(1)例題
図のように、質量mの物体があらい水平な台の上に置かれており、台を水平方向に振幅A、各振動数ωで単振動させる。
①台に乗った観測者からみて、物体にはたらく慣性力の大きさの最大値F1を求めよ。
②角振動数ωを0からゆっくり増大させると、ある値を超えたとき物体は滑り始めた。その値を答えよ。ただし、物体と台の間の静止摩擦係数をμ、動摩擦係数をμ’、重力加速度の大きさをgとし、物体の底面は常に台に接しているものとする。
(2015年センター試験本試物理第1問問3改)
(2)例題の答案
①台がaの加速度で運動しているとき、台に乗った観測者からみると、物体には台の加速度と反対向きに大きさmaの慣性力Fがはたらくように見える。
単振動の加速度は、変位をxとして
a=-ω2x
で表されるので、その最大値a1は
a1=ω2A
よって、慣性力の大きさの最大値F1は
F1=ma1=mω2A
②
(3)解法のポイント
①単振動において、加速度の大きさが最大になるのは振動の両端です。つまり、変位が振幅となるとき、加速度および復元力(振動の中心方向の力)の大きさは最大となります。
②滑り始める条件を考えるときは、滑り始める直前を考えます。つまり、静止摩擦力を含んだつりあいの式を立てます。
(4)必要な知識
①単振動の加速度
②単振動を考えるときのポイント
ⅰ)振動の中心では速さが最大、加速度の大きさは0
※振動の中心は力のつり合いの位置
ⅱ)振動の両端では速さは0、加速度の大きさは最大
※手を離した位置が振動の端となる
③慣性力:観測者が加速度直線をしているときに、あると感じる見かけの力(見かけの力なので、実際には存在しないが、あるように感じている)
④最大(静止)摩擦力
(5)理解すべきこと
①摩擦力は3つに分けて考えましょう→摩擦力は3種類あると考えましょう(静止摩擦力、最大摩擦力、動摩擦力)
☆動画はこちら↓
②単振動の速度と加速度を微分を使って導く方法の解説→単振動の速度と加速度を微分で導く(合成関数の微分を使っています)
☆動画はこちら↓
(6)参考
☆単振動の勉強法はこちら→単振動
☆力学の勉強法はこちら→力学の勉強法