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気体の燃焼後に生じる水の質量を求める問題の解法【化学計算の王道】

(1)解説授業動画

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(2)解説授業の原稿

今回は気体の燃焼した後に生じる水の質量を求める問題の解説をします。なお今回の解説は閉鎖系の気体の計算問題の解法や、気液平衡あるいは飽和蒸気圧については理解できている前提で話を進めていきます。もしこれらの理解が不十分な場合は、まずそちらの解説をご覧になってください。

解説(前半)

それでは早速問題を確認していきます。

2.0Lの密閉容器に0.010molのCH4と0.040molのO2を入れ完全燃焼させた後、27℃にした。このときの全圧と凝縮している水の質量を求めよ。ただし、27℃における水の飽和蒸気圧を3.5×103Paとし、容器の体積は一定であり、答えは有効数字2桁で答えます。また水の分子量は18とし、気体定数Rの値は8.3×103[Pa・L/K・mol]とする。

求める燃焼後の全圧をPとし、求める液体として凝縮している水の質量をw[g]とします。

まずは燃焼後の全圧を求めていきます。燃焼後の全圧は、閉鎖系の気体の燃焼の問題の解法の流れで求めることができます。

最初にメタンの燃焼の化学反応式を書き、反応前・変化量・反応後の表を作ります。

反応前のメタンの物質量は0.010molで、反応前の酸素の物質量は0.040molとなります。そして反応前なので、二酸化炭素と水の物質量は0となります。次に変化量ですが、今回は完全燃焼させたと書いてあり、さらにメタンと酸素の量的な関係からもメタンが全て燃焼したと分かります。よって、メタンの変化量は−0.010となり、化学反応式の係数の比が1:2:1:2なので酸素の変化量は−0.020、二酸化炭素の変化量は+0.010で、水の変化量は+0.020となります。したがって、燃焼後のメタンの物質量は0で、酸素の物質量は0.020で、二酸化炭素の物質量は0.010で、水の物質量は0.020となります。

ここで、燃焼後の水の0.020molが全て気体つまり水蒸気なのか、それとも液体と気体が混ざっているのかを確認しないといけません。そのため、燃焼後に27℃としたとき、H2Oが全て気体となったと仮定し、この仮定のもとでのH2Oの分圧Pを求めてみます。

H2Oが全て気体となったと仮定したときのH2Oの分圧Pを使った状態方程式を立てます。そしてこの状態方程式を解いてみると、この仮定のもとでのH2Oの分圧P=24.9×103Paとなり、これは27℃の飽和蒸気圧3.5×103Paよりも大きくなり、気体の圧力が飽和蒸気圧よりも大きくなることはあり得ないので、この仮定は誤りであることが分かります。したがって、燃焼後に27℃としたときのH2Oは気液平衡の状態、つまり液体の水が存在する状態であるということが分かります。

以上より反応後のH2Oの0.020molというのは、気体の水蒸気の物質量だけではなく、液体の水と気体の水蒸気の物質量を合わせたものになります。そのため、O2の変化後の0.020molと、CO2の反応後の0.010molと、H2Oの反応後の0.020molを合わせたもので混合気体の全圧を求めることはできません。

よって、燃焼後の全圧を求めるためには、それぞれの分圧を求めて足し合わせないといけません。

まずは気体となっているH2Oの分圧を求めます。今回H2Oは気液平衡の状態にあるので、その分圧は飽和蒸気圧と等しくなり、PH2O(g)=3.5×103Paとなります。気液平衡の状態にある気体の分圧は、その気体の物質量や容器の体積に関わりなく、必ずその温度の飽和蒸気圧となります。

次に、燃焼後に残っている気体であるO2とCO2の分圧を求めていきます。それぞれの分圧を別々に求めてもいいのですが、今回は酸素と二酸化炭素の2つの気体を混ぜた混合気体の圧力をP1としてまとめて分圧を求めます。状態方程式を解くと、P1=37.35×103Paとなります。

したがって、求める全圧はPH2O(g)とP1の合計となるので、P= PH2O(g)+P1=40.85×103となり、有効数字2桁となるように四捨五入をすると、答えは4.1×104Paとなります。

これで燃焼後27℃にしたときの全圧を求めることができました。ただ、この問題はここで終わりではなく、次は凝縮して液体となっている水の質量を求めていきます。

解説(後半)

では、液体の水の質量を求めていきます。

ポイントは、液体の水の物質量nH2O(ℓ)と気体の水蒸気の物質量nH2O(g)を足すと、0.020molとなるということです。つまり、燃焼によってH2Oは0.020mol生成したわけですが、H2Oは気液平衡の状態にあるので、液体の水と水蒸気の物質量を合計したものが0.020molとなるのです。そのため、それぞれの物質量を求めることができれば、この関係を使って、方程式を立てることができます。

まずは、液体の水の物質量nH2O(ℓ)ですが、今回液体の水の質量はwとしているので、w[g]を水のmol質量で割ることで、液体の水の物質量となります。よって、nH2O(ℓ)=w/18g/molとなります。

次に水蒸気の物質量nH2O(g)ですが、水蒸気は気体なので状態方程式を使います。今回H2Oは気液平衡の状態にあり、水蒸気の分圧は飽和蒸気圧となるので、3.5×103となります。あとは、この方程式を水蒸気の物質量で解くと、nH2O(g)= 3.5×103・2.0/8.3×103・300になり、nH2O(g)=0.7/83・3となります。計算は約分をしたところで止めておきましょう。

これで液体の水の物質量と水蒸気の物質量を求めることができたので、このnH2O(ℓ)+ nH2O(g)= 0.020molの関係を使って方程式を立てると、w/18+0.7/83・3=0.020のようになります。

あとは、この方程式を解いていきます。まずは求めたい文字を含む項だけを左辺にして残りを右辺に集め、そして両辺を18倍して、割り算をして、有効数字が2桁になるように四捨五入をすると、答えはw≒0.31gとなります。

いかがだったでしょうか。この問題ができるようになれば、気液平衡と何か、あるいは飽和蒸気圧を計算でもどのように使うかといったことがより深くなると思います。ぜひ復習しておいてください。

(3)解説授業の内容を復習しよう

気体の燃焼(閉鎖系)の計算、蒸気圧を使った計算

(4)気体の燃焼の解説一覧

気体の燃焼(開放系)の計算(化学反応式を使った計算の仕方、燃焼の化学反応式の作り方についても解説しています)

気体の燃焼(開放系)の計算の応用問題(複雑に見える問題でも1つの方程式にすることができます)

気体の燃焼(閉鎖系)の計算(気液平衡とは何か、飽和蒸気圧の使い方、液体が存在するかどうかの判断の方法についても解説しています)

気体の燃焼後に生じる水の質量を求める問題の解法

(5)参考

気体の性質(理論化学)の解説・授業・知識・演習問題一覧

理論化学の解説動画・授業動画一覧

理論化学知識一覧

化学計算の王道(化学基礎・理論化学)

化学反応式の王道(理論化学・無機化学)

化学反応式一覧(理論化学・無機化学)

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化学の語呂合わせ(化学基礎・理論化学・無機化学・有機化学・高分子化合物)

化学学習に必要な参考書・問題集


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