表面でわずかに溶けている水に食塩が溶けることで、溶解熱として熱が吸収される。ここで食塩水は凝固点降下現象により、食塩水の凝固速度は、氷の融解速度よりも小さくなる。そのため、氷はさらに水となり、融解熱として熱を吸収する。そして、さらに発生した水に食塩が溶け、上記のことが繰り返される。
※氷か食塩のどちらかがなくなるまで続く。あるいは、共晶点(ー21.2℃)に達するまで続く。

⑲道路が凍結したときに氷を融かす融雪剤として塩化カルシウムが優れている理由を答えよ。

→完全電離すると粒子数が3倍となって、凝固点降下が大きく現れるから。
※塩化カルシウムはアンモニアソーダ法で副生する安価な工業生成物である。
塩化カルシウムは潮解性と吸湿性が強く、周囲から水を吸収し、溶解熱を発生する。
といった理由を挙げてもよい。

⑳海水(溶液)と淡水(溶媒)を半透膜でしきり、海水中の水分子だけを淡水側へ移動させたい。このとき、どちら側に浸透圧以上の圧力をかけるか。

→海水(溶液)
※この技術を逆浸透法という。

㉑梅の実を焼酎(約40%のアルコール水溶液)の中に漬けておくと、梅の実は膨らむか、縮むか。

→膨らむ。
※梅の実の内部の濃度のほうが大きいため。

㉒梅の実の内部に入ったアルコールに梅の味や香りが十分に溶けたあと、その内部のアルコールを外部へ出していくにはどうすればよいか。

→砂糖などを加えて、水溶液の濃度を大きくする。
※梅酒を作るときは、梅の実を漬けている焼酎に、角砂糖を入れておく。すると、角砂糖は時間をかけて(数か月で)、ゆっくりと焼酎に溶け出していくので、ちょうど梅の味や香りがアルコールに溶けたごろに、外部の溶液の濃度が大きくなる。

㉓ゲルの例を食品から3~4つ挙げよ。

→ゆでたまご、豆腐、寒天、こんにゃくなど

㉔キセロゲルの例を3つ挙げよ。

→ゼラチン、高野豆腐、シリカゲル

㉕キセロゲルを水に浸しておくとどうなるか。

→水分を吸収してふくれる(膨潤という)。

㉖人工透析は、血液と透析液を半透膜で隔て、血液中の有害な成分(尿素など)を浸透圧の働きで透析液に移動させることである。透析液は、純水ではなく、必要な成分(グルコースや金属イオンなど)を溶かした溶液を使う。それはなぜか。

→純水だと、不要な成分だけでなく必要な成分も取り除かれてしまう。そこで、透析液に必要な成分を溶かしておけば、半透膜の内外で濃度差がなくなるので、必要な成分は血液中に残るから。

㉗観察対象に強い光を当て、その散乱光を観察する顕微鏡のことを限外顕微鏡という。限外顕微鏡でコロイド溶液を観察すると、コロイド粒子そのものは見えないが、その運動は観察できる。それはなぜか。また、その運動を何と言うか。

→コロイド粒子は光を散乱させるから(チンダル現象)、ブラウン運動

㉘雲や霧が白い理由は?

→空気中の水滴や氷晶などのコロイドが波長に関係なく光を散乱させるから。

㉙空が青い理由は?

→太陽光が空気中のちりや空気分子によって青い光(波長が小さい光)が散乱するから。

㉚朝日や夕日が赤く見える理由は?

→太陽の高度が低くなると、太陽光が通過する大気層の距離が長くなり、通過する間に青色の光やより波長の長い光を散乱するから。

㉛海が青い理由は?

→水分子が赤色の光をわずかに吸収するから。

㉜主に粘土のコロイドを多く含む濁水から濁りを取るためには、ミョウバンが良く使われる。その理由は?

→粘土のコロイドは負電荷をもっており、価数の大きなアルミニウムイオンによって容易に凝析されるから。

㉝河川の水が海に流れ込む河口付近で三角州ができやすいのはなぜか。

→粘土のコロイドは負電荷をもっており、海水中の電解質の陽イオンによって凝析されて、沈殿・堆積するから。

㉞タンパク質のコロイド溶液である豆乳に、ニガリ(MgCl2)を加えて豆腐を分離させる現象を何と言うか。

→塩析

㉟タンパク質の一種であるゼラチンは保護コロイドとして、疎水コロイドを保護する作用が強い。それは、ある2つの官能基を持つからであるが、その官能基を2つ答えよ。

→カルボキシ基、アミノ基
※アミノ基は水中で電離してーNH3+となり、疎水性の負のコロイドと結びつく。また、カルボキシ基は水中で電離してーCOOとなり、水分子と水和する。

㊱墨汁は、炭素のコロイドとニカワのコロイドによって、安定したコロイド溶液となっている。炭素のコロイドとニカワのコロイドのどちらが親水コロイド(保護コロイド)か。

→ニカワのコロイド(炭素のコロイドは疎水コロイド)

㊲インキは、色素(疎水コロイド)にアラビアゴム(保護コロイド)を加えているが、それはなぜか。

→色素が大きな塊になって沈殿するのを防ぐため。

㊳工場の煙突から出る煤煙の大部分は固体のコロイド粒子(エーロゾル、エアロゾル)なので、帯電しやすい。この性質を利用して、負に帯電させたコロイドを粒子を正極で集めて、排煙から除去している。これは、何と言う現象を利用しているか。

→電気泳動

㊴携帯用カイロは何の熱を利用しているか。

→鉄がさびる(鉄と酸素と水が反応して、水酸化鉄になる)ときのに発生する熱

㊵冷却パックは、硝酸アンモニウムや尿素の何を利用しているか。

→水に溶けるときの溶解熱(吸熱反応)

㊶自動車の排ガスに含まれる有害成分を3つ答えよ。

→CO、HC(炭化水素)、NOx

㊷酸化チタン(Ⅳ)にPtを付着させたもの(光触媒)は、有機物(においや汚れのもと)を光分解して何を発生させるか。

→水素

㊸水の汚染状態を知る重要な手がかりとなるのは、水中に溶けている何の量か。

→酸素
※水中の有機物などは酸化されやすいので、有機物が存在すると酸素が消費される。

㊹水中の被酸化性物質の量を調べるために、COD(化学的酸素要求量)が用いられている。CODの手順を、「被酸化性物質を含む水」「過マンガン酸カリウム水溶液」「シュウ酸ナトリウム水溶液」「過剰量」の4つの言葉を使って説明せよ。ただし、「過マンガン酸カリウム水溶液」と「過剰量」は2回使う。

→被酸化性物質を含む水に過剰量の過マンガン酸カリウム水溶液を加え、酸化還元反応を起こす。次に、還元剤であるシュウ酸ナトリウム水溶液を過剰量加え、酸化還元反応を起こす。最後に、過マンガン酸カリウム水溶液を加えて、逆滴定をする。
※始めに加えた過マンガン酸カリウムが受け取る電子+後に加えた過マンガン酸カリウムが受け取る電子=被酸化性物質が放出する電子+シュウ酸ナトリウムが放出する電子
※最後に過マンガン酸カリウム水溶液で逆滴定をするのは、シュウ酸ナトリウム水溶液の滴定では反応の終点(赤紫色→無色)を見つけにくいから。

㊺マンガン乾電池の電極は、亜鉛と酸化マンガンが使われているが、どちらが正極か。

→酸化マンガン

㊻マンガン乾電池の電解液に水酸化カリウムを用いたものをアルカリマンガン乾電池というが、これは、より低温でも使用可能となる。それはなぜか。

→水酸化カリウムは水に対する溶解度が極めて大きいため、凝固点降下が大きくなるから。
※この他にも、電池の放電容量が2倍になる、長く安定して使える、といった特徴がある。

㊼マンガン乾電池の正極を酸化銀にしたものを銀電池というが、これは放電によって、正極のある性質がしだいに向上し、電池が長持ちする。そのある性質とは何か。

→電気伝導性
※正極に銀の単体が析出するため。ボタン電池に用いられている。

㊽自動車のバッテリーや非常用の予備電源として広く使われている電池は何か。

→鉛蓄電池

㊾鉛蓄電池の保守点検では、電解液にあるものを加える。それは何か。

→水(純水)
※硫酸は不揮発性だが、水は蒸発したり、いくらか水の電気分解が起こってしまうため。

㊿ニッケルーカドミウム電池は何次電池か。

→二次電池
※鉛蓄電池よりも、軽量で、劣化もしにくい。過酷な使用にも耐えることができる。ハイブリッドカーや電動アシスト自転車に使われている。

51 燃料電池の負極活物質と正極活物質を答えよ。また、燃料電池の反応全体で生成する物質は?

→負極活物質:水素、正極活物質:酸素、生成する物質:水

52 リチウム電池は、従来の亜鉛を用いた電池に比べて、高起電力となる。それはなぜか。

→リチウムのイオン化傾向は全金属で最大だから。
※起電力は、両極物質のイオン化傾向の差で決まる。

53 リチウムイオン電池は何次電池か。

→二次電池
※ニッケルーカドミウム電池の4倍の起電力で、電池の寿命も長い。ノートパソコン、デジタルカメラ、携帯電話などに用いられている。

54 亜鉛・塩素電池は、外部のタンクに蓄えた塩素を電池に送り込むことで放電し、充電時は電池からタンクへ塩素が送られる。これは、つまり電力を何することができるということか。

→貯蔵
※このような電池をレドックス・フロー電池という。

55 トタンとブリキは、それぞれ鉄に何をめっきしたものか。

→トタン:亜鉛、ブリキ:スズ

56 傷がついていないときは、トタンとブリキのどちらが安定であるか。

→ブリキ
※イオン化傾向がスズのほうが小さいから。

57 傷がついているときは、トタンとブリキのどちらがさびやすいか。

→ブリキ
※鉄とスズで局部電池ができ、イオン化傾向の大きい鉄が集中的にイオンとなって腐食が進むから。

58 トタンは傷がついても、鉄の腐食はあまり進まない。それはなぜか。

→亜鉛は鉄よりもイオン化傾向が大きいため、鉄ではなく亜鉛がイオンとなるから。さらに、亜鉛の酸化物が被膜を作って鉄の腐食を防ぐから。


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